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第26エンド「世界選手権5日目。カナダに大敗も、ラウンドロビン2試合を残して平昌五輪出場決定!」

竹田聡一郎スポーツライター
06年トリノ五輪の金メダリストでもあるBrad Gushue(右から4番目)。

男子カーリング世界選手権は5日目の日程を消化し、ラウンドロビンも残り2試合のみだ。

日本はドロー12でロシアを退けると、続くドロー13でトリノ五輪金メダリストのBrad Gushue率いる世界ランク1位のカナダ代表との大一番を迎えた。一昨年のワールドカーリングツアーでは勝利を収めたことのある相手だったが、後攻を取られると1エンドで2点奪われ、ブランクエンドを挟んで3エンドで1点取らされて、続く4エンドでは今大会ワーストの5点を失い、早々にゲームが決まってしまった。

「すごく難しいショットを決めてきたわけではないけれど、石のズレがほとんどなかった」(リード両角公佑)

「こっちの調子も悪くはなかったけど、『悪くない』では絶対に勝てない」(セカンド山口剛史)

「久しぶりに『あ、これ何もできないで負けるやつだ』と思いました」 (サード清水徹郎)

「単純にうまかった。軽くいなされましたね。全然、本気出してもらえてないです」(スキップ両角友佑)

選手がそれぞれ振り返ったように実力差を痛感する完敗だった。

SC軽井沢クラブに大きなミスはなかった。山口が語ったようにショット率も悪くはない。それでも、自分たちの決めたいショットを先に決められ、常に後手に回ってしまった。カナダの赤石が常に散らばっていたハウス内の光景は、ショットの精度、クレバーなスイーパーの総合力も含めたショット率以上の差と言うほかない。日本が時折、露呈してしまう石半個のズレにお付き合いは決してせず、置きたい場所に石を置き、7エンドのコンシードまで終始、主導権は握れず反撃の糸口さえ掴めなかったゲームだ。

ポジティブな面を捉えるとすると「世界のトップとの距離が測れた」「OKではなくベストなショットをしっかり投げ続けなければ勝てない」という彼らの現在地だ。あるいはSC軽井沢クラブも、チームとして、個人としてもピークの状態にあってトップパフォーマンスを発揮すればカナダとも互角に戦えるかもしれない。両角友もその可能性は否定しないが「でもそれを持続できないと意味がない」とも言う。世界と互角に戦うためのムラのない強さが今後、求められて来るだろう。

それでも。ボロ負け、と表現してもいいくらいの敗北ではあったが、ただの1敗と割り切ることも必要だ。日本の通算成績は白星先攻の5勝4敗で、単独5位につけている。クオリファイもタイブレークも現実的な順位であり、プレーオフでの再戦の可能性も十分だ。

同時に、開催国枠で出場した98年長野大会から20年ぶりの、18年平昌五輪出場が決定した。

五輪までのあと1年で今日、感じたカナダとの差を埋めることはできますか? 少し意地悪な質問を両角佑にぶつけてみた。

国内最高のスキップは少し悩んだのち「うーん、善処します」と苦笑いを見せ、それでもこう続けた。

「世界で中盤のまま(のチーム)でいるのか、それじゃあ面白くない」

平昌五輪までに捲土重来なるか。まずは明朝9時(日本時間7日0時)からのスイス戦、19時からのラウンドロビン最終の中国戦(日本時間7日10時)を制して、クオリファイを果たし、カナダとのリマッチを目指したい。

五輪出場権獲得という最低限のタスクを果たした彼らの、次なる大きな挑戦が始まる。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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