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【速報】渋谷ハロウィン2019

木曽崇国際カジノ研究所・所長

まずは日が落ちる前の渋谷センター街入口。昨年よりも圧倒的に警察官の動員数が多く、ピリピリした空気を感じます。

配備前の警察官
配備前の警察官

一方、去年まで沢山見られた警察による街宣車両は殆ど出て居ません。代わりに渋谷区が1億円の予算を投じて配備した櫓とセキュリティの姿が。「DJポリス」などという呼称で親しまれていた警察官の誘導員は返上され、誘導は主に区側が配備したセキュリティの役割。警察官はメガホンを持って路上で個別に整備&通行人への注意を行う分業体制の様です。

渋谷区が雇ったセキュリティが櫓の上に
渋谷区が雇ったセキュリティが櫓の上に

今年と去年までのハロウィンとの決定的な違いは、渋谷駅前から109方面へ続く道路の車両侵入規制が一切事前告知されていないこと。去年までは「歩行者天国化」として、その対象となるエリアと時間がメディア等を通じて広く告知されていましたが、今年はその種の情報は一切事前告知されていません。ギリギリまで車両侵入規制をせず、20時前後からタイミングを見て予告なく侵入規制が敷かれた形。去年までは「ホコ天化」というマスコミによる事前の報道が、来訪客を増幅させていた向きがあり、今年は混乱が起きにくいような配慮がなされたのだと思われます。

とはいえ、センター街の中心部やスクランブル交差点は流石に混んでいましたが、去年と比べれば圧倒的に混雑状況は緩和されています。今年はハロウィン当日が木曜日で週末が一切イベント日に絡まない為、客足が少なかったというのも有るのでしょうが。

混在の始まる中心街
混在の始まる中心街

店舗系でいうと、渋谷区からの要請で今年から酒類の販売を自粛したコンビニは、去年と比べると圧倒的に客足が減っていました。去年は店中に入るだけで長蛇の列になっていましたが。

酒類販売自粛の告知
酒類販売自粛の告知

飲食店系はというと、渋谷センター街の入り口にあって最もハロウィンの恩恵を受けるであろう英国スタイルのパブに入ってみましたが、店内はテーブルが排除されパーティ形式になっており、混雑具合は20時前後で大体8割くらいでしたでしょうか。正直、「思ったより入ってないな」という印象でした。

英国風パブ、パーティの様子
英国風パブ、パーティの様子

一方、お酒というよりは食事を中心に出す系の飲食店ですが、かなりシンドそうな様相。警察による規制線の直ぐ外側、人通りはかなり多いエリアの路面店でも、客が入ってなくガラガラな店舗が幾つか見受けられました。

外から見て明らかにガラガラの飲食店
外から見て明らかにガラガラの飲食店

それよりも更に厳しいのが各小売店。渋谷センター街の中心にある薬屋は日が落ちると早々に店じまいをしていました。109横のユニクロも20時には早々に閉店。その他、開いている小売店もフロアには殆ど客が入っていません。

早々に店じまいを始めるドラッグストア
早々に店じまいを始めるドラッグストア
小売店舗は総じてシンドイ営業状況
小売店舗は総じてシンドイ営業状況

今年の渋谷ハロウィンの「勝者」は、クラブやライブハウスの集積する渋谷円山町エリア一円の施設を借り切ってハロウィンイベントを行っていた「渋谷アルティメットハロウィン」という地下アイドルなどを中心として集まるイベントでしょうか。この一円はクラブ街なのもあって渋谷の中でも比較的年齢が高い客層が集まるエリアなのですが、普段はあまり見ることのない未成年(と思われる)女性と、いわゆるオタク系の男性が溢れていました(20時~21時前後)。域内の月極駐車場を借り切りテントを立て、コスプレしたアイドルとチェキ会なども開催され、飛ぶようにチケットが売れていたのが実情。ここが一番、ハロウィン景気を感じたエリア。

円山町ではあまり見ない未成年(と思われる)女性の入場待ちの列
円山町ではあまり見ない未成年(と思われる)女性の入場待ちの列
最も現金が飛び交っていたのがコスプレアイドルとのチェキ会
最も現金が飛び交っていたのがコスプレアイドルとのチェキ会

夜も更けてきて22時ころにもなると、ボルテージが上がって路上の設置物に登って騒ぎ出す者も出て来ましたが、すぐに警察官が笛を吹いてそれを抑制する。櫓の上での「呼びかけ」は区が雇ったセキュリティに任せ、路上に警察官を配備した効用がこの辺で生きて来ます。おそらく警官ではないセキュリティが阻止するだけでは、こうも素直に言う事は聞かないでしょう。

構造物に登って騒ぎ出すも、すぐに警察に制止されるチキン
構造物に登って騒ぎ出すも、すぐに警察に制止されるチキン

また、去年と圧倒的に違ったのは、路上に捨てられたゴミの量が圧倒的に少なかったこと。去年までは路上の至るところにゴミが山の様に積み上げられ臭いを放っていたのが実情なのですが、今年は流石にこれだけ警察官が配備されているとその目の前でポイ捨てする人も少ないのでしょう。

ということで、去年よりも混雑状況が圧倒的に緩和されているのもあって、去年程の極端な混乱は見られない渋谷ハロウィンでありましたが、一方で街の多くの商業者の営業に関しては相変わらず厳しそうなのが正直なところ。これだけの観光客が街に集まっているにもかかわらず、渋谷の街に消費が落ちるようなイベントの構造になっていないというのがやはり渋谷ハロウィンの最大の課題となるでしょう。その辺りに関しては、別途エントリを描きましたのでそちらも合わせてご覧いただければ幸いです。

渋谷ハロウィン問題を解消する為の唯一の方法

https://news.yahoo.co.jp/byline/takashikiso/20191031-00149062/

以上2019年渋谷ハロウィンレポートでした!

※記事掲載の写真はすべて筆者撮影

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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