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バスケットボールU18日本代表:サイズとスキルの高さで上回るオーストラリアの前に力尽きる

青木崇Basketball Writer
ダブルチームでもオーストラリアを止められなかった日本(C)FIBA.com

 グループ戦3試合の最少得点差が49という圧倒的な強さを誇るオーストラリアに対し、日本は最後までハードに戦う姿勢を見せた。しかし、身長差に加え、サムソン・フロリングとカイル・ボウエンはポストプレーのフットワーク、ダブルチームへの対応といったスキルがしっかり身についていた。日本のトラップからゾーンというディフェンスに対しても冷静にボールを動かし、ペイント内にボールが入った時点で止める術がない。リバウンドでは何とかボールをタップし、ルースボール争いに勝つことを心がけたが、ボックスアウトしても上から取られてしまう。フロントラインで奮闘した結城智史はこう振り返る。

「うまく守ろうとしても身長の差でやられてしまうので、そこは限界のように感じた気がしました。タップする以前に跳ばれたり、フィジカルでやられるし、イランと違って一発で決めるし、落としてくれない。そうなると、アウトサイドのプレッシャーでボールを持たせないようにするしかない」

 リバウンドの数は25-58。オフェンス・リバウンドから21点、ペイント内では64点、2Pシュートを71.7%という成功率で決められてしまっては、52-88の36点差で敗れたとしても仕方がない。日本の出来が云々よりも、オーストラリアが非常に強かったのだ。ピック&ロールに対するディフェンスでオールスウィッチ、トラップからゾーンで仕掛けるシーンがあるなど、入念なスカウティングによるゲームプランを遂行した結果である。

(C)FIBA.com
(C)FIBA.com

「サイズのあるオーストラリア相手だから、アウトサイドのシュートを決めるというのがゲームプラン。でも、あのサイズはやはり大きな問題だった。勝つためには完璧なゲームをしなければならなかったけど、それができなかったということ。でも、選手たちが最後までハードに戦ってくれたことを誇りに思う」

 トーステン・ロイブルコーチがこう振り返った日本は試合序盤、中村拓人(中部大第一3年)が積極的にドライブで仕掛けて得点するなど、9対7とリードする場面もあった。スクリーンを使っての仕掛けからボールを展開し、何とかオープンでシュートを打てるようにトライ。ベンチから出てきた河村勇輝(福岡第一高2年)がクイックネスを生かしてクリエイトすることや、ハンドリング力のある横地聖真(福岡大附大濠高2年)がドライブからフィニッシュするシーンもあった。

ドライブで得点機会を何度もクリエイトするなど、オーストラリア相手に才能を発揮した中村 (C)FIBA.com
ドライブで得点機会を何度もクリエイトするなど、オーストラリア相手に才能を発揮した中村 (C)FIBA.com

 オーストラリアから徹底的にマークされた富永啓生(桜丘高3年)は前半、得意の3Pシュートよりもドリブルでアタックする姿勢を見せる。4Q序盤には、日本の武器であるトランジションから1本、長い腕を持つディフェンダーの隙をついてトップから決めるなど、チーム最高の15点をマーク。「ちょっとやり残した感はありますけど、できないことはないと思いました」と話す富永が、4月のU16に続いてU18でも得点源となったことは、アジアのトップレベルのシューターとして存在感を示したと言っていい。

 

 2大会連続のU19ワールドカップ進出を逃したといえ、日本の戦いはまだ続く。5位決定戦進出をかけたバーレーンとの対戦は、選手たちが成長を続けるうえで大事な試合。「ワールドカップには行けなかったですけど、日本代表としてユニフォームを着られる試合があと2試合あります。今夜またミーティングをして、しっかり日本の名に恥じないようにチームとして盛り上げて、最後2連勝して帰りたいと思います」と語るのは、中学生だった2015年からロイブルコーチの下でプレーしてきたチームリーダーの中田嵩基(福岡大附大濠高3年)。明日のバーレーン戦も、持ち味であるタフなディフェンスでリバウンドを奪い、トランジション・オフェンスを展開できるかが、勝利を手にするためのカギになる。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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