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今度は警察:賭け麻雀で口頭注意のみ

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:アフロ)

これでもうレートの低い麻雀賭博は法的には裁かれないことが確定と言ってよいのでしょうか。以下、読売新聞オンライン。

警官9人、「テンゴ」で賭けマージャン…県警「娯楽性が高いので」と口頭注意

https://news.livedoor.com/article/detail/18581449/

警察官9人が賭けマージャンをしていたとして、富山県警は15日、所属長による口頭での厳重注意処分としたことを明らかにした。

5月に9人のうちの1人が上司に自己申告し、発覚した。懲戒処分ではなく口頭での注意にとどめた理由について、監察官室は「レートは低く、娯楽性が高かったことから、法と証拠に基づいて総合的に判断した」と説明。

先日、東京地検がコロナ禍においての賭博麻雀で世間を騒がせた黒川・前検事長に対して不起訴を決定した報道がなされたばかりですが、今度は警察官による麻雀賭博が「娯楽性が高い」との理由で送検すらされず、懲戒処分すらなく口頭注意で処理されたとの報道がなされました。検察が検察なら、警察も警察ということで、この国ではいつの間にか賭博罪が法によって裁かれない基準と言うのが明確化したようでして、昨今起こった一連の事件に基づくのなら;

テンピン(1000点100円);法に基づかない組織内部の訓告(黒川氏への裁定に基づく)

テンゴ(1000点50円);訓告よりも更に下の口頭注意(今回の警察官への裁定に基づく)

で処分を行えば、法的に罪には問われないという事になるのですかね。私自身はギャンブルの専門家でありながら、というか「寧ろ、そうであるが故に」その種の違法な賭博行為には一切近づかないという人生を歩んできましたが、我が国おいて準司法権を担う検察、法の執行権を担う警察が、それぞれこんなユルユルな基準で賭博を扱っているのだという事は、私は自分自身がギャンブルの専門家であるということに気負い過ぎて生きて来たのかもしれません。大変残念なことではありますが。

また、今回の裁定にあたって警察も、そして先日黒川氏を不起訴とした検察も「法と証拠に基づいた総合的判断」と主張しているわけですが、だとしたら今後は、賭け麻雀のみならず、ポーカーも花札もバックギャモンもブリッジも、ひいては賭けゴルフもフリースロー対決も、同じ基準で裁定をして下さいね。テンピンであれば一晩遊んで2万円前後、テンゴであれば1万円前後といったところですから、その範囲であれば全ての賭博は「娯楽性が高い(by警察)」、「娯楽の延長(by検察)」という判断が為されなければいけません。(勿論、起訴相当性は個別事情に基づいて総合判断ではありますが)

一方で実は私のYouTubeチャンネル側で実施した「全国20歳以上の男女100人」に聞いたアンケート調査では、特に今回の黒川氏への不起訴に対して「不当だ」と感じている層が全体の86%にも及ぶようです。

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(出所:筆者作成)

また、特に面白いのが自分自身が「ギャンブルをする」と答えた者であればあるほど、今回の裁定を「不当だ」と感じる傾向が高く、この層は93%もの人間が黒川氏に一件に関して疑義を呈しています。

考えてみればそうですよね、ギャンブルを愛好する市民は「違法な賭博はアカン」と言われ、大部分の人間は当たり前の様に法律を順守しながらそれを楽しんでいますし、一部の違法な賭博に手を染めてしまっている人達は人達でそれなりの「後ろめたさ」を持ってきたワケですから。ところが、フタを開けてみれば、市民よりも更に高い法遵守が求められる立場にある検察官や警察官が、違法賭博を行っても「いえ、罰されませんよ。娯楽の延長ですから」とか言い出すわけですから。「一体、俺達が守れと言われてきた法律は何だったんだ」と、世のギャンブラーは不審に思って当然であるわけです。

黒川氏の案件に関しては、一部市民団体から検察の判断が不当であるとして既に検察審査会への申し立てが行われた様ですので、まだまだこの先もゴタゴタが続きそうではありますが、ひとまず「一晩2万円程度までの賭博は娯楽の延長」が検察も警察も共通のラインである(現時点では)、ということで宜しいようです。先にご紹介したアンケート結果の分析も含め、この辺りに関しては私のYouTubeチャンネル側でもより詳細に解説を行っておりますので、もしご興味のある方はそちらも併せてご覧頂ければ幸いです。

【参照】「大人の遊び」研究所/木曽崇

https://www.youtube.com/channel/UC0UueKrYPGueHItKNUthRWw?view_as=subscriber?sub_confirmation=1

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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