最初に断っておきますと、私自身はカジノ推進派であれど、「十分な論議を行うべき」というスタンスの人間であって、反対派の存在を頭から否定をすることは原則的にありません。共産党のカジノ反対派の急先鋒である大門議員の意見はいつも興味深く拝聴しており、本ブログへの彼の発言の引用回数は下手をすれば推進派議員のコメントよりも多いくらいですし、同様に最近反対派が出版した「カジノ狂騒曲 日本に賭博場はいらない」という本が非常によく出来ていると周辺に吹聴して廻っており、「オマエは、一体どちら側の陣営に居るつもりなんだ?」と他の推進派から文句を言われかねない状況です。

でも、マジメにあの本は、反対派の論としては非常によく出来ているので、カジノ反対派のみならず賛成派も含めて必読本であると思います。(それに合わせて、9月26日に発売される拙著「日本版カジノのすべて」もよろしくね、と軽く宣伝)

…と、前置きが長くなってしまいましたが、このようなスタンスの私なのではありますが、昨晩BS11「報道ライブ21 INsideOUT」で放送された「カジノ解禁前に考える・ギャンブル依存症」という番組企画があまりにも酷すぎて、さすがに苦言を申し上げるしかありません。何が酷いって、カジノ反対派の代表として担ぎ出されていた民主党の小川敏夫議員(元・法務大臣)の存在ですよ。番組の中で、小川・元法相は、以下のようにノタマウわけです。

小川・元法相:

カジノに反対する理由は、依存症の人が出れば公的に対応しなくてはいけないし、これからの日本社会は労働力人口が減少していき、社会に活力がなくなるという時代に依存症の人は脱落してしまう。

まぁ、この論自体は反対派の論としては一般的なものであって、全く違和感はありません。しかし、私が何を許せないって、この言葉を、ことに及んで小川・元法相が吐いているという事なんです。いや、マジメに、この人のバックグラウンドを知っていれば、「どのツラ下げて、そんなコメント吐いてるのか?」って気になりますよ。

小川氏は、民主党・野田政権下で法務大臣を務めた議員でありますが、わずか4カ月という短期間で更迭された「短命大臣」として知られています。その更迭理由はいくつかの複合的な要因であったわけですが、彼が起こした大きな問題の中に「参議院委員会において、競馬の携帯サイトをチェックしていた」というものがあります。以下、当時報道されたANNニュースより転載。

報道上では、競走馬を2頭保有しているとなっていますが、小川法相の競馬好きは筋金入りであり、この問題が噴出した時点で、過去からの累積で68頭の競争馬を保有し、賞金総額は7億3700万円にも及ぶ大馬主です。当然のことながら、競馬に競走馬を提供する馬主は、それに乗る騎手と同様に競馬産業の従事者なのであって、同氏は我が国の賭博産業の中でサービスを提供する側の人間であります。

また、小川・元法相はこの問題をキッカケとして、国会にて「馬主業に従事していることが、総理・閣僚申し合わせ事項の中で定められる『大臣の兼業禁止』に反するのではないか」として追及を受けます。以下、その追及を行った世耕議員のwebサイトより転載。

世耕議員:

これ、総理、閣僚申合せ事項で兼職が禁止になっています。これは、例えば権限を行使してはいけないとかそういういろんな意味もあると思いますが、やっぱり基本は大臣としての仕事に集中しなさいということだと思いますね。馬主として日中、党首討論の直前に、やっぱり自分の馬の状況どうなっているだろうか、そうじゃないと今年の収入にかかわるよといって気になるようではこれは仕方ないわけでありまして、私は馬主はやめられるべきだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

小川法相(当時):

私が競走馬を所有しているのはあくまでも趣味でございます。人それぞれに様々な趣味があると思います。

ただ、この競走馬に関しましては、その収支に関しまして税務上事業所得として計上してもいいという扱いがされておるだけでございまして、私は事業としてその競走馬を持っておるのではなくて、あくまでも趣味として持っておるものでございます。

出所)http://www.newseko.gr.jp/pressroom/shitsugi/s_20120312_02.html

また、冒頭に紹介したBSの番組において、小川・元法相はカジノ合法化の問題点を労働人口の低下と結び付けて批判を展開するわけですが、当時、競馬サイト問題で追及された時にはご自身の労働意欲と競馬の関係に関して以下のように答弁しています。

世耕議員:

実際仕事が手に付かずにそうやって携帯で見ておられるわけですから、少なくとも大臣をやっている間は、少なくともですよ、それは趣味とおっしゃるなら馬を持っていただいていても結構ですけれども、出走はやめたらどうですか。

小川法相(当時):

あくまでも趣味でございまして、確かに委員会の始まる十三分前ですか、その何秒間か情報に接したのは、今後そういうことがないようにと注意いたしますが、そのことによって委員会に対する集中力が欠けたというようなことは全くございませんので、また、私の趣味に関しまして、馬を持つなと言われましても、持たないと馬はどうしちゃうんでしょうか、生き物ですので、これ不用意に手放すと困りますしですね。

ですから、やはり様々な状況を考えまして、結論としまして、私の趣味でございますので私は続けさせていただきたいと思っております

出所)http://www.newseko.gr.jp/pressroom/shitsugi/s_20120312_02.html

ということで、小川法相は、再三に渡って「馬主をやめるべきだ」もしくは「少なくとも大臣の間は出走を控えるべきだ」として迫られるワケですが、短い答弁の中で「あくまで趣味なのだ」「職務には影響がない」という説明を何度も繰り返し、「今後も馬の所有は続けたい」という立場を貫くわけです。

まぁ、大臣になるような方々の中には、例えば不動産を沢山保有していて、それを賃借・運用して収益を得ているような方々もいるワケで、「馬の保有がそれとどう違うのか?」といわれれば、私個人としていえば「そんなに目くじら立てる必要はないのでは?」と思います。また、私の立場においては、当然ながら競馬を趣味とすること自体を非難するつもりもありません。(もちろん、職場で情報収集は控えるべきですが)

ただね、私がどうしても小川・元法相に対して許せないのは、ご自分が競馬という賭博業種にこれほどまでに深く従事している業界人であるにも関わらずギャンブル依存症批判を展開するなんてのは、完全に「自分のことを棚に挙げた」状態であるということ。カジノ反対派にまわってギャンブル害悪論を展開する論者としては完全なる「不適格者」であるとしか言いようがありません。おそらく、彼の中では己が出走させている競走馬に賭けを行うファンが居るからこそ、それら事業が成り立っているという自覚すらないのでしょう。同じく賭博業界に身を置く者として、最低、最悪の業界人であると断じておきたいと思います。

という事で、昨晩からムカついて仕方がないので改めて言わせてください。「どのツラ下げて、カジノに反対しとるんじゃ、ボケ」。