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<ガンバ大阪>ホームでの川崎フロンターレ戦は苦しい時間帯が長く続くも、執念で勝ち点1を積み上げる。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

J1リーグでのホームゲームも今節を入れて2つ。未だ残留争いから抜け出せないガンバとしては是が非でもホームで勝ち点3が欲しい川崎フロンターレ戦。アデミウソン、宇佐美貴史をケガで欠くガンバは、MF小野瀬康介がFW渡邉千真とともに2トップを組み試合に入る。立ち上がりから集中して試合を進め5分には先制点を奪うが、その後は防戦一方の展開に。後半に入っても流れは変わらず、51分、63分とゴールを許して逆転されてしまう。それでもその2分後には右ウイングにポジションを変えていたMF小野瀬からのクロスをMF倉田秋が執念のヘディングで押し込み同点とするが、そのプレーの際に倉田は相手との接触で頭を強く打ってピッチに倒れこみ交代となってしまう。その後の時間帯も追いついた流れを勢いに繋げて盛り返したガンバだったが1点が遠く、最後、好位置で得たFKのチャンスもゴールに繋げられずに引き分けで終えた。試合後のガンバ監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖監督

ーけが人のこともあってだと思いますが小野瀬選手を真ん中に据えました。どういう狙いで試合に入ったのか、うまくいかなくなってからのハーフタイムではどんな修正をされたのでしょうか?

康介(小野瀬康介)を真ん中にというのは、川崎との試合を想定というか分析した中で、ああいうタイプの選手が前に必要だと思ったし、練習試合で彼を前で使ったこともあって、その時のプレーぶりや、横浜FCでもプレーしていることも踏まえ、アデミウソンや宇佐美貴史、渡邉千真とは違うプレーを期待しました。スペースに出て行ったり、思いっきりのいいシュートがあったり、幸先よく点は取れたと思いますが、そのあと川崎も出てきて、ボールを握られてしまい、少し押し込まれた中で、うまくいかなかったのはマイボールにしてもそのまま前に持っていけずに、すぐに失うシーンがなんども続いたので難しくなったのだと思います。後半はそういったところを修正するように伝えて入りましたけれど、同じように簡単にボールを失うことが見られたと思います。1−2になってこちらがボールを持つ時間も増えて、サイドの高い位置で康介だったり、福田湧矢だったりがサイドにいくことによって、そこで起点を作れたのが2点目につながったと思っています。

ー小野瀬選手について「ああいったタイプ」というのは、攻撃時にどんどん出ていけるタイプがあそこに欲しかったということですか?

そうですね。端的にいうとスピードだったりボールを運ぶ力ということです。

ー後半、藤春(廣輝)選手を交代し、小野瀬選手を右サイドに戻しましたが、藤春選手が怪我をしたのか、若干、左の長谷川選手にインサイドを狙われていたことへの対応でしょうか。

藤春が少しコンディション面で不安を抱えていたし、後半に入って疲れも見えたというところで、右に小野瀬をもっていいき、左に福田を据えました。

ー今回の勝ち点1という結果はどう受け止めていらっしゃいますか。

もちろん勝ち点3をとりにいきたいと言っていた試合なので勝ち点1で終わったことは物足りなく感じますが、試合内容を振り返った時に、相手のほうが数多くチャンスがありましたし、我々も2−2になったあと3点目というシーンもありましたけど、少し押し込まれた試合内容だったと思うので、いまは混戦ですから勝ち点1を積み上げることが大事なので、そういった面ではポジティブには捉えたいですが、試合前に勝ち点3を取りに行こうという話をしていた中では少し物足りない結果だったと思います。

ー宇佐美選手とアデミウソン選手がベンチに入っていなかったのは怪我による理由ですか?

そうですね。ルヴァンカップの準決勝第2戦で痛めた箇所があり今週練習ができなかったのでメンバー外になりました。

ーその中で、今日渡邉千真選手をFWに起用されましたが、意図は?

