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<ガンバ大阪>ルヴァンカップ第2戦で、今季ホームでの初白星。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

直近のJ1リーグから2選手を入れ替え、それ以外にも倉田秋をボランチ、三浦弦太を右サイドバック、遠藤保仁をトップ下で起用するなど配置を変えて臨んだルヴァンカップ第2戦。ここのところ立ち上がりの失点が続く中、松本戦も6分に直接FKを決められ先制を許す展開となったが、31分にカウンターから流れるようにボールを繋いで小野瀬康介が同点弾を奪うと、その3分後にもアデミウソンのパスカットからファン・ウィジョが決めて逆転に成功する。後半もゴールこそ奪えなかったが、危なげなく試合を運び、今季のホーム戦初勝利を飾った。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖監督

ー何人かメンバーを変えて、配置も代えました。倉田選手をボランチで、三浦選手を右サイドバックで起用しましたが、同ポジションには他の選手もいる中でその二人を違うポジションで起用したという意図、狙いを聞かせてください。

(三浦)弦太を右で起用したのは、今シーズンが始まってから少し失点が多いということで守備を固めてという狙いと、(菅沼)駿哉がルヴァンカップの第1戦でいいパフォーマンスをしてくれていたので、彼が入ることでいい流れをチームにもたらしてもらいたいと思いました。(倉田)秋の真ん中に関しては、ボールを奪うに当たって、プレッシャーのスピードであったり、奪ってから前に運んで行ける推進力であったりというのを期待しながら起用しました。高(宇洋)と二人で相手のシャドーをしっかりとみるための機動力が必要だと思っていたので、そういったことも考えて起用しました。

ーその起用は、今日の試合に向けて準備したことだったのか、次の川崎戦とか、先を見据えての起用だったのでしょうか。

もちろん、シーズンを見据えて考えていますし、対戦相手の性格によってメンバーを変えたりとかということもある中で、選手の配置を変えて、例えば遠藤を前に置くことで、彼のサッカーIQの高さが出て、いろんなところでポジションをとったり、またプレッシングのスイッチ役になったりといったいい面も見られましたし、アデミウソンも左に置くというところで、彼のコンディションの良さも考慮したうえで、そこから中に入っていったりとか。いろんな変化、いろんな動きを見せてくれたと思っています。

ー遠藤選手のトップ下ですが、攻撃の面でサッカーIQの高さというのはどういった面で感じましたか?また守備の面でプレスを限定するという意味では、いい効果が出ていたというふうにご覧になられていますか。

攻撃面で相手のペナルティエリア付近で背負ってプレーするのではなくて、トップ下で前向きなプレーを増やすというところで、みんながポジションのバランスを考えながらプレーをしようということを試合前に話をして試合に臨みました。1点目、ウィジョ(ファン・ウィジョ)から(小野瀬)康介にでた、ああいったところの敵陣でのパスの質を上げるという意味でも、いい動きというか、期待していたものが出たと思います。守備面に関しては、しっかりと4-4-2でセットするという中で、さっき言ったようなスイッチ役であったり、パスコースを限定した中で、寄せていくということがあったように思います。日頃のボランチとして、スライド、スライド、スライドの連続よりは、前にボールを奪いに行くところのほうが、良さが出るかなと思って今日は見ていました。

ールヴァンカップの1戦目ではリーグ戦から大きくメンバーを変えました。今回は配置は変えましたが、メンバーを大きく変えませんでした。リーグ戦で少し結果が出なかった中で、チームとして成熟させることを考えたということでしょうか。それとも何か他の狙いがあったのでしょうか。

こないだの試合を振り返って見て、もちろん良くない点もあるんですけど、いい点もたくさんあったという中で、このメンバーでやれる、またやりながらいいものを出すことで相手を上回ることができるだろうというところと、リーグ戦ではホームで勝っていないので、ホームで勝ちに行くんだというところを今日は求めてやりました。勝利というのはチームに自信を与えると思いますし、今後のリーグ戦だったり、カップ戦に向けていい流れを作っていきたいという思いがあって、今日のメンバーでいきました。

●MF高宇洋

(一番こだわっていた結果がとれた)本当に勝ちが一番ほしかったので、こういう形でしたが、勝ったことが全てなのでよかったです。(守備だけではなくてパスも積極的に入れて攻撃面も意識しながらプレーしていましたね)監督からも今日は守備のところでバランスをとって、潰すっていうことと、シャドーやトップに入った時のプレスバックっていう明確な役割を与えられたので、それは絶対的なところとして意識していましたし、ボールを奪う部分も多くできましたし、攻撃のところもいい守備から入れると自分の中でいいメンタル状態で、攻撃のところにもしっかりとつなげられたので、そういう部分もよかったかなと思います。(アンラッキーな失点から始まったことに対しての動揺はなかったですか?)いや、もってないな、って思いました(苦笑)。まだ立ち上がりだったし、崩されたわけではなかったので、「うわ、これ入るか」と思いましたね。それで「俺、もっていないのかな」とも思いましたけど、ここで下を向いたら何も変わらないなっていうことも思ったので、そこからまた気持ちを切り替えてプレーしました。

