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<ガンバU-23>秋田を圧倒して、3試合ぶりの白星。ゆりかごダンスも。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

J3リーグのホーム戦では今季最多となる1700人強の観客を集めたJ3リーグ8節・ブラウブリッツ秋田戦。立ち上がりから攻勢に試合を進め相手を圧倒すると、31分に好調をきたすFW食野亮太郎がMF福田湧矢のロングパスに抜け出し先制点を奪う。前半の終了間際には秋田に唯一のシュートチャンスをゴールに繋げられ同点にされるが、後半もハイペースで試合を進め、50分には再びFW食野がゴール。さらに終了間際の89分にはFW高木彰人が自らもらったPKのチャンスをゴールに収め、3-1と試合を決めた。試合後のガンバU-23監督、選手のコメントをお届けする。

●森下仁志U-23監督

今日は本当にたくさんの方が観戦に来てくださって、最初は1300人くらいかなと聞いていたのですが、1700人強の方にご来場いただいて本当に感謝しています。もっともっと2000人、3000人と…ゴール裏を解放しなきゃいけないくらいの方に来ていただけるように、最低限、今日くらいのパフォーマンスを毎試合、出してもらいたいと思います。ゲームに関しては、前半…というか試合を通してですが、すごくいい形で進められて、その中で決めきれずに、少し緩んだところでその隙を突かれ、自分たちで試合を難しくしたと思います。後半は、ハーフタイムにも話をしましたが、彼らは自分たち次第でゲームを十分動かせるので、そう言う意味では、2点3点と、欲を言えばもっともっと得点を取れるように、上を目指すのであればチャンスをもっともっと決められれば良かったなと。あとは、守備のところでも今日も失点1しているので、8試合で7失点ですが、まだまだ減らせると思うので、引き続きしっかりトレーニングをしていきたいです。

ー攻守の要だった市丸瑞希選手が育成型移籍で抜けた最初の試合でした。今日の中盤のバランス、だとかパフォーマンスをどう評価されますか。

瑞希がいなくなったのはずっと、軸としてキャプテンでやってきてくれた選手なので難しくもあったのですが、メンバーのところは昨日のトップチームの試合が終わってからの判断になりました。今いるメンバーの中では、麗央(高江)もいますし、ユースの長尾優斗もいるので、そこも考えましたが、麗央はいまモチベーションも高いということもあり起用しましたが、思ったより良かったです。昨日の練習を見て少し心配しましたが、力があるので本番になったら思った以上のパフォーマンスでした。

ー2つ前の試合では芝本蓮選手に檄を飛ばされたところもありました。今日の試合では気持ちを見せて、攻守にいいパフォーマンスだったのかなと思いますが。

蓮には話をしました。市丸がいなくなったあと、誰に責任があるかといえばお前だよ、ということは伝えました。彼は力的に見ても、これまで育成の指導者の方が総じて言うように、才能は間違いない選手なので。ただ、プレーに対しての厳しさ、球際、セカンドボールとか、走る部分とか、ボランチをやろうと思ったらそこは避けては通れないところだと思っています。あと今日はシュートも1本に終わりましたが、まだまだ打てると思うし、練習の中ではゲーム形式をしてもすごく得点も取れるようになってきているので、攻守にもっともっと相手のゴールに向かってできる選手になれば…まだ相手にとって怖い選手ではないと思うんです。うまいけれど、相手にとって怖い選手になっていけるように一緒にトレーニングしてきたいです。

ー今日は食野選手が2得点しました。彼はまだまだ決められると悔やんでいましたが、今の彼の好調の要因と、今の時点でのいいところを教えてください。

サッカー的な判断とかテクニックという部分は、もともとすごくいいものをもっていたと思うんですが、やっぱりそれを活かすには自分がどういう心構えというか、どういう感情でサッカーをしたら、それを生かせるのかというのを掴んできているんじゃないかと思います。こうやったらうまくやれるんだ、と。僕が最初1月に会った時は、そこのバランスはまだまだ悪くて、才能はすごいなと思っていたんですけど。そういうこともあって、一番サッカーでわかりやすいFWで使ってやろうかと思ったのですが、そしたら本人もやる気になった、と。やっぱり一番は彼が自分をどういう感情に持っていけば、いいプレーができるのかを見つけつつあるんじゃないかと思います。それをまたJ1の試合でも…まだ昨日のFC東京戦の0ー0の展開で、宮本監督に使ってもらえないのは、まだ力がない証拠だし、今日なんかも2点じゃなくて5〜6点取れただろうし、そのへんは本人も全く満足していなかったですが、すごく成長しているなと思います。

ー左サイドは割と中に、右サイドは外で、という攻撃の特徴が分かれていたように見えましたが、それは二人の特徴をどう生かしたいと思ったのでしょうか。またサイドバックとのコンビネーションについても聞かせてください。

