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ギャンブル等依存対策の読み解き方

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:アフロ)

さて、今月24日、政府内に我が国のカジノ合法化と統合型リゾート整備を推進する「IR整備推進本部」が設立され、これより本格的に我が国の統合型リゾート導入に向けた論議がはじまるわけですが、時事通信より以下のような報道がなされています。

事業者に対策強化促す=ギャンブル依存症で-政府方針

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017032701011&g=eco

政府は27日、競馬などの公営ギャンブルやパチンコを運営する事業者に対して、ギャンブル依存症対策を強化するよう促す方針を固めた。週内にも依存症対策を議論する関係閣僚会議を開き、当面の対応をまとめる。昨年12月にカジノを解禁する統合型リゾート(IR)推進法が施行されたのを受け、政府はギャンブル依存症対策に本格的に乗り出す。今回は第1弾として、検討課題を整理する。

政府としては、昨年12月の法案審議の中でも最も紛糾した論点である、ギャンブル等依存問題への対策を先行させ、年内に国会提出予定のIR実施法の論戦に備える構えです。こうやって定期的に報道がなされてくるワケですが、情報が小出しになっていることもあって、どうもバラバラ感が否めません。ということで、今日は今後政府で進められるであろうギャンブル等依存対策をザックリ整理し、今後それらをどのように読み解いてゆくのが正しいのかを纏めてゆきたいと思います。

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まず現在、様々報じられている政府によるギャンブル等依存対策の内容は原則的に、1)全てのギャンブル等産業に共通する対策、2)各ギャンブル等産業で個別検討される対策、そして3)財源論に大きく三分類されます。 予防教育の整備や依存問題の相談受け付け体制、そしてギャンブル依存に対する回復支援体制の整備などは原則的に産業の個別性はあまり関係ありません。これらは国および自治体側が主導して、共通施策として進めなければならない対策となります。

一方、依存対策には各業界ごとの特殊性や、制度体系を前提に個別論を行うべき項目もあります。例えば入場制限に関する措置、広告規制、提供されるゲーム内容に関する規制は、それぞれのギャンブル等の実態を反映させた対策を考える必要がありますし、そもそも各業界が成立等の論拠としている法律が異なりますから、どうしても個別論が出てこざるを得ません。また、業界によっては法令以下の業界自主規制の中で何らかの対策が別途準備される可能性もあります。

そして三つ目の論点財源論です。特に1)として纏めた各業界の共通施策に関しては、当然ながら各業界の産業規模や社会的影響の度合いなどを鑑みながら、共通で対策予算を拠出する必要が出てきます。また、業界ごとにどのようにその拠出金を徴収するかの具体的な手法を論議することが必要であり、最終的にはこれもまた各産業の論拠法の改正等が必要になってくるかもしれません。

そして最後に必要となるのが、 上記のような各種対策論議の対象となる「ギャンブル等産業」の範囲に関する論議です。現時点ではカジノ、公営競技、パチンコが論議対象となっていますが、今後の論議の進捗によって、それが宝くじ、totoくじや一部の金融商品(FX,商品先物等)に拡大して行くことになるでしょう。また、その先に一時社会問題になったスマホゲームや近年射幸性が急速に上がっているゲームセンターのメダルゲームなどに関する論議もおこるかもしれません。更にいえば、法の規定外ではありますが闇カジノや、ノミ行為、違法なネット賭博などへの対処も考えなければいけません。

これらの論議の枠組みを冒頭で表に纏めましたが、今後、報道側に居る方々、そしてそれを受け止める視聴者および読者の方々は、この図表のように全体論議を俯瞰しながら、今出されてきた論議はどの部分に言及したものなのかを意識して論議を進めていただければ全体がスッキリと把握できるものと思われます。

ギャンブル依存対策に関する今後の活発な論議を期待します。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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