千真が前線にいることによって、ボールをおさめることができる。川崎はボールを持つのが得意なチームですが、我々もボールを持つ時間を増やしたい時に、前線でターゲットになる、前向きにサポートする選手が近くにこれる時間を作れるような選手が必要だということで千真と康介というコンビにしました。千真も随所に「らしさ」はあったと思いますし、先月頭くらいから彼のコンディションも上がってきていたし、練習の中でもいいシュート、いいゴールシーンがあったので。今日に関してはもう少しシュートを打って欲しいというのはありますけれど、ある程度、予想したくらいの動きはしてくれたと思います。

●MF小野瀬康介

(1点目のシーンについて)最初ワンツーで出して、相手に当たって戻ってきたところを、前があいていたので思い切り打ったら2回くらいバーにに当たったと思うんですけど、あれが入っていたらよかったですけど、チームとしていい時間帯に、早めに先制点がとれて、あのおかげできつかったけど守備を頑張れました。(2点目のアシストについて)あれは秋くん(倉田秋)の気迫でとったゴールで感謝しています。早く回復してくれることを祈ってます。(今日の試合の内容について)ボールを持たれることはわかっていましたし、そこで僕と千真さん(渡邉千真)が相手のボランチを見るというのがゲームプランとしてあり、点を取られるまではやれたのかなと思います。ハルくんがつってしまって、またウイングに戻ってしまったんですけど、楽しくやれました。(今週はあそこで準備をしてきたのですか?)いや、2日前にやって…それまでいろいろと試していて、前日でこれでいくかっていうことになったときに、僕が前でプレーしたのが一番監督的にはハマったのか…監督の中でそれでいくということになったんだと思います。(前での役割は?)守備の時にボランチをみるところと、攻撃の時は前で起点になって時間を作るということは言われていました。それを意識して僕もプレーしていました。(展開的には相手に押し込まれる時間も長くて、その中でなんとか戦って追いつけたという意味での勝ち点1の持つ意味というのは?)先制しているので、勝ち点3を取りたかったのはありましたけど、仕方ないですね。結果は引き分けだったので。(相手にボールを持たれるのは予想していたとはいえ、あそこまで押し込まれて下がってしまうというのは、しっかり守るというイメージでなったのか、そうせざるを得ない状況に追いやられたのか)どちらかというと後者に近い展開になってしまったんだと思います。あそこまで押し込まれると相当きついので。(ボールを持った瞬間にまたミスが出てボールを取り返されて、という展開が続いた中で下がっていってしまった?)でも相手も意外とバテていたのはなぜなんだろうというのは…正直僕は思っていて、でもそのおかげで後半はスペースもできてどちらに転ぶかわからない展開になったし、ボールを持たれていた割にはこっちの運動量もあって戦えていたのかな、とは思います。

●MF井手口陽介

(押し込まれる時間も長くて、盛り返すというか、ラインをあげたくても後ろに引っ張られるような展開が続いた。どういう修正をすればよかったのでしょうか)難しいですよね。なかなか5−3−2なのでマンツーマンでいけるわけでもないし、サイドで数的不利の中だったので、ああいう形ではめるのはすごく難しかったので…。(勝ち点3を狙いながらも、展開から考えれば決して悪くない勝ち点1だったと思いますが)そうですね。川崎といういいチームを相手に最後まで勝ち越されたけど追いつけたのはすごくポジティブなんじゃないかなって思います。最初に前半いい形で1点取れて、リードして後半に折り返せたけど、後半の最初というのはすごく戦い方というか、相手に完全に流れを掴まれてしまっていたので、後半の最初をもっと集中して入れればよかったかなと思います。

●DF高尾瑠

点が入ってから流れがこっちにきてうまく進められていたんですけど、相手のうまいペースにまたはめられてみたいな展開になりました。(攻撃のときは高尾選手が右サイドバックのような位置を取っているように見えたのですが、今日はそれが狙いだったのですか?)いや、そういうことではないですけど、僕があがったらチャンスになるなと思って自然とああいう形になりました。(押し込まれた時間も長かった中での勝ち点1をどうみますか?)でかいと言えば、でかいですけど、やっぱり勝ち点3を取りたくてやっていたからそれは残念です。(かなりラインが下がってしまっていたのは、受けざるを得なかったというイメージですか?)前でとりにいけずにズルズル下がってしまいました。もう少しいけるところはいかないと、後半の点を決められるまでずっと押し込まれてしまったので、そういうところでディエンス陣でもっとラインをあげることを考えるべきだったし、ボールを奪った時に簡単にとられてまたカウンターに晒されるということも多かったので、そのへんも改善しなければいけないなって思います。

●MF高江麗央

(途中からでしたがどういう役割を求められたのでしょうか)個人的には勝ちに行くというイメージで入りました。監督からは、守備のところでスイッチを入れるために連続していくことと、攻撃では裏に抜けてスペースをつくようにということを求められていました。少し相手もばてているようにみえたので僕の運動量でスペースを作るとか、他の選手を生かすというプレーでイメージして、その中で自分も途中からなので他の選手より走れるし、走らなければいけないと思っていたし、ゴール前に入っていったらしっかり狙うっていうイメージでした。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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