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仙台89ersへの移籍によって大きく変化した役割にやり甲斐を感じ、自信を深めている小林遥太

青木崇Basketball Writer
仙台では終盤の大事な局面でゲームを任されている小林 (C)B.LEAGUE

 青山学院大を卒業後の2014年6月、bjリーグの滋賀レイクスターズ(現滋賀レイクス)に入団して以来、プロ選手として8年目のシーズンに臨んでいる小林遥太。滋賀時代や名古屋ダイヤモンドドルフィンズでの2018−19シーズンには、先発で出場する機会も多かった。

 しかし、名古屋ではシーズンを重ねるごとに出場機会が減少。その要因は、齋藤拓実がチームの中心選手へと成長したことと、伊藤達哉の加入によって昨季は3番手のポイントガードになってしまったことが大きい。タフなディフェンスとゲームコントロールを持ち味とする小林は、出場機会を得るために仙台89ersへ移籍したと言ってもいい。今季B1昇格したチームにおける小林の存在について、藤田弘輝コーチは次のように語っている。

「本当にIQが高く、チームを落ち着かせられるので、あえて言いますと渡辺翔太はそこまでに達していないと思います。彼が成長しなければいけないと思いますし、今だったら小林が落ち着かせることができると思います」

 指揮官の言葉に象徴されるように、今の小林は名古屋時代と大きく違い、試合の終盤のゲーム・マネジメントを任されている。圧巻だったのが11月27日の川崎ブレイブサンダース戦。3P2本を含むFGは3本すべて成功させ、フリースローを6本中5本決めての13点を奪い、91対87で仙台が逆転勝利を手にする原動力になった。

 12月3日の新潟アルビレックスBB戦でも、小林は延長で2本の3Pショットを成功させるなど、終盤で頼りになる選手として存在感を増しているのは明らか。3P連発については、「最近はシュートタッチがいいので、空いたら思い切って打とういうのはありました。久々に地元(新潟県出身)での試合だったので、少しいいところを見せたいなという想いが募ったこの3Pだったのかなと思います」と話す。

12月3日の新潟戦では延長で3Pショットを2本決めて勝利に大きく貢献 (C)B.LEAGUE
12月3日の新潟戦では延長で3Pショットを2本決めて勝利に大きく貢献 (C)B.LEAGUE

 藤田コーチからの信頼度が上がり、司令塔として試合のクロージングを任されることによって、小林はより高いモチベーションで日々を過ごすことができている。

「やっぱり責任は大きいといいますか…。でも、その分やりがいも感じているので、(クロージングを)任されてる以上は自分の仕事をしたいのもあります。チームを勝たせたいっていう思いがすごく強いので、やりがいを感じています。これからもいいところでシュートを決めたり、アシストできたりできるような選手になりたいなと思っています」

 もちろん、元々の強みであるディフェンスの質を維持しつつも、ポイントガードとしてのゲームメイクと得点でいい仕事をし、今や仙台に欠かせない主力選手となった小林。新潟との2戦目は残り0.3秒で同点の3Pを決められて延長に持ち込まれ、75対79のスコアで競り負けたものの、川崎を破った試合をきっかけにチームの成長に手応えを感じている。

「川崎戦は一つの大きなきっかけになったと思います。自信を持ってやっていますし、何よりこれまで外国人選手にすごくおんぶにだっこのオフェンスになっていたので、そういった部分で日本人選手が積極性を持ち始めているというのはすごくいいことです。もっともっと自信を持って、翔太だったり(岡田)泰希だったりとかはもっともっと思いっきりやってほしいなと思います」

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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