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中国、未成年の深夜ゲーム禁止へ

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:アフロ)

中国の現地メディアから以下のような報がなされ、業界が騒然としております。以下、4Gamerからの転載。

中国政府が「未成年オンラインゲーム中毒防止に関する通知」を発表。未成年者は深夜のログイン不可,プレイ時間は平日1.5時間までなど

https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20191106115/

中国新出版●(●はまだれ)にて報じられた詳細によると,同国内でサービスされているオンラインゲームを対象に,未成年(中国では18歳未満)のプレイヤーに対し,22:00~翌8:00はログイン不可,土日・祝日は3時間まで,平日は1.5時間までのプレイ時間制限が課せられるとのこと。

また,課金サービスについても未成年への制限が行われる。8歳未満は課金サービス自体の提供が不可,8~15歳は「1回のチャージ上限は50元(約780円)/月ごとの合計課金上限は200元(約3120円)」,16~17歳は「1回のチャージ上限は100元(約1560円)/月ごとの合計課金上限は400元(約6240円)」になるという。

本中国政府による未成年ゲーム規制に関する施策は、今年の4月の時点で既に行政当局から発表されていたものではあるのですが、まさかこんな厳しい基準になるとは…と言ったところであります。以下、今年4月の時点で発表されていたリリース。

HINA GAMING REGULATOR TO INTRODUCE NEW APPROVAL PROCESS THIS MONTH

https://nikopartners.com/china-gaming-regulator-to-introduce-new-approval-process-this-month/

ちなみに、この第一報に対してTwitterなどでは「中国ならではの規制」的な論評が散見されますが、未成年の家庭でのゲームを規制する手法は中国が発祥ではありませんでして、実は既に韓国が2011年から導入している「青少年夜間ゲームシャットダウン制」が発祥であります。要は、この種の施策は共産圏だからこその強権発動というよりは、自由主義圏であったって世論の高まり次第ではこういう方向に社会が動き得るという事であります。以下、GameWatchによる解説を参照。

「青少年夜間ゲームシャットダウン制」に揺れる韓国オンラインゲーム業界

少年少女の深夜プレイを強制的に禁止! その実態に迫る!!

https://game.watch.impress.co.jp/docs/series/korea/446640.html

「シャットダウン制」とは、16歳未満のユーザーは午前0時から午前6時の間、オンラインゲームのプレイを禁じるという法案。韓国では通称“シンデレラ法”とも呼ばれる。この後、韓国大統領がこの法案を承認すれば、今年の10月以降に実施されることになる。仮に施行された場合、すべてのオンラインゲーム提供会社は、韓国内で展開しているすべてのオンラインゲームに、プレイさせないために必要な措置を講じなければならない。

一方、目を欧州圏に転じますと、実は欧州圏では欧州を中心に16か国のゲーミング規制当局(ギャンブル規制当局)が集まるGaming Regulators European Forum(GREF)において、ゲーム内における課金システムのうち特にルートボックス(日本で言う「ガチャ」)や、ゲーム内アイテムを利用した賭け(スキン賭博/アイテム賭博)に関する各国規制に対する意見書が、この9月に策定されたばかりであります。以下、GREFによる意見書「Micro-transactions in social gaming and video games」へのリンク。

Micro-transactions in social gaming and video games

http://www.arjel.fr/IMG/pdf/20190930CPEN.pdf

上記意見書では、ゲーム時間というよりは寧ろゲーム内に実装されるルートボックスや、ゲーム内アイテムを利用したスキン賭博が消費者保護、青少年保護の観点からリスクを高めており、それに対して欧州各国政府の行政当局は積極介入をして行く必要があるとしたもの。実は、アメリカでも類似する論議が既に発生しており、連邦取引委員会(日本の公正取引委員会に該当する組織)において研究会などが始まっている状態です。

What the FTC Loot Box Summit Could Mean For the Video Game Industry

https://www.cbr.com/loot-box-summit-effects-video-game-industry/

そして、実は日本においても既に厚生労働省が今年度前半に青少年におけるゲーム依存を調べた大規模な実態調査を実施済みであり、あとはその発表を待つばかりというのが現状。遠く聞こえてきておる話によると、かなりショッキングな結果が出ているなどという事で、日本は日本でまさに当該論議が瀬戸際まで来ている状況と言って良いでしょう。ゲーム業界では、ゲーム対戦を興行として捉えた「eスポーツ」に注目が集まり、どちらかというと業界にとってはフォローの風が吹いているのは事実だと思いますが、こういう時こそ各種問題に対して注意深く手当てをすることが必要。これは、9月に朝日新聞が報じた関連記事に私自身が寄せたコメントの通りであります。

eスポーツ、甲子園と同じ?ゲーム依存の心配、将来性は

https://www.asahi.com/articles/ASM9F5T7SM9FUTQP02D.html

eスポーツの普及の中で留意すべきことは何でしょうか。健全なカジノ産業のあり方を調査研究する国際カジノ研究所の木曽崇所長に語ってもらいました。

ゲームをeスポーツという競技ととらえるなら、それに集中して長い時間プレーすることは、甲子園を目指す少年が一日中野球をやっているのと同じ。ゲームだけを責める理由にはなりません。依存とは、それにはまりすぎて、その人の経済事情、社会的生活に支障を来してしまう状態です。学生なら、勉学をおろそかにしてはならないのは当然のことです。やりすぎが問題であることを、野球やサッカーとゲームを同じ文脈で語る必要があります。

産業側は、eスポーツの社会的認知を深めるため、競技が持つプラスの効用をしっかりアピールするのとともに、はまりすぎてネガティブな状況が起こり得ることを前提に、これから対策を研究していかないといけないと思います。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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