●DF三浦弦太

(右サイドバックでのプレーについて。何度かやったことはあると思いますが)そうですね。久しぶりだったので感覚的にまだまだサイドバックの感覚に戻っていないところもありましたけど、立ち位置だったり攻撃というよりはどちらかというと守備のことを多く考えながらプレーしました。(監督からもそこを求められていましたか?)そうですね、監督もめっちゃ攻撃を、っていうよりタイミングがあえば攻撃にも参加するけど基本的には守備のところが大事だということだったと思います。(以前サイドバックをしていた時ほど攻撃に参加しなかったのは、さっき言った、サイドバックの感覚に戻っていなかったからですか?)それもありますね。クロスもそうだし、久しぶりにやって、自分の中では違和感を少し感じながらの入りでもあったので。(監督は会見で、リーグ戦とあまりメンバーを変えなかったのは勝つことによる自信を取り戻してもらうため、という話もありました。実際、今日逆転勝ちをできたことで少し気持ち的に楽になったところもありますか)そうですね。やっぱり何よりも勝つことはチームにとって大きな影響を与えるものだし、選手自身にとってもまた自信を持ってプレーすることにも繋がるはずだし、そういった面はこのあいだ勝てなかった中で、自信をもってやれたのは大きいと思いますし、ルヴァンカップもタイトルを獲りにいくことを目指している大会なので、今日の重要性というのもみんながわかっていた中で、失点した入りで難しかったですけど、どうにか逆転できたのはよかったと思います。(相手のFKがよかったとはいえ、先に失点してまたか、という感じにはならなかったですか?)ずっと立ち上がり集中して入ろうということは言っていたけど、あの失点は難しい部分もあると思うので、そういう…去年のように、やられるときはずっと終盤にやられたりとか、今年は立ち上がりにやられる試合が続いたりとか、ありますけど、そういう中でもしっかり勝ち切れれば、そういう苦手意識もなくなっていくはずだし、もちろん立ち上がりに集中して入るのは大事ですけど、あまりそこも意識しすぎずに入れるようにもっていけたらいいのかなとも思っています。

●MF遠藤保仁

(トップ下でプレーし、ポジションを細かく変えながらボールをたくさん触った試合でした)前半はあまり相手のプレスというか、相手も元気がありましたし、なかなかうまくいかないところもありましたけど、後半相手の足もとまってきて、リードしている状況だったので、慌てることなくチーム全体としてやれたと思うし、あのポジションに入ればいろんなところに顔を出しながら、というのはイメージしていたので、前と横とうまく連動しながらやれたのかなとは思います。(ハーフタイムには菅沼選手に後ろからしっかりボールをつけてくれ、というような話もしたと伺いました)そうですね。サイドバックのところにはめにくるというのは前半から見てとれたので、センターバックから相手がプレスをかけにくいような形をとっていこうという話はしましたし、そういう意識をしながらチームとしてうまくビルドアップをしていければと思っていました。(倉田秋選手と高宇洋選手のボランチはどうみていましたか?)秋ももともとボランチの選手ですし、ハードワークもできるので大きな問題はなかったと思いますし、どういう組み合わせになっても今日のようなボールをうまく回しながら前に進んで行くという戦い方をしたいと思います。(今日はトップ下でしたが、前にいてバイタルの近くで触るのと、ボランチでバイタルで触るのとどちらがやりやすいですか?)周りとの兼ね合いはありますが、トップ下で自由に今日は動いていたので、スペースをみつけながらっていうことを意識していたので、できればもう少し回数は増やしていきたいし、ただ下がるだけになると前が孤立するだけなので、そのへんのバランスとかを見ながら、できればバイタルエリアとか前を向いてプレーする機会は、トップ下でも増やしていきたいと思います。

●DF菅沼駿哉

(前につける意識も高かった)そうですね。ビルドアップのところで最初の方は僕のところでうまくいかなかったですけど、今週つなぐことをトレーニングしてきて、そこは怖がらずにつないでいこうといっていて、少しガンバらしいサッカーができたのかなと思います。(磐田戦でも今日のようなプレーを理想としていた)そうですね。磐田戦も狙っていたんですけど、なかなかずっとやり切るということができなかったのに対して、今回はミスをしてもみんながボールをもらう意識も高かったので、それを継続してやっていけたらいいなと思います。今日は松本の守備の仕方的に僕とヨングォンのところを狙ってくるのはスカウティングでわかっていたので、そこでどう裏返すかを考えながら入った。ただ最初はうまいことハマってしまって立ち上がりは難しい展開になってしまいましたが、徐々に慣れていくうちに落ち着いてやれたので、それは今後生かしていきたいです。(前回、ルヴァンの1戦目パフォーマンスは個人的によかったけどチームとしての結果が出ずにそれをすごく悔しがっていた。そういう意味では今回結果を出せたということは一番の収穫だと言える部分ですか)そうですね。今回はガンバとしても勢いに乗れていない状況もあって、どうしても流れを変えたいという試合だったので、自分もこの年齢になって勝負しないといけないし、巡ってきたチャンスはどうしてもも、のにしたいと思っていