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【Bリーグアジア特別枠選手に直撃】「香川は自分のスキルを発揮する絶好の機会」ルーズベルト・アダムス

青木崇Basketball Writer
オールラウンドなプレーで貢献度アップが期待されるアダムス (C)B.LEAGUE

 1月7日のライジングゼファーフクオカ戦の2Qで、ルーズベルト・アダムスは体に痛みを感じてベンチに下がると、翌日の試合出場を見合わせた。長いシーズンを見据えて無理をさせなかったが、跳躍力とクイックネスを兼備したアジア特別枠のスイングマンとして、攻防両面で香川ファイブアローズをレベルアップさせると期待されている選手なのは間違いない。アメリカ、フィリピン、日本で経験してきたことなどを含めて、1月8日の試合後に話を聞いた内容をここで紹介する。

Q 高松での生活はいかがですか?

「すごく違いがありますね。去年来たのですが、フィリピンは夏で湿度が高いです。冬という季節を気に入っていますけど、ここはとても寒いし、暖かい天候に恋しくなることもあります。でも、ここの人たちは本当に素晴らしいし、この世界と引き換えることはないでしょう」

Q 日本の文化を経験したときの印象は?

「最初の印象は、練習へ行ったときにキャプテンが私のところに来て、“シューズのサイズは?”と聞かれたので、サイズを彼に伝えました。数日後、彼は真新しいシューズを持ってやってきて、「日本へようこそ」と言ってきたのです。私は“ウォー、これがカルチャーなんだ”と感じました。 日本のカルチャーは与えること、そして敬意を払うことが重要なのです。温かい歓迎にはとても感謝しています」

Q それをやったのは兒玉(貴通)選手ですか?

「そうです」

Q 好きな日本食は?

「日本食? 寿司です。よく食べますね。僕と妻はいろいろな種類の寿司を食べるのが好きで、揚げた寿司ロール(Fried sushi roll)も好きなんだ。でも、こちらに来てからまだ試していないんです。まだ機会がないですけど、将来的には食べに行けたらと思っています」

Q バスケットボールの話になりますが、香川からオファーがあったときの第一印象は?

「すごくワクワクしました。日本でプレーするチャンスやオファーがあったことは、自分のスキルを発揮するためということでも絶好の機会でした。素晴らしい国、素晴らしい人々、そして素晴らしい環境があります。妻に相談したところ、最高のチャンスだと言われました」

Q では、Bリーグでプレーすることの醍醐味は何ですか?

「たくさんありますね。一番は競争力、ゲームの速さでしょう。練習でも、だれもが毎日高いレベルで競い合っています。私のチームメイトたちは毎日毎日競争しているんです。高いレベルで競い合うことが、上達するためにベストな方法なのです」

Q 選手としての強みは?

「私は大きなガード/フォワードです。それは、どのチームにとっても大きな財産になると思います。このポジションで私はリバウンドもかなりハードに奪いますし、3Pシュートも打てるので、フロアを広く使うことができます。正直なところ、ほんの少しでも得点を稼げれば、どのチームにも貢献できると思っています」

Q 生まれも育ちもアメリカ、アリゾナ州出身なんですね?

「そうです」

Q アメリカ、フィリピン、日本でプレーしてきましたが、それぞれの国のバスケットボールのプレースタイルや文化について、どのような違いを感じますか?

「難しい質問ですね。私がアメリカでプレーしていた大学レベルや、PBAなどに比べると、日本はペースがとても速いんです。先ほども言いましたが、競争レベルがとても高いんです。毎日のようにゲームがやってきます。正直なところ何とも言えませんが、どこへ行っても競争レベルはどんどん上がっている。今のところはそう思っています」

Q バスケットボールはコンタクトスポーツであり、非常にインテンシティの高いゲームですが、日本のゲームではフィリピンに比べて小競り合いや乱闘が少ないと思うのです。そう思いますか?

「過去2年PBAにいたことからすれば、フィリピンのゲームはとてもフィジカルだと言えます。ゲームをするごとに、精神的にも肉体的にも衝突する覚悟が必要でした。そういった経験をここに持ち込むことは、長い目で見てみれば、私の成長の助けになっていると思います」

Q ご自身の経験を振り返ってみて、なぜそのようなことが頻繁に起こるのか、何か理由があるのでしょうか?

「厚顔無恥な選手が中にはいます。試合中に気に障るなることがあっても、それを乗り越えて相手の裏をかく必要があるのです。フィジカルで勝負するのではなく、彼らから得点を奪いに行くのです。だから、結局のところは賢くなること、それだけのことです」

Q 日本では、規律を持った選手が多いということですか?

「規律はそうですね。誤解してほしくないけど、日本にもフィジカルなところはあります。先ほども言ったように、結局のところは高いレベルで競い合うということなんです」

高いレベルで競争し続けることが成功へのカギと話すアダムス (C)B.LEAGUE
高いレベルで競争し続けることが成功へのカギと話すアダムス (C)B.LEAGUE

Q 今日の試合(ライジングゼファーフクオカ戦)やっと勝てましたが、香川は苦しんでいます。この状況から抜け出すには、何がカギになるのでしょうか?

「今の私たちはようやく正しい方向が見えてきたところです。今日はとてもハードにプレーしましたし、このチームはディフェンス面でもう一段上のレベルに行けるとわかっています。自分たちの能力を示すことができたので、あとはそれをゲームをするごとに維持し続けるだけです。まずは練習から。練習で一歩も後退してはいけないのです。練習での成果がゲームに移行できれば、我々の試合はもっと簡単になっていくと思います」

Q 残りのシーズンでチームにもたらしたいことは何ですか?

「毎試合、もっと効率よく入っていきたいですね。エナジーをもたらしたいと思っています。先発でもベンチからであっても毎試合、チームの勝利に貢献できるような素晴らしい数字を残すことを示したいです」

Q 最後に、選手としての目標を教えてください。

「当然ながら優勝したいですね。バスケットボールを始めてから、ずっと優勝したことがありません。チャンピオンになれば、最高の気分になれると思うんです。自分がチャンピオンになったという実感を持つこと、それが大事だと思っています」

●ルーズベルト・アダムス(Roosevelt Adams)

1994年5月22日生まれの28歳。アメリカ・アリゾナ州ユマ出身で、フィリピン国籍を持つ196cmのスイングマン。NAIAのカレッジ・オブ・アイダホから2019年にPBAドラフト1巡目1位でコロンビアンに指名され、昨年はフィリピン代表としてワールドカップ予選ウインドウ4のサウジアラビア戦に出場している。今季からアジア特別枠として香川ファイブアローズに入団。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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