動き方自体はトレーニングをしているんですが、そこは状況の判断でインサイドを取るのか、ワイドをとるのか、相手の背中を取りに行くのかという判断は、本人に判断させています。今日は左サイドがすごくスムーズに変化していたから悪くないなと思っていて…なかなかあんなに変化しないので(苦笑)。山口(竜弥)が動きとしてもわかってきたのかもしれません。敬斗(中村)は最初、来た頃は、中への入り方がとても悪くて、ゴールに向かわないような入り方をしていたので、でも彼はゴールに向かってなんぼの選手なので、そこも掴みつつあるな、と。右サイドは湧矢(福田)が1:1に強いというのと、高尾瑠が賢い選手なので、そこらへんは使い分けていますし…でも僕は右を張れとか左を変化させようとかそういういことは一切、言っていません。とにかく形だけになると相手に消されてしまうので、相手が変化してきたら、自分たちも変化する、と。それをトレーニングでずっとやってきていますし、それ以上にだいぶ見えるようになってきましたね。相手がどうやってきたら自分たちはどうするのか。センターバックは最初、野田裕喜と松田陸のところで横に逃げるような形でプレッシャーがかかっていましたが、あのへんも途中で自分たちで修正したし、そのへんの距離感とかアングルはだいぶよくなってきていると思います。

●FW食野亮太郎

(2点取ったことより3点目が取れなかったことが悔しそうでしたね)いやもう今日は5点くらい取れました。2点じゃ全く嬉しくないです。今日の展開で。もっと取れたので反省です。あの1点目のシュートが入って他のシュートが入らないのが…納得がいかないです。ハットトリックも意識しすぎたのかもしれません。(出場した試合で5試合連続ゴール8得点と好調ですね)日頃の練習からしっかり取り組んで、今年は特にシュート練習に力を入れてやっているんですが、それが結果につながっているんだと思います。でもあくまで目標はJ1でのゴールなので。1日も早く取れるようにやっていきたいです。(スタートから流れも良く、自分たちのペースで試合を進められた)前半とかずっとボールを持てていてチャンスも多く作れていて、先制もしましたけど、45分よくて、最後の1分で失点を食らったのはチームとして反省しないといけないし、後半もまだまだ決められたと言うシーンも含めて、相手の息の根をもっと早く止めに行かなきゃいけなかったと思います。(PKを蹴らせてもらおうという考えはなかった?)彰人くん(高木彰人)が蹴りたそうだったし、あれだけそこまで外していてけらしてくれとは言えなかったです。流れの中でしっかり3点決められるようにします。(チームとしてもチャンスをたくさん作れた、収穫は?)相手のプレスも弱かったので、間、間で受けることを意識して、あとはみんな守備も頑張ってくれたので、自分が前で追いかけまわすと言うところで、運動量も含めてみんな走れるようになっていることが良かったのかなと思います。

●FW中村敬斗

ゴールも最後まで狙いましたが、せめてアシストつけたかったです。点が決まっていたら…満足とまでは行かないけどそれなりのパフォーマンスだったとは思います。(前半左サイドから作るチャンスも多かった)何回もチャンスを作ったし、もうすこし点が入れば良かったです。(連携で意識したことは?)トップにいくようになってからサイドバックとの連携を意識するようになって、前まで少し外で張ることを意識していたんですが、うまく内側を取ることを意識して、そしたら山口選手があいて、そこから攻撃スタートっていうのは考えていました。そこの連携はうまくとれて、パフォーマンスもまずまずだったので、本当に決めきるだけでした。

●MF高江麗央

(ゆりかごダンスでお祝いしてもらって、嬉しそうでしたね)ぎこちないゆりかごダンスになりました(笑)。記念すべき試合になった…いや、自分でゴールを決めたかったです。(スタートから攻勢に試合を進めて、強度の高いゲームができましたね)みんなしっかりと動けるし、やることというのがみんなわかっていて、チームが1つになれていたので、今日は本当にいい試合ができたのかなと。ただ、前半の最後に失点したところだけは反省ですし、僕も中盤で絞るところが甘かったりもして、少しピンチを作ったり、自分のミスでピンチを作ったりしてしまったので、そういう細かいところをもっと修正してやっていかないといけない。(前半、相手はあのシュート1本が1得点につながった)そうですね。やっぱりああいうところで…(林)瑞輝くんが蹴ったところからもっと手中して、セカンドボールとかに対しても1つ1つ細かいところをもっと集中していかないといけないと思いました。(一緒にボランチを組むことも多かった市丸瑞希選手が育成型移籍をして、自分の中に責任も芽生えていたのかなと思いますが)そうですね。中盤から、ボランチの自分からしっかりと引っ張っていかないといけないと言うことは仁志さんにも言われましたし、マルくん(市丸瑞希)がどうこうというより、とにかくチームを勝たせようと言う強い気持ちは持って試合に臨むことができました。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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