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張本天傑はFIBAワールドカップ予選終盤、攻防両面で日本代表における存在意義を示すことに成功

青木崇Basketball Writer
カタール戦では2試合とも勝利に大きく貢献した張本 (C)FIBA.com

 FIBAワールドカップ予選で最初の試合となったフィリピン戦、名古屋ダイヤモンドドルフィンズの張本天傑は3Q途中に逆転の3Pシュートを決めるなど、限られた出場機会ながら活躍。11分間で7点、得失点差+8という数字は、攻防両面で苦戦を強いられた日本にとって数少ないプラス材料だった。

 しかし、その後の3試合で持ち味を発揮できずに終わると、オーストラリアとチャイニーズ・タイペイに勝ったウィンドウ3はメンバーから外されてしまう。カザフスタンとイラン相手のウィンドウ4で復帰したものの、1分もプレーすることができなかった。ニック・ファジーカスの帰化による代表入りや八村塁と渡邊雄太の参戦もあり、張本は代表メンバーに生き残るか否かの厳しい状況に直面。しかし、「求められているものは少ないので、それをどれだけ100%徹底できるかが、代表で生きるか死ぬかのことなので、そこをしっかり意識してやっていけば、しっかり結果がついてくる」と語ったように、自分の役割をしっかり全うすることに集中し、ハードワークを続けた。

 11月30日に富山で行われたウィンドウ5のカタール戦、張本にようやくチャンスが巡ってきた。リードを12点に広げた3Q4分3秒、ファジーカスに代わってコートに入ると、最初に放った3Pシュートを見事に成功。2分7秒と1分53秒に立て続けにディフェンシブ・リバウンドを奪うなど、ストレッチ4として素晴らしい仕事をし、日本のリードが21点まで広げることに一役を買っていた。

「悪い時に自分が出て、アグレッシブにディフェンスをして流れを変えるような役割をコーチに普段から言われている。チームに勢いを与えるためにアグレッシブなプレーをし、チームにいい流れを作っていきたいなと思っています。いいディフェンスから入ると、オフェンスでもいいチャンスがやってくるので、そこで思い切りシュートを打つように日頃から心掛けている。空いたらどんどん打っていこうと思っています」

 この言葉を象徴するかのように、19分33秒間プレーした張本は8点、6リバウンドをマーク。貢献度を示すEFFが12、出場時の得失点+27もチーム全体で4番目に多かった。12月3日のカザフスタン戦では、チーム全体でアウトサイドのジャンプシュートがことごとく入らない中、3Q残り48秒に決めた3Pシュートは、拮抗した試合でリードを5点に広げるという点で大きな意味があった。14分17秒の出場でファウルアウトになったといえ、タフなディフェンスでチームに貢献。フリオ・ラマスコーチは、「天傑がいいディフェンスをすれば、チームのオフェンスはよりダイナミックになる。見ればわかると思うけど、彼は重要なピースだ」と評価している。

「1日も慢心できないくらい、この代表で生き残りたいという気持が強い。本当に1日1日を無駄にせず、個人としてもこれを自分の成長として、いい経験としてしっかり吸収したい。こんなにいいメンバーと一緒にやれるのはなかなかないので、どんどん勉強し、吸収していきたいです」と話す張本は、ウィンドウ6でもメンバーに入ったものの、イラン戦の出場時間がわずか6分で無得点。勝てばワールドカップ出場となるカタール戦、張本は2Qから出場機会を得たが、いつもと違う緊張感の影響からか、少し積極性を欠いていた。

 ところが、フリオ・ラマスコーチから後半のスタートから起用されることを伝えられると、張本の気持はいい意味で高まり、3Q開始早々に右コーナーから3Pシュートを成功。これで日本のリードが20点まで広がると、中盤には青山学院大の先輩である比江島慎からのアシストでファストブレイクのレイアップを決める。3Qの10分間で9点、1リバウンド、1アシストをマークし、4Q開始時に30点差と日本が勝利を決定的にする過程で、張本はウィンドウ5での対戦に続いていい仕事をしていた。

「今回のこの試合は日本の皆さんもすごい注目していますし、テレビでも中継されていますし、いろいろな人が見ている中で自分のアピールをできる場所だと思うので、そこでしっかり実力を発揮して、試合に勝ったことが一番よかったと思います」

 ワールドカップ出場を決めたことへの喜びがあるといえ、張本は代表メンバーの中で新たな競争が始まることをすでに理解している。渡邊と八村がフォワード陣を牽引する選手であることは、ウィンドウ4の2試合で証明済。若い彼らと違う個性を発揮し、ワールドカップの舞台に立てる12人に入ることが、今の張本にとって最高のモチベーションとなっているのはまちがいない。

「この経験をチームで生かしていきたいと思いますし、次のワールドカップに向けて自分としてはゼロからのスタートだと思っていますので、そこでちゃんと最後まで(メンバーに)残れるようにもっと成長していきたいと思っています。塁とか雄太が帰ってくると思いますし、そこでどれだけ自分の長所を代表で生かせるか死ぬか、そこが勝負。半年しかないですけど、しっかり練習して頑張っていきたいと思います」

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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