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【FIBAバスケットWC】ドイツ初の世界一! 勝因は3Qでセルビアを10点に抑えたディフェンス

青木崇Basketball Writer
シュルーダーを軸に攻防両面で素晴らしいプレーを発揮していたドイツ (C)FIBA

 ワールドカップにおけるドイツとセルビアは、ともに質の高いオフェンスを遂行するチーム。準決勝までの7試合でドイツは100点ゲームを4度達成するなど平均93点、セルビアも負けたイタリア戦を除いて87点以上、平均95点という数字を出していた。

 そんな両チームが対戦した決勝の前半は、リードの入れ替りが15回、同点が8回、最大得点差がセルビアの5点リードという激戦。決勝ならのでは緊迫感がありながらも、両チームともボールが活発に動くオフェンスを展開して得点を重ねたことで、47対47というハイスコアでハーフタイムを迎えた。

「ロッカールームでコーチが、相手をストップしなければならない、ディフェンス面でもっとプライドを持たなければいけないと言ってきた。アメリカ戦と同じようにね。それを(今夜の後半で)僕らがやったことだ。全員がディフェンスで貢献した。ヨハネス・ボイトマンもダニエル・テイスも、ロッカールームにいた全員が、プレーしていない選手も準備万全だった。それが試合に勝てた理由だと思う。チームが一体となって(セルビアを)ストップし、リバウンドを取り、トランジションゲームに持ち込めた」

 デニス・シュルーダーの言葉が象徴するように、3Qになってからドイツはディフェンスの強度が明らかに上がった。セルビアの得点源であるボグダン・ボグダノビッチは前半だけで15点を奪っていたが、8分4秒にティップインを決めたのを最後に、試合終了まで得点を奪えない。ドイツがフェイスガード気味に密着し、ボグダノビッチにボールを持たせないディフェンス対応が成功し、3Qでセルビアが決めたショットは16本中3本。「ドイツがよりフィジカルにプレーしたことで、我々にとっては大きな問題になってしまった」とアレクサ・アブラモビッチが語ったように、ドイツはセルビアを10分間で10点に抑えたことで、69対57とこの試合最大得点差で4Qを迎えることになった。

ドイツの厳しいディフェンスによって後半2点に抑えられたセルビアの得点源ボグダノビッチ (C)FIBA
ドイツの厳しいディフェンスによって後半2点に抑えられたセルビアの得点源ボグダノビッチ (C)FIBA

 3Qのディフェンスで優位に立ったドイツだが、セルビアは簡単に勝たせてくれない。4Q7分49秒の3Pをきっかけにアブラモビッチが3分弱で8点を稼ぎ、セルビアは4点差まで詰め寄る。チーム最多となる21点を奪ったアブラモビッチは、残り1分21秒で3Pショットを打った際にファウルをもらうと、フリースローを3本とも成功させて75対78。ドイツは1回のオフェンスで同点に追いつかれる状況に追い込まれただけでなく、直後のオフェンスでイサック・ボンガがボグダノビッチにスティールされるターンオーバーを犯してしまう。

 ドイツは何とかディフェンスに戻ることができたものの、ボールをドリブルし続けたボグダノビッチが右のコーナーで完全にノーマークになっていたマルコ・グドゥリッチにパス。ドイツからすれば痛恨のターンオーバーになると思われたが、残り56秒に放たれたグドゥリッチの3Pショットはリングを弾き、ボイトマンが着実にディフェンシブ・リバウンドを確保した。アブラモビッチは4Qについて次のように振り返る。

「我々は追撃し、追いつくチャンスがあった。でも、(マルコの)ショットは外れてしまった。これがバスケットボールというゲームだ」

決勝でも28点の大活躍で大会MVPとなったシュルーダー (C)FIBA
決勝でも28点の大活躍で大会MVPとなったシュルーダー (C)FIBA

 セルビアに追いつかれずに済んだドイツは、最後の最後にシュルーダーが頼れる大黒柱としてのビッグプレーを決める。2点リードで迎えた残り39秒からのオフェンス、セルビアのプレス・ディフェンスを何とか振り切ると、31秒のところでシュルーダーは1対1を仕掛けると、持ち味のクイックネスを活かしてアブラモビッチを抜き去ってのレイアップでフィニッシュ。次のオフェンスでセルビアがターンオーバーをしたことで、ドイツの勝利は決定的となった。

 ファイナルスコアは83対77。ドイツは初の世界一になったことに加え、準決勝でアメリカを倒すなど、8勝0敗という文句なしの成績で頂点に立った。ゲーム最多の28点を記録したシュルーダーは、ワールドカップのMVPに選出された。

「すごいグループだよ。7月の終わりに(ワールドカップに向けた)準備をスタートしたけど、コーチが僕たちを一つにしてくれたという点で素晴らしい仕事をしてくれた。みんなが役割を理解し、成功するために最大限の努力をしてくれた。我々が戦ったグループ戦、次のステージでジョージアとスロベニア、そしてKOステージ(準々決勝からの3試合)も勝って、8勝0敗という結果はすごいと思う。ドイツから家族、妻と子どもたちが来てくれた中で金メダルを獲得できたことには、本当に恵まれていると思う。信じられない」

 東京五輪後にゴーディー・ハーバートが新しいヘッドコーチとなり、昨年のユーロバスケットで3位という成果を出したドイツ。あれから1年でワールドカップを制したことは、シュルーダーを軸に多くの選手たちが貢献できるチームへと成長したことが大きい。ワールドカップでの8試合で見せたオフェンスの遂行力とディフェンスとフィジカルのタフさは、パリ五輪でさらにレベルアップするか注目に値する。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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