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国内外の強豪が御代田町で投げ納めと投げ初めをする「第一回ニューイヤーカーリング」が幕開け

竹田聡一郎スポーツライター
国内ツアーで好調を維持するフォルティウス (C)軽井沢国際 2022_H.Ide

 2022年12月29日(競技は30日)から長野県御代田町のカーリングホールみよたで「WCTジャパン ニューイヤーカーリングin御代田」が開幕。年をまたいで決勝が元日に行われるこの大会、箱根駅伝や高校サッカーといった年末年始の風物詩に、という願いが込められている。

 国内外から8チームが参加し、海外からはドイツ代表のJentsch、昨年、カナダでジュニア王者に輝いたLadouceurが出場する。国内勢は今季、国内大会既に2勝を挙げているYoshimura(フォルティウス)を筆頭に、Kanai(SC軽井沢クラブ)、Minami(STRAHL)ら地力のあるチームが揃った。若手では2021年大学王者のkawamura(帯広畜産大学)の躍進が期待される。

 さらに、新しい試みとして全国の俊英を招集した「未来選抜」を結成。チームKotaniだ。富士急でキャリアを積んだ小谷有理沙をスキップに、世界ジュニア選手権金メダリストの荻原詠理、岩手からは瀬川琴佳、熊本から川田亜依という日本カーリングの未来を担う原石が集う。予選リーグはLadouceur、Yoshimura、Minamiという難敵ばかりとの対戦が続くが、いい意味で大会を荒らしてほしいところだ。

 この未来選抜は有望な若手選手への経験提供の場として来年以降も継続予定だとか。チーム事情でアイスに乗れなくなってしまった選手をカテゴリーに捉われずに広く集め、スキルアップ、または次のチームへのコネクターとして機能すれば理想だろう。今後はその人選にも注目が集まりそうだ。

 開催地である長野県などでは年越し、つまり12月31日24時を神社仏閣で迎えることを「二年参り」と呼ぶ。さすがにこのニューイヤーカーリングも年越しの瞬間こそプレーはしていないが、選手は31日は23時近くまで、そして元日は8:00から氷上にいることになるスケジュールだ。

 フォルティウスの吉村紗也香は年を越しての大会出場は自身のキャリアでも初体験だと語る。

「第一回目の大会ということですごく楽しみにしていました。海外からも2チーム参加してくれ、国内で真剣勝負できる貴重な機会なので、強化という部分でもチームでしっかりビジョンを持って戦いたいです」

 また、世界的にも珍しい年越しカーリングが広く興味を集めており、スウェーデンからはアンナ・ハッセルボリ、スコットランドからはイブ・ミュアヘッドという五輪金メダリストが、「いつか参加したい」という趣旨の応援コメントを大会HPに寄せている。来季以降の来日が待たれる。

「せっかくなので将来的にはカウントダウンパーティーができればいいなと考えています」

 そう語るのは大会実行委員会の青木学委員長だ。カーリングでは、大会前後に選手たちが親睦を深めるためのレセプションパーティーが行われるのが通例だが、新型コロナウイルスの影響で今回は見送られた。

「おもてなしの一環として年越し蕎麦や餅つき、書初めなど日本の伝統文化を日本の選手から海外のゲストに伝える好機かもしれません。選手とも相談してアイデアを出していきたい。そのためにもまずはこの第一回で多くの人に見てもらいたいです」

 ロコ・ソラーレが北京五輪で銀メダルを獲得したのは、はや昨シーズンのことだ。2023年からは2026年のミラノ/コルティナ・ダンペッツォ大会へのレースが本格的にはじまる。それに向けた強化として「終わり良ければすべて良し」と「1年の計は元旦にあり」を両獲りできるチームはどこになるだろうか。大会はCSやBSなどテレビ放送が予定されている。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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