Yahoo!ニュース

【B1クォーターファイナルプレビュー】観戦に役立つ数字を今季の勝敗を使って紹介しよう

青木崇Basketball Writer
(写真:アフロスポーツ)

琉球ゴールデンキングス対秋田ノーザンハピネッツ

 B1の歴史を振り返ると、レギュラーシーズンで最高成績を残したチームがファイナルを制した例はない。今季リーグ全体の勝率で1位となった琉球ゴールデンキングスは、土壇場で粘り強い戦いぶりでチャンピオンシップ(CS)に駒を進めた秋田と対戦する。シーズンを通じて攻防両面で堅実なプレーをしている琉球は、ハイスコアでもロースコアでも勝つ術を持っている。特に岸本隆ーが肝心な局面で何度もビッグショットを決めるなど、勝負強さという点でもこれまでのチームとは少し違う。ドウェイン・エバンス、アレン・ダーラム、ジャック・クーリーの外国籍選手たちは、それぞれの強みを発揮してチームの快進撃に大きく貢献。タフなディフェンスを継続できることは、平均失点が3番目、相手のFG成功率が5番目に低いことでも明らかだ。

  1. 80得点以上:39勝2敗
  2. 70失点未満:25勝1敗
  3. 相手の3P成功数が7本以下:33勝3敗
  4. ペイント内で40得点以上:32勝0敗(平均42.1点はリーグ1位)
  5. 岸本が3Pショット3本以上成功:16勝1敗

 秋田ノーザンハピネッツはコルトン・アイバーソンを故障で欠いており、琉球相手だとペイント内の攻防で劣勢が予想される。持ち味であるアグレッシブなディフェンスでターンオーバーを誘発させる回数を増やすことが、敵地で勝つためにが欠かせない要素。ショットブロッカーのアレックス・デイビスは、前半で2つ以上のファウルトラブルに直面しないことも、ゲームプランの遂行において重要なテーマになる。また、ジョーダン・グリンが得点源として牽引することは必要で、80点以上を奪う展開に持ち込みたいところ。また、ビッグゲームの経験豊富な古川孝敏、ベンチスコアラーでカギを握る田口成浩の3Pショットも、勝利へのカギになると言えよう。

  1. 3P成功数10本以上:20勝7敗
  2. ターンオーバー誘発後の得点が20以上:16勝5敗
  3. 70失点未満:18勝2敗
  4. 70得点未満:1勝10敗
  5. 田口が2ケタ得点:19勝4敗

千葉ジェッツふなばし対宇都宮ブレックス

 2連覇を狙う千葉ジェッツふなばしは、平均88.1点がリーグ2位、3P成功率36.8%が3位。富樫勇樹を軸に展開されるオフェンスは、どのチームもスローダウンさせるのに苦労してきた。ギャビン・エドワーズ、ジョシュ・ダンカン、ジョン・ムーニーは計算できるビッグマンで、原秀太と佐藤卓磨がいずれもディフェンスのいいスイングマンと戦力は充実。シックススマンのクリストファー・スミスはベンチからチームに勢いを与え、個の力で苦しい状況を打開できる力もある。また、ルーキーの大倉颯太は着実に成長し、若い赤穂雷太も出場機会を増やすなど、選手層が非常に厚い。相手のFG成功率が3番目に低く、強度の高いディフェンスで主導権を握ることができるのも強み。

  1. 3P成功率40%以上:15勝1敗
  2. 70失点未満:10勝0敗
  3. 80失点以上:8勝7敗
  4. 相手の3P成功数が7本以下:21勝2敗
  5. スミスのFG成功率50%以上:20勝4敗

 昨季のファイナルで2度目の頂点を逃した宇都宮ブレックスは、ジョシュ・スコットとアイザック・フォトゥのビッグマン2人がインサイドで強烈な存在感を示している。2人の平均を合わせた数字は29.6点、16.1リバウンド、FG成功率59.1%。2人ともフィジカルが強いことに加え、運動量も豊富。竹内公輔とチェイス・フィーラーを含めたフロントラインの奮闘は、ペイント内の28.9失点という数字でも明らか。1試合平均69.1失点もリーグ最少と、強力なディフェンスが宇都宮の大きな武器。得点力のある千葉に対しては、スローテンポのハーフコートゲームに持ち込みたいところだ。オフェンスでは、比江島慎や遠藤祐亮がシリーズを通じて2ケタ得点を記録することは、昨季の雪辱を果たすうえで欠かせない要素だ。

  1. ペイント内で40得点以上:22勝3敗
  2. 3P成功数10本以上:11勝1敗
  3. 70失点未満:30勝4敗
  4. FG成功率40%未満:3勝7敗
  5. 比江島が2ケタ得点:26勝7敗

