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【U19ワールドカップ日本代表】3〜4Qにかけて献上した悪夢の21連続失点でセルビアに逆転負け

青木崇Basketball Writer
セルビア相手に奮闘したものの、4Qで力尽きた日本 (C)FIBA.com

 セルビアとのグループ最終戦、日本は前半だけで11本とターンオーバーが多くなりながらも、エジプト戦以上に粘り強さを発揮する。1Q序盤で4対14のスロースタートを切り、2Q序盤で20対30とリードを広げられた後に点差を詰めることができたのは、世界大会で1勝したことで手にした自信から来ているように思えた。

 得点源である川島悠翔がターンオーバーの多発とファウルトラブルに直面し、エジプト戦で25点を奪ったジェイコブス晶も前半は4点。そんな状況であっても、ロロ・ルドルフが限られた出場時間でアグレッシブにゴールへアタックし、渡辺伶音のレイアップや坂本康成の3Pショットをアシストするなど、日本はこれまでの2試合以上にベンチ陣のステップアップを実感できる前半を過ごしていた。

 33対42で迎えた3Q、ジェイコブスが2本のレイアップと3Pを決めるなど、3分12秒間で9連続得点を奪って追撃開始。セルビアのオフェンスを停滞させることに成功した日本は、武藤俊太朗とジェイコブスの連続3Pショットで48対45と逆転に成功する。さらに、活発なボールムーブから内藤耀悠と小川瑛次郎が3Pショットを決めると、日本は59対49とリードを2ケタに乗せた。

エジプト戦に続き、チーム最多となる16点を記録したジェイコブス (C)FIBA.com
エジプト戦に続き、チーム最多となる16点を記録したジェイコブス (C)FIBA.com

「ヨーロッパ3位のセルビアに対し、我々は3Pショットを多く決めるなど、いいプレーをしていたと思う」とアレハンドロ・マルティネスヘッドコーチが語ったように、試合開始から約29分間の大半は日本がやりたいバスケットボールを展開。3Q3分3秒に川島が4つ目のファウルを吹かれてベンチに下がっても、今日の日本ならば辛抱できるという期待を持てる試合内容だった。

 しかし、イリヤ・ミリヤセビッチにオフェンシブ・リバウンドのレイアップと3Pショットを立て続けに決められてしまうと、日本の勢いは完全に止まってしまった。残り24秒でマルティネスヘッドコーチがタイムアウトを取ったものの、セルビアの猛攻は4Qになるとさらに拍車がかかり、日本に10点リードされてから怒涛の21−0のランで逆転。さらに、川島が7分8秒でファウルアウトになったことは日本にとって大きな痛手であり、4Q開始からの6分6秒間で1点も取ることができなかった。

 ファイナルスコアは76対65。猛攻でセルビアに逆転された局面についてマルティネスコーチは、「ドリブルばかりで、ボールをシェアするというバスケットボールをしなかったからだ」と返答。キャプテンの小澤飛悠、5点、2リバウンド、2スティール、出場時間21分32秒で得失点差が+3と奮闘した武藤も、指揮官と同じ見方をしていた。

「今日の試合は結構自分たちの流れで行っていたんですけど、4Qでボールが止まってしまい、単発になって相手にブレイクで走られたので、こうなってしまった感じです。みんながひとりひとり、自分がやろう自分がやろうと思うのはいいことですけど、それでボールが離れなかったり、自分が行くよりは他の人が行ったほうがいいのに自分で行ってしまったりとか、そういうのが目立ったので、やっぱり球離れが悪かったと思います」(小澤)

「自分たちのシュートが落ち始めてきた時にオフェンスが停滞してしまったので、そこを修正しないといけない。シュートは1試合通して入り続けるわけじゃないので、修正しないと今日のようなことがまた起きてしまうと思っています」(武藤)

ルドルフやベンチ陣の貢献度は試合を経験するたびに上がっている日本 (C)FIBA.com
ルドルフやベンチ陣の貢献度は試合を経験するたびに上がっている日本 (C)FIBA.com

ブラジルがエジプトを73対67で競り勝ったことで、日本は1勝2敗の3位でグループ戦を終了。決勝トーナメント1回戦では、地元のハンガリーと対戦する。完全アウェイの戦いを強いられることになるが、グループ戦で敗れたブラジルやセルビアに比べると、サイズや身体能力で圧倒されるシーンは限定させることは十分可能な相手だ。

「明日勝てばベスト8で自分たちが記録(2017年大会の10位)を塗り替えられるので、全力でやりたいと思います」と小澤が語れば、武藤も「今日はセルビア相手に3Qで完璧なバスケットができたので、あの時間帯を自信にして、明日絶対に勝ちたいと思います」と、ハンガリー戦に強い意欲を示す。デブレツェンの地でU19日本代表が新たな歴史の1ページを記すためには、この試合で7本のターンオーバーを犯してファウルアウトとなった川島が、ブラジル戦で見せたアグレッシブなプレーを再現し、不調から脱却できるかにかかっている…。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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