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朝倉未来は「どうも思わない」萩原京平戦で何を見せる!? 10・2『RIZIN LANDMARK』

近藤隆夫スポーツジャーナリスト
RIZINの新イベントで再起戦を行う朝倉未来(写真:RIZIN FF)

現役続行を決めた理由

「ファンの方からの(闘い続けてほしいとの)声が予想以上に大きかったこと。それと自分の可能性を、もう少し信じたいと思ったからです。

クレベル(・コイケ)戦の前の1カ月間、死に物狂いでトレーニングをやりました。それを半年、1年と継続することで、成果が出るんじゃないかと。

(目指すところは)斎藤(裕)選手、クレベル選手にやり返すこと。応援してくれるファンは、それを願ってくれていると思う。実現させたい」

朝倉未来は、現役続行を決めた理由をそう話した。

6月13日、東京ドーム『RIZIN.28』で朝倉はクレベルに三角絞めを決められ完敗した。その直後には、現役引退を匂わせる発言をしていたが翌日に撤回している。すでに気持ちも吹っ切れたようで、彼は新たな目標に向け前進し始めている。

8月21日、埼玉県川口市・ベルヴィ武蔵野においての記者会見でRIZINの新イベント開催が発表された。

『RIZIN LANDMARK 』─。

10月2日に都内で開かれるこのイベントは、無観客が基本。有料ライブ配信でファンに闘いを届ける新たな形式だ。その記念すべき第1回大会のメインエベントで、朝倉未来が再起戦に挑む。対戦相手は、かねてから朝倉を挑発していた萩原京平。

(提供:RIZIN FF)
(提供:RIZIN FF)

萩原の挑発に朝倉は

両者は、この日の記者会見に出席。

萩原が先に口を開いた。

「(試合が決まって)ワクワクしている、最高の気分。ここは、しっかり勝って次のステージに進みたい。

この大会が終わった後に(朝倉が)ABEMAで素人をいじめるクソつまらない企画<朝倉未来にストリートファイトで勝ったら1000万円/10月31日>をやると聞いて腹が立った。そんな舐めた考えをしている奴はフルボッコにしてやります。そもそも俺と試合をして無事に帰れると思うなよ。甘い考えを叩きのめしてやる!」

この後、「萩原選手の挑発に対してどう思うか?」との質問がメディアから朝倉に飛ぶ。

静かな口調で彼は答えた。

「どうも思わないですね。(萩原とは)だいぶ実力が違うと思うんで何を言われても気になりません。やってみればわかるんじゃないですか。

圧勝しようと思っています。というか、圧勝しないとダメでしょ。それくらいの相手という認識です」

煽る萩原と、熱くなれない朝倉。

この後も質疑応答が続いたが、噛み合わぬ印象は拭えなかった。

サングラスをかけ朝倉を挑発する萩原京平。左は『RIZIN LANDMARK』をライブ配信する「U-NEXT」の代表取締役社長・堤天心氏(写真:RIZIN FF)
サングラスをかけ朝倉を挑発する萩原京平。左は『RIZIN LANDMARK』をライブ配信する「U-NEXT」の代表取締役社長・堤天心氏(写真:RIZIN FF)

再起戦に向けての想いを話す朝倉未来。右はRIZIN CEO榊原信行氏(写真:RIZIN FF)
再起戦に向けての想いを話す朝倉未来。右はRIZIN CEO榊原信行氏(写真:RIZIN FF)

3歳違い(朝倉が年上)の二人の間には、大きなキャリアの差が存在する。

朝倉は、『THE OUTSIDER』で2階級制覇を果たし、RIZINのリングで8勝2敗、メインエベンターとして活躍してきた。対して萩原は、プロ総合格闘技戦績5勝3敗。トップファイターとの対戦経験もない。

いくら挑発されても乗れなかった。朝倉にとって萩原は「再起戦には手頃な相手」に過ぎないのだろう。

とはいえ、対戦相手の研究は怠っていない。

「右ストレートはノーモーションでいいのを打ってきます。それに打たれ強くて目もいい。あと、右の膝蹴りと見せかけてストレートパンチを放つ時もあります。だから、(萩原の)すべての動きに反応することなく見極めて闘っていきたい」

そう分析して続ける。

「ストライカー同士の対決と言われますが、グラップリング力、寝業などすべてにおいて俺の方が上。総合格闘技は相手の弱いところにつけ込む競技。相手は殴り合いたいと言っていますが、展開がどうなるかはわからない。

削り切ったところを打撃で仕留めてもいいし、勝利への持って行き方の選択肢はいろいろある。これは、相手の出方を見て決めます」

この一戦は萩原にとって、成り上がるためのチャンスファイト。破壊力のある打撃で一発を狙うことだろう。それでも、朝倉が負ける可能性は極めて低いように思う。「9-1」で朝倉優位と見る。

「持久力をつける。フィジカルを上げる。技術を向上させる。いまは、いろいろなトレーナーをつけて、すべての面を改善している。パンチの打ち方一つから変えている段階」

現状をそう話す朝倉は、再起戦の先を見据えている。

年内に、王者・斎藤裕と挑戦者クレベル・コイケの「RIZINフェザー級タイトルマッチ」が実現するだろう。その勝者に朝倉は挑みリベンジを果たすつもりでいる。そのためには萩原に負けるわけにはいかず、以降の試合でも勝ち続けねばならない。

朝倉未来の本気の挑戦が始まる─。

なお、『RIZIN LANDMARK』では、朝倉未来vs.萩原京平を含め5~6試合が行われる予定。記者会見では次の2試合が既に決まっていることも発表された。

(提供:RIZIN FF)
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(提供:RIZIN FF)
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スポーツジャーナリスト

1967年1月26日生まれ、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から『週刊ゴング』誌の記者となり、その後『ゴング格闘技』編集長を務める。タイ、インドなどアジア諸国を放浪、米国生活を経てスポーツジャーナリストとして独立。プロスポーツから学校体育の現場まで幅広く取材・執筆活動を展開、テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍している。『グレイシー一族の真実』(文藝春秋)、『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)、『情熱のサイドスロー~小林繁物語~』(竹書房)、『伝説のオリンピックランナー”いだてん”金栗四三』、『柔道の父、体育の父  嘉納治五郎』(ともに汐文社)ほか著書多数。

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