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2022年北京冬季五輪でメダルを目指す男子カーリングに朗報。エステー株式会社がスポンサーを4年延長。

竹田聡一郎スポーツライター
SC軽井沢クラブからは世界選手権で使用したブラシが贈られた(著者撮影)

 3月26日、平昌五輪カーリング男子代表・SC軽井沢クラブがスポンサーのエステー株式会社(東京新宿区)を表敬訪問し、五輪の報告を行った。

 鈴木喬(たかし)会長、鈴木貴子社長をはじめ役員が揃った会議室でメンバーはそれぞれ五輪の経験と感想を思い思いの言葉で語った。

 セカンドの山口剛史は「憧れて憧れてたどり着いた特別な舞台でした。(五輪には)魔物がいるかと聞かれたら正直、分かりません。いたとしたら僕の心の中だったかもしれません」と独特の言い回しをしたが、初の五輪で知った、4勝5敗という現在地を改めて噛み締めたことだろう。

 続いて両角友佑らは役員からの質問を受け、スイープの役割や本場カナダのカーリングの雰囲気、トレーニングのディティールなどを丁寧かつ気さくに答えた。

 サプライズがあったのは記念撮影のタイミングだ。

 鈴木喬(たかし)会長の、

「ぜひ北京では金メダルを。我々エステーは次の4年もサポートを続けます」

という力強い宣言に会議室は拍手で包まれたが、SC軽井沢クラブにとっては晴天の霹靂ではあった。この発表を両角友らは驚きと共に喜び、「あんなにサラッとおっしゃるんですね。びっくりしました。ともかく競技を続けるための環境はまだまだ整っているとは言えない男子カーリングにとっては本当にありがたい」とコメントした。

 その後の各フロアの挨拶回りでは、両角友は空気を読んで、鈴木社長が就任当時から使っているキーワード「一枚岩」を交え、感謝を口にする。

「これまで(ユニホームの)右胸についているエステーさんと共に歩んできましたが、次の4年も一枚岩で戦い、さらに上を目指したい。応援よろしくお願いします」

 細かい契約内容はこれから話し合いが持たれるが、これまで同様、ワールドツアーや国内カップ戦で着用するユニホーム、トレーニングジャージなどにはエステーのロゴが入る。12月の軽井沢国際のサポートも継続する見通しだ。

 エステーと共に再出発する次の4年に対して、両角友は「覚悟」という言葉を用いた。

「これまではどちらかと言えば五輪に出る覚悟でカーリングをしてきたが、これからはその表彰台に立つまた違う覚悟が求められる。応援される以上は、そのためには何をしないといけないか真剣に考えてます。(北京五輪は)4年後だけど、出場に関わるポイントは2020年の世界選手権からつく。逆算すると、来季(18/19シーズン)のうちにしっかり戦えるチームにしなくてはいけない。だからこそ、今年の夏から秋に向けての時期が大切になってくる。準備はもう始まってますから」

 エースの言葉通り、既にチームは練習を再開している。

 まずは5月18日から北見市常呂町で行われる「パシフィック・アジアカーリング選手権2018日本代表決定戦」に勝利し、来季もJAPANを背負い、来年の世界選手権につながる11月のパシフィック選手権に出場しなくてはならない。「まだ4年ある」では、あっという間に世界から取り残される。特別な舞台で結果を残すために、新たな挑戦が始まろうとしている。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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