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「平本蓮vs.YA-MAN」は、大晦日『RIZIN.45』のリングで実現するのか?

近藤隆夫スポーツジャーナリスト
大晦日『RIZIN.45』参戦が濃厚視される平本蓮(写真:藤村ノゾミ)

朝倉未来が引退表明、遠のいた再戦

「これで朝倉未来に勝ったとは思っていない。今回は自分の土俵、自分のルール(キックボクシングルール)で闘った。次は相手の土俵、相手のルール(総合格闘技ルール)で再戦したい」

YA-MAN(TARGET SHIBUYA)はそう話した。

11月19日、『FIGHT CLUB』(東京都内/場所非公開)で勝利した直後のことである。

「朝倉未来の幻想を終わらせてやったぜ!」

そう言い放ち、勝ち逃げすることも可能だったがYA-MANにそのつもりはない。自らがプロデュースする大会にリスクを冒して出てきてくれた朝倉未来(JAPAN TOP TEAM)に強く感謝しているのだろう。

「キング・オブ・ストリート」は実直な男なのだ。

キックボクシングルールではあるが、YA-MANが朝倉未来を僅か77秒でKO。新時代の扉が開かれたのか─。この試合の模様はAbemaで生配信された(写真:RISE CREATION)
キックボクシングルールではあるが、YA-MANが朝倉未来を僅か77秒でKO。新時代の扉が開かれたのか─。この試合の模様はAbemaで生配信された(写真:RISE CREATION)

大晦日『RIZIN.45』のリングでMMA(総合格闘技)ルールで朝倉と再戦─。

YA-MANはそうも考えていたが、この流れは消滅した。試合直後にインスタグラム、YouTubeを通して朝倉が現役引退を表明したからだ。これは、負けたショックが大きく冷静さを欠いた状態での発信。時間が経てば撤回するだろうが、大晦日までの期間は約40日しかなく体調面を考慮しても『RIZIN.45』のリングで朝倉が闘うことは現実的でない。

YA-MANの平本蓮に対する怒り

それでもYA-MANは、大晦日のリングに上がることになろう。朝倉未来を倒した男にRIZINがオファーをかけないはずがない。

では、対戦相手は誰か?

『FIGHT CLUB』で朝倉に勝利した直後、マイクを手にしたYA-MANは叫ぶように言った。

「平本、バーカ! お前いつかぶっ飛ばすからな。待っとけ」

この日、平本蓮(剛毅會)は客席にいた。

決戦前に彼は、朝倉の勝利を予想。記者会見でのYA-MANの振る舞いにダメだしもしていた。加えて日頃の言動もある。これに対してYA-MANは怒りを感じていたようだ。

試合後のプレスインタビューでも、質問に答える形で次のように話している。

「あいつはマジでぶっ飛ばしますよ。これは冗談抜きで。リングじゃなくてもいいですよ。本当にムカついているんですよ、結構ガチで。

あいつムカつくじゃないですか。殴って分からせないとダメだと思うんですよ。でも、あいつは殴っても分からないかも。鈴木千裕に負けた後もネチネチしたじゃないですか。黙らせるには、リング外でやらないといけない。あいつを本当に黙らせたい。歌舞伎町で会ったらぶっ飛ばしますよ!」

かなり怒気がこもっていた。

試合後にメディアからの質問に答えるYA-MAN。「平本(蓮)は殴って分からせないといけない」と語気を強めた(写真:SLAM JAM)
試合後にメディアからの質問に答えるYA-MAN。「平本(蓮)は殴って分からせないといけない」と語気を強めた(写真:SLAM JAM)

”旬なカード”に敏感なRIZIN

平本は、4月29日『RIZIN LANDMARK 5』で斎藤裕(元RIZINフェザー級王者/パラエストラ柏)に判定で敗れて以来、闘いの舞台から離れていたがここにきて練習を再開している。大晦日『RIZIN.45』参戦濃厚だ。

ならば、ここで「平本蓮vs.YA-MAN」が実現するのか?

現時点では、まだその動きはない。

RIZINは、別の対戦相手で平本と交渉を進めている模様。具体名こそ出されていないが平本のSNS上での発信からも、そのことはうかがえる。

だが、RIZINはファンが求める”旬なカード”に対して敏感だ。

時に無茶ぶりもする。急転直下、平本とYA-MANが大晦日のリングで対峙することになるかもしれない。もし大晦日でなかったとしても、この因縁の対決は来年の早い段階で実現されよう。いまや「朝倉未来vs.平本蓮」よりも「平本蓮vs.YA-MAN」の方が”旬なカード”に思える。

『RIZIN.45』追加対戦カードの発表を楽しみに待ちたい。

スポーツジャーナリスト

1967年1月26日生まれ、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から『週刊ゴング』誌の記者となり、その後『ゴング格闘技』編集長を務める。タイ、インドなどアジア諸国を放浪、米国生活を経てスポーツジャーナリストとして独立。プロスポーツから学校体育の現場まで幅広く取材・執筆活動を展開、テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍している。『グレイシー一族の真実』(文藝春秋)、『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)、『情熱のサイドスロー~小林繁物語~』(竹書房)、『伝説のオリンピックランナー”いだてん”金栗四三』、『柔道の父、体育の父  嘉納治五郎』(ともに汐文社)ほか著書多数。

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