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【シーホース三河・西田優大】連敗脱出の決め手となったビッグプレーは強気に攻め続けた成果

青木崇Basketball Writer
三河にとっては攻防両面で重要な存在となっている西田 (C)B.LEAGUE

 負けれた10連敗という状況で迎えた1月22日の新潟アルビレックスBB戦、シーホース三河は土壇場までもつれる接戦を4点差で制し、12月24日以来となる白星を手にした。ダバンテ・ガードナーの23点、10リバウンド、8アシストという活躍は間違いなく勝因になるのだが、試合の行方を決定づけたのは西田優大である。

 4Q3分34秒に柏木真介の3Pで7点のリードを奪った三河だが、前日の試合で快勝したことで自信のレベルを上げていた新潟に1分7秒で77対77の同点に追いつかれてしまう。直後のオフェンスで得点できなければ、逆転負けの危険性が高まりそうな状況だったが、西田はポストアップからペイントへアタックし、利き手と逆の右のワンハンドショットを決めて勝ち越し。残り9秒のタイムアウト後には、ファウルゲームに行こうとした新潟のディフェンダー2人をスピンムーブでかわすと、4.4秒で勝利を決定的にするレイアップを決めたのである。

「ファウルゲームに来るということで、ダバンテはフリースローがうまいので、彼がボールを受ける準備をしたんですけど、しっかりディナイされた。その時西田に“ダメだったらお前が(ボールをもらいに)出ろよ”という話をしたらその通りに出て、しかもゴールが空いていたので(ディフェンダーから)逃げながらアタックしてくれた。ちょっと遠慮しながら先輩に気を遣って攻めないところが時々あるので、若くてこれからの選手ですから“どんどん行きなさい”と試合前にしました。川崎戦の前にもそういう話をしたけど、昨日のゲーム前はやらなかったので、ちょっと毎回言おうかなと思っています」

 鈴木貴美一コーチがこう語ったように、西田のアグレッシブに攻め続ける姿勢は、今の三河が勝利を手にするうえで欠かせない。新潟戦で記録した20点は、今季3番目に高い数字。18日の川崎ブレイブサンダース戦で今季最多の22点を奪ったが、その前は8試合連続で1ケタ得点に終わっていた。西田は新潟戦を次のように振り返る。

「ダバンテがコフィー(コーバーン)につかれていたので、いつも通りインサイドでゴリゴリできるか言ったらそうではなかったですし、昨日はそこに任せてしまい、ペリメター陣のペイントアタックが少なかったと思うので、今日は積極的にやろうと思って臨みました」

 9連敗中の三河は、70点未満が3試合あったのに対し、80点以上が1試合のみ。ディフェンスの奮闘があっても、バスケットボールはショットを決めて得点を積み重ねていかなければ勝てないスポーツ。「なかなかチームとしても何やってもうまくいかず、本当にどうしたらいいんだろうっていう中で選手たちがやっていて、答えがないのが答えというか、すごくもがきながらやっていました」と言う西田に対し、「やはり彼中心でやらなければ、うちのチームが強くなる要素がなくなってしまう」と鈴木コーチは語る。

 クインシー・ミラーとシズ・オルストンという新外国籍選手を加入させ、苦戦したシーズン前半からの巻き返しを図りたいシーホース三河。ガードナーを筆頭にした外国籍選手に頼るのではなく、西田が新潟戦の土壇場で見せたような強気なプレーで活躍できるかが、成績向上のカギになるだろう。アグレッシブにプレーし続ける必要があると記述するもう一つの理由は、夏に開催されるワールドカップの日本代表メンバーに選ばれ、世界と戦う機会を得ることに直結しているからだ。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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