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野球界を蝕む!? 野球賭博の闇

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:アフロ)

この種のモノは「芋づる」式に問題が発覚するのが常であるという事を先のエントリにて書いたワケですが、やっぱり出てきましたね。。この問題、一体どこまで広がるんでしょうか? 以下、朝日新聞より転載。

野球賭博、新たに巨人2投手も関与 NPB発表

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151021-00000024-asahi-soci

日本野球機構(NPB)は21日、プロ野球巨人の福田聡志投手(32)が野球賭博をしていた問題を調査委員会(委員長=大鶴基成弁護士)が調べたところ、福田投手のほかに、巨人の笠原将生(しょうき)(24)と松本竜也(22)の2投手も賭博行為をしていたことが分かったと発表した。

そして、なぜか時を同じくして韓国プロ野球界に置いてもプロ野球選手の賭博と反社会的組織との関与が大きな問題として取り上げられておりまして、今年は違法賭博の世界では謎の「当たり年」となってしまっている様相です。以下、Korea Timesからの転載。

賭博疑惑によってサムソン・ライオンズの韓国シリーズ進出が難局に

Gambling allegations rock Samsung Lions ahead of Korean Series

http://www.koreatimesus.com/gambling-allegations-rock-samsung-lions-ahead-of-korean-series/

Three Samsung Lions pitchers are under investigation for allegedly gambling overseas, according to local broadcast reports. The timing couldn’t be worse for the defending champions as they are vying for a fifth straight Korean Series championship

サムソン・ライオンズの3投手が、海外での賭博疑惑で捜査を受けていると地元メディアが報じている。非常にタイミングが悪い事に、ライオンズは5年連続となる「韓国シリーズ・チャンピオンシップ」に進出したところであった。

日韓プロ野球選手の賭博問題で気になるのが、両国で発生した事件ともにピッチャーが疑惑の対象となっているという事なんですよね。

かつて1970年前後に発覚し、我が国を震撼させた大型八百長野球事件といえば「黒い霧事件」ですが、この時に事件発覚のキッカケとなったのも、当時西武ライオンズの投手であった永易将之氏でした。さらに言えば、その後芋ヅル式に発覚した八百長関与者とされる約20名のプロ野球選手も、その大多数が投手。野球の試合において、「個人で」試合結果に最も影響を与えられるのはやはりピッチャーですから、八百長を持ちかける反社組織も彼らを中心にアプローチを行うワケです。

一方、当のプロ野球選手も生半可な気持ちで八百長なんかに手を貸すわけはありません。アプローチする側の反社組織としても最初から八百長の持ちかけをするのではなく、例えば現在問題となっている違法な賭博行為などを持ちかけて選手にアプローチし、さらに借金などで手足を縛りながら、徐々に八百長仲間に引き入れてゆくワケです。

今回の事件に関しては、未だ八百長事件にまでは発展しておらず、巨人選手にアプローチをしていたとされるA氏と暴力団との関係に関しても明確な報道はなされていません。ただ、やはり問題に関与している選手が全員ピッチャーであったという点においては、何となく「嫌な予感」がしないこともない。今回の事件が、より大きく別の問題に燃え広がらないことを切に祈らざるを得ません。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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