川崎ブレイブサンダース対名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

 レギュラーシーズンを7連勝で終え、東地区2位でホームゲーム開催権を手にした川崎ブレイブサンダース。今季はニック・ファジーカス、ジョーダン・ヒース、パブロ・アギラールのビッグラインナップに加え、マット・ジャニングの加入によって3Pショットが相手により大きな脅威になっている。今季の川崎は、3P成功数10本以上が36試合を数える。平均88.2得点が1位、FG成功率48.2%が2位とオフェンスは強力だ。藤井祐眞は攻防両面でビッグプレーを決められるだれもが認める大黒柱として、今季のチームを牽引している。ディフェンスに目を向けると、相手のFG成功率43.2%がリーグ2番目に低く、70失点未満も17試合。攻防両面で質の高いチームであることは確か。

  1. 3P成功数10本以上:31勝6敗
  2. 20アシスト以上:38勝6敗
  3. ペイント内で40得点以上:13勝0敗
  4. 70得点未満:0勝4敗
  5. 藤井が15点以上:22勝5敗

 ショーン・デニスが指揮官となった今季、名古屋ダイヤモンドドルフィンズはディフェンスの質と強度のレベルアップに成功。CS出場チームの中では最も高い平均79.8失点を記録したものの、ターンオーバーを誘発させた後の平均19.5点はリーグNo.1だ。今季から加入した外国籍選手の活躍に加え、元々能力のある日本人選手たちのパフォーマンスに一貫性が出たことも成績向上の要因と言える。だが、川崎とのシリーズではシーズン終盤同様、外国籍選手がスコット・エサトンだけの状況で戦うことを強いられるかもしれない。サイズの不利をカバーしながら、齋藤拓実のゲームメイクを軸にアップテンポな展開からハイスコアの試合に持ち込み、レイ・パークス・ジュニアの得点が伸びると、かなりおもしろいシリーズになるだろう。

  1. 85得点以上:24勝6敗
  2. ターンオーバー誘発後の得点が20以上:20勝4敗
  3. 70失点未満:12勝0敗
  4. 相手のFG成功率40%未満:11勝0敗
  5. パークス・ジュニアが2ケタ得点:20勝4敗

島根スサノオマジック対アルバルク東京

 安藤誓哉と金丸晃輔を獲得する大型補強に加え、ニック・ケイのオールラウンドなプレーとぺリン・ビュフォードの爆発力が噛み合った島根スサノオマジック。ニュージーランド代表を率いた経験を持つポール・ヘナレコーチは、主力の出場時間が長くなりながらも8人のローテーションで戦い抜き、西地区2位でCS進出を決めた。活発なボールムーブからの3Pショットだけでなく、リーグ2位の62.2%という成功率が示すようにペイント内での得点も多い。さらに、平均ターンオーバー10.0本という数字も、質の高いオフェンスを展開できている証と言える。ペイント内における相手のFG成功率が50%未満だった試合が15回、3P成功数が6本以下に限定させたのも25回と、ディフェンスの頑張りも見逃せない。

  1. 80得点以上:35勝5敗(70得点未満は0勝4敗)
  2. 3P成功率40%以上:15勝0敗
  3. 70失点未満:11勝1敗
  4. ターンオーバー10本未満:20勝7敗
  5. ビュフォードが20点以上:21勝5敗(レギュラーシーズンの東京戦は欠場)

 アレックス・カークとライアン・ロシターの故障により、今季終盤は苦しい戦いを強いられたアルバルク東京。ただし、宇都宮に勝った最終戦は心身両面でタフなチームであることを示すもの。ピック&ロールの遂行力が高いチームとして認知されている東京は、ペイントの外からの2Pショットが多く、1試合あたりの成功数が6.5本とB1最多、確率も42%(リーグ3位)と高い。その一方で3Pショットは平均試投数が20.3本と少なく、成功率も33.6%の18位。対戦相手の島根が3Pショットの数を限定させたいディフェンスをするチームであり、11月に対戦した際の東京は2試合でわずか3本の成功に終わっている。田中大貴を軸に多くの選手が2Pショットを高確率で決め、ディフェンスの頑張りとセバスチャン・サイズのリバウンドでスローテンポにできるかが、勝敗を左右することになりそうだ。

  1. ペイントの外からの2P成功率50%以上:15勝1敗
  2. 20アシスト以上:25勝2敗
  3. 80得点以上:26勝3敗
  4. 70失点未満:20勝2敗
  5. サイズが得点とリバウンドのダブルダブル達成:29勝8敗

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

青木崇の最近の記事