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将棋のeスポーツ化?:リアルタイムバトル将棋

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:アフロ)

これまでJeSU(日本eスポーツ連合)さんと散々意見対立してきた私ですが、こればかりは認めざるを得ません。以下、engadget日本版からの転載。

「リアルタイムバトル将棋」JeSUライセンス認定タイトルに、4月からプロ認定大会を開催

https://japanese.engadget.com/nintendo-switchi-e-sports-084036416.html

シルバースタージャパンは3月1日、Nintendo Switch用ソフト「リアルタイムバトル将棋」が日本eスポーツ連合(JeSU)のライセンス認定タイトルになったことを発表しました。「リアルタイムバトル将棋」は将棋の基本ルールである先手後手という手番制をなくし、好きなタイミングで、好きな数だけ駒を動かして、玉将を取ったプレーヤーが勝利するという将棋です。

一昨年前、これまでその「必要性」を謳ってきた自前のプロ認定制度が、実は本当は必要なかったということをウッカリ告白してしまったJeSUさんでありますが、すでに形骸化してしまったこの制度の使い道として、上記は唯一にして大変意義ある使い方だと思うんですよ。

【参考】日本eスポーツ連合さん、うっかり自ら「プロ制度は不要」を証明してしまう

https://news.yahoo.co.jp/byline/takashikiso/20190912-00142276/

そもそも将棋の世界にはプロ制度は存在しており、そちら側で何かしらの「プロ」の枠組みを作るのはそんなに難しいお話ではないですし、「将棋の世界での」格としては当然ながら日本将棋連盟さん側と連携した方が良いハズなんです。

で、ありながら「あえて」ここでJeSU認定をとって「プロ」を名乗るというのは、寧ろ今までの日本将棋連盟の枠組みではなく「eスポーツ」という枠組みの中で新しいファン層の獲得をしたい、おそらくそういう意図なのだと思うのですよね。そういう意味では「これってeスポーツなんですっけ?」という、非常に微妙なラインにいるゲーム種にとっては、(一応ながらも)日本eスポーツの世界で統括団体を名乗っているJeSUさんに認定を頂くことって、「我々もeスポーツです!」って堂々と名乗るにあたって非常に有効な手段だと思うんですね。

そう考えると、リアルタイムバトル将棋と同様にJeSUによるプロ認定制度を利用すべき対象というのが色々見えてきます。例えば、カジノの世界では上記でいうところの「リアルタイムバトル将棋」と全く同じコンセプトで開発された「リアルタイムバトル・ポーカー」と呼んでよいマシンゲームがすでに複数存在しています。例えば以下のような機種。

上記Grab Pokerは、本来ターン制で争うポーカーを文字通りリアルタイムバトル制で「必要なカードを奪い合う」仕様に置き換えた新しいマシンゲーム筐体で、(認可の下りている行政区では)カジノに設置可能なギャンブル機であります。これなんかは、上記でJeSU認定を受けたリアルタイムバトル将棋と全く同じコンセプトでゲームをポーカーに置き換えたものであり、リアルタイムバトル将棋がeスポーツの枠の中に入るのであれば、リアルタイムバトル・ポーカーだって同様にeスポーツの枠内に入って然るべきであります。

もっというと、我が国における射幸ゲームの代表格であるパチンコ/パチスロにおいても、主要メーカーのひとつであるサミー社が主導する形でそのプレイ技術を争う競技化が進んでおります。以下、現代ビジネスからの転載。

パチスロがスポーツに?サミー「Pスポーツ」に対するパチプロの本音

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69459

すでに海外はもちろんのこと、日本でも大きな高まりを見せる「eスポーツ」。そんな中、その動きが異なる業界にも影響を及ぼしている。

今年12月、パチンコ・パチスロメーカー大手のサミーは、パチンコ、パチスロの技術を競う大会として「P-SPORTS(ピー・スポーツ)」を発足。その第一弾として、優勝賞金331万円をかけた「超ディスクアッパー選手権」を開催することを発表した。同社は「遊技におけるスキル(技術)を中心に『スポーツ』と捉えた『今までにない新しい競技カルチャー』」を目指すという

例えばパチスロなんてのは、液晶ゲーム画面を備え、回転するリールをタイミングよく止めることで獲得する点数を争うゲームであるわけですから、(無理やり主張すれば)「我々はリズムゲームです」とも言えるわけで、寧ろサミーさんはPスポーツなんてヌルい事を言ってないで、パチンコ業界への新しいファン層の取り込み施策の一つとして寧ろ積極的にJeSU認定を取ってパチンコ/パチスロをeスポーツだと言い張るべきなんですよね。

…って考えてゆくと、実は現JeSUの会長はサミーと同様にセガサミーグループ傘下のセガ会長取締役の岡村秀樹さんなんですよね。そう考えると「なるほど、紆余曲折に見えたここまでのJeSUの組成はセガサミーグループの『100年の計』だったのか(棒」と。JeSUさんとeスポーツの新展開に、引き続き胸を躍らせながら彼らの今後の活動を生温かく見守って参りたいと思うところであります。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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