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【NIKE AACレポート】黒川虎徹:「自分だけが満足せず、これを仲間に伝えることで来た意味がある」

青木崇Basketball Writer
ゲームメイクでコーチ陣から高く評価された黒川 (C)Takashi Aoki

 一昨年のウィンターカップ前、東海大付属諏訪高の入野貴幸コーチを取材した時、黒川虎徹を1年生ながら注目選手の一人としてリストアップしていた。土壇場で負けたとはいえ、土浦日本大高戦におけるプレーを見たとき、視野が広くセンスのある子という印象を持った。東海大付属諏訪高が昨年のインターハイでベスト4進出を果たした際、黒川は八王子学園八王子高との準々決勝で21点、11リバウンド、8アシストともう少しでトリプルダブルという大活躍。109対67という圧勝の原動力となったプレーは、高校トップレベルのポイントガードと呼ぶに値するものだった。

 今回のNIKE ALL ASIA CAMPが初めての海外ということだったが、黒川は多くの選手が個人プレーに走りがちな中、自分の持ち味をしっかり発揮することを心がけていた。ポイントガードとしてボールを動かすことを意識しつつ、いいタイミングでドライブで仕掛けるなどゲームの理解度でコーチ陣から評価されたのは、オールスターゲームのメンバーに選ばれたことでも明らか。足らない部分を実感しながらも、黒川が充実した5日間を過ごしたことはまちがいなかった。

Q 入野コーチからキャンプに参加できると聞かされた時、最初どんな気持になりましたか?

「自分はそういう機会に呼ばれることがないと決めつけていて、言われた時はうれしかったんです。けど、逆にそこで行って本当に自分が通用するのかという心配も出てきたので、そこでどのように成長できるかというのは思い描いたという感じでした」

Q 思い描いていたことと実際が違ったということは何かありましたか? 意外にやりやすかったのか? それともやばい、すごいなと思ったのか? といったことですね。

「このキャンプで自分は、他のアジアの人みたいに能力があって、そのようなプレーができるわけじゃないですけど、パスとかスピードとかポイントガードとしてできることをやって、それをコーチ陣が見ていてくれて、オールスターにも選んでもらえました。見てくれている人は見てくれているんだなと思いました」

Q 日本を出る前にコーチからアドバイスがあったのですか?

「特になかったです」

Q キャンプで驚いたこと、カルチャーショックみたいなことはありましたか?

「ここに来る前から一人一人の我が強いと思っていたのですけど、それ以上のものだったので結構ビックリしました」

Q 他の国の選手を見て、我の強さとか自己アピールしたがる部分以外で何か違いを感じたことはありますか?

「自分が思ったのは、日本人と違ってセンター陣がアタックしつつボールをさばくのも多かったし、ガード陣だとフィリピンは個の力が強いからそこで突破できるというところ。彼らは他の子より少し上をいっていたかなと思いました」

Q そこでマッチアップするのは楽しかった?

「楽しかったですね。でも、スピードから一発でやられたので、そのディフェンスの対処をしっかりやっていかないと。日本では通用するかもしれないけど、世界レベルだと厳しいですよね」

Q 自分でも通用したと思えるところは?

「ボールムーブをチーム内で心がけてやっていたので、そういったところでうまくいった部分はありました。あと、積極的に声を出してやるということで、チームのバランスが取れていたところも通用していたのかなと思います」

Q キャンプでわかった課題と得たものを教えてくれますか?

「一番の課題はシュートまで持っていくスキルとパーセンテージを上げること。さっきも言ったんですけど、コミュニケーションの大切さと1対1の能力とスキルを上げることは、このキャンプで得たことだと思います」

ポイントガードのドリルに取り組む黒川 (C)NIKE BASKETBALL
ポイントガードのドリルに取り組む黒川 (C)NIKE BASKETBALL

Q キャンプで経験したことを今後、インターハイとウィンターカップに向けてどう生かしたいですか?

「このキャンプに来てよかったと思っていますし、自分だけがここで満足せず、これを仲間に伝えることによって来た意味があると思います。このキャンプでも足りないことが多かったですし、通用する部分もほとんどなかったんで、そこを修正すればインターハイやウィンターカップにつながってくると思うので、そこを改善して頑張っていきたいです」

Q キャンプにずっと顔を出していたカイル・クーズマのプレーを見て、どんな印象を持ちましたか?

「自分はあまり見る機会がなかったのでしっかり見ていないんですけど、あの身長でトップからボールを運んでレイアップに行けたり、ジャンパーやフローターを決めたり、その技術の幅とか相手との間合いをうまく使うところは、NBA選手と他の選手で違うのかなと思いました」

Q クーズマとジョシュ・オコギーのプレーを映像で見るセッションがあったけど、本人による解説だったことでも得るものが多かったのでは?

「多かったですね。やはり、最初に出てきたジョシュは目立つプレーヤーじゃないですけど、影で支えている選手がいるからこそチームとして成り立っている。自分は諏訪で結構目立つプレーをさせてもらっているので、そういう影でやっている人がいるからこそできていることを改めて思いました。クーズマのほうで自分が驚いたのは、世界でミドルショットがなくなってきていることを感じましたし、なくなってきている分フローターの技術を身につけなければいけないということでした」

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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