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B1の発展につながる栃木ブレックスと千葉ジェッツのライバル関係構築

青木崇Basketball Writer
コート上だけなく、ファンの間やビジネスでも意識し合う関係ができつつある栃木と千葉(写真:田村翔/アフロスポーツ)

 スポーツが盛り上がる要素に一つとして、ライバル関係は欠かせない。NBAだと1980年代のレイカーズとセルティックス、NCAAならノースカロライナ大とデューク大が代表例としてあげられる。

 日本のバスケットボール界ではどうだろうか? 昔の日本大学と日本体育大学、女子のジャパンエナジーとシャンソンを思い浮かべることはできるかもしれない。しかし、Bリーグは今季2年目ということもあり、これから歴史を1ページずつ記していく段階。そんな状況であっても、栃木ブレックスと千葉ジェッツは、リーグの発展に欠かせないライバル関係を構築しつつある。

 昨年の天皇杯、千葉は準々決勝で栃木を81対62のスコアで粉砕し、その勢いで頂点に立った。一方の栃木は、この敗戦によってチーム内に今までにない危機感が生まれ、シーズンの経過と比例してメンタルの強いチームへと成長。チャンピオンシップのクォーターファイナル第2戦で22点差を逆転しての勝利は、B1初代王者への道のりで大きな意味があった。

 昨季だけで11回、今季のレギュラーシーズンでもすでに4度対戦している両者は、天皇杯準々決勝でも顔を合わせた。黄色と赤いシャツを着た両チームのファンが熱い声援を送る中での試合は、まるで昨年のゲームが繰り返されるのか? と思ってしまうような展開。大晦日と元旦にアルバルク東京に連敗し、富樫勇樹も左大腿四頭筋挫傷によって欠場を強いられた千葉は、相手が栃木ということでより危機感を持って試合に臨んでいたのは明らか。「すごく気合が入ったゲームでした。去年(チャンピオンシップで)負けていますし、一発勝負は僕たちのほうが強いと思っている」と小野龍猛が語ったように、3Qまでの30分間は試合を完全に支配。富樫の代わりに先発した西村文男が開始早々に3Pシュートを決めたことで、チーム全体が勢いに乗っていた。

 しかし、栃木は決してあきらめなかった。鵤誠司、生原秀将、落合知也といったベンチ陣からの奮闘をきっかけに追撃開始。3Q途中での23点差を4Q残り4分で7点差まで詰め、”クォーターファイナル第2戦の再現か?”と思わせる戦いをしたのは、千葉相手に無様な負けを喫するわけにいかないという強い気持の表れ。最終的に71対76のスコアで敗れたといえ、「どんな状況であっても最後まで戦い続けるのがブレックスだ」というジェフ・ギブスの言葉を象徴する試合だったのはまちがいない。

 この2チームのライバル意識はコート上だけでなく、応援するファンやチームを運営する側にも浸透しつつある。千葉の代表取締役を務める石井理恵が「意識しています。栃木みたいに”ワーッ!”となることも増えていますし、切磋琢磨して盛り上げたい。ビジネスでは上回りたいですね」と話せば、栃木の鎌田真吾社長も「NBL時代からお互いにプロチームとして、リスペクトしながらやってきた。同じ関東でやっているので、ライバル意識はあります」と語る。

 ファンに目を向けてみると、お互いにライバル意識がありながらも、いい意味で交流もある。千葉ファンの男性が「一番のライバルといえばどこ? と聞かれたら、やはり栃木と思いますね。試合だけでなく、人気や運営面でもライバル」とコメントすれば、長年栃木を応援している男性も「もちろんチームとしてはライバル」と答える。しかし、海外のライバル関係に比べると、強烈な嫌悪感はこの2チームの間にない。リスペクトしながらも絶対に負けたくないというライバルが存在することは、Bリーグだけでなく、日本バスケットボール界の健全な発展を考えるとプラス。天皇杯以降のシーズン後半は、栃木と千葉に続く新たなライバル関係が生まれるような質の高い試合が多くなることを期待している。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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