Yahoo!ニュース

Bリーグファイナルの激戦で鍵を握る存在として競い合ったノートルダム大学出身のビッグマン

青木崇Basketball Writer
攻防両面でフィジカルに戦い続けたクーリーとムーニー (C)B.LEAGUE

 昨季悲願のB1制覇を目前で逃して悔しい思いを味わった琉球ゴールデンキングスと、天皇杯王者でリーグ最高成績を残して2年ぶりの頂点を目指す千葉ジェッツによるB1ファイナル。フィジカルの強さを攻防両面で発揮できる琉球に対し、3Pショットを量産するハイパワーオフェンスが魅力の千葉の対戦では、ファイティングアイリッシュというニックネームを持つノートルダム大学出身のビッグマンが、シリーズの鍵を握る存在になった。

 琉球のジャック・クーリーは206cm、112kgのビッグマン。ノートルダム大学4年生時の2012-13シーズンに平均13.1点、10.1リバウンドを記録し、4年間のFG成功率では60.1%とインサイドで着実に得点する選手になっていた。NBAに定着することはできなかったが、ハードワークとリバウンドの強さで違いをもたらす可能性を秘めていた。安永淳一GMの熱意を受け入れ、琉球と契約したのは2019年のこと。1年目のシーズンから琉球にとって頼れる存在、相手からすると厄介なビッグマンとなっていた。クーリーはこう語る。

「妻とも結婚したこととキングスと契約したことは、人生において最高の決断だったと思う。沖縄のことをすごく気に入っているし、GMのジュンが私をここに来させたんだ。このチームをまとめてくれた組織全体に脱帽するしかない」

 ゲーム1はファウルアウトになってしまったが、27分34秒間で14点、12リバウンド。そのうちの7本がオフェンシブリバウンドと、セカンドチャンスからの得点で琉球が千葉を26対11と圧倒する原動力になった。ゲーム2でも30分48秒間で19点、15リバウンドのダブルダブルを達成するなど、インサイドで強烈な存在感を示した。2連勝で決着がついたファイナルのMVPはアレン・ダーラムだったが、クーリーが選ばれた可能性も十分にあった。

 千葉のジョン・ムーニーはクーリーより6歳下の25歳。ノートルダム大学ではクーリー同様、3年生になった2018-19シーズンから主力選手の一人となり、2019-20シーズンには平均16.2点、12.7リバウンドを記録している。平均リバウンドに関しては、2年連続でレベルの高いアトランティック・コースト・カンファレンスで1位という実績を残した。

 2020年のNBAドラフトで指名されなかったムーニーは、プロキャリアをオーストラリアのNBLでスタートし、シーズントータル480リバウンドはNBL史上3位という活躍を見せた後に昨季千葉ジェッツと契約。リバウンドの強さに加え、インサイドでもアウトサイドでも得点できる能力を持つビッグマンとして、千葉に欠かせない戦力になっていた。ジョン・パトリックコーチはこのように評価する。

「リーダーとしてどうしても勝ちたい、CSを勝ちたいという気持ちが強く、ムーニーは若いけど、毎日のケアにしてもシューティングにしてもすごくプロフェッショナルにやっていて、ロールモデルとしてもチームの中で活躍してくれたと思います」

 琉球とのファイナルでは、クーリーとマッチアップするシーンも見られた。特にペイント内でのリバウンド争いは、B1で最もフィジカルな戦いと言ってもいいくらい。2OTで惜敗したゲーム1では26点、22リバウンドと驚異的な数字のダブルダブルを達成。2OTの土壇場で捻挫してしまった右足首の痛みに耐えながらも、ムーニーはゲーム2でも13点、9リバウンドと奮闘し、攻防両面でチームを支えた。それは、プロ選手としての経験が豊富な西村文男の「彼は間違いなくチームのMVPです。派手なパフォーマンスはそこまでないですけど、縁の下の力持ちをやってくれて、リバウンドなど言うことはないですね」と話したことが物語っている。

6歳差ということでノートルダム大で一緒にプレーしたことはないが、お互いのプレースタイルを尊敬し合うクーリーとムーニー (C)B.LEAGUE
6歳差ということでノートルダム大で一緒にプレーしたことはないが、お互いのプレースタイルを尊敬し合うクーリーとムーニー (C)B.LEAGUE

 天皇杯に続いて同じ大学出身のクーリーと対戦できたことの意味について質問すると、ムーニーは次のように返答した。

「天皇杯では我々が勝ったし、(史上最高勝率など)今季で成し遂げてきたことに対して何も取り除くことなどできない。クーリーに関してはとてもリスペクトしているし、すごくフィジカルが強い選手だ。競い合えることを楽しんでいたけど、この2日間では勝った琉球に敬意を表したい」

 クーリーもムーニーのプレーに対して非常に尊敬しており、今後もBリーグの舞台で頂点を目指して競い合うことを楽しみにしている。

「彼のプレーを私はとても誇りに思っている。私がしていることのすべてをやっているし、ジョンはもっと高くジャンプできる。今日は足首が少し痛かったみたいで、いつものような弾みがなかった。でも、彼が成長し、キャリアを重ね、プレーし続ける姿を見ることができることを私はただただ誇りに思う。本当によかったと思う。でも、(ノートルダム大学時代のマイク)ブレイコーチからのメールを受け取るのは恐らく私だろう。 

(今後も頂点を競い合うことは)間違いないし、楽しみにしている。今シーズンのリバウンド争いのトップは、私と彼で争っていた。(レギュラーシーズン終盤の)先月は彼がすぐ後ろにいたから、リバウンドを奪うことに躍起になったからこそ、自分が1位になることが実現できた。我々も千葉も長期的な成功を収められるように設定されているから、今後もいいライバル関係が続くと思う」

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

青木崇の最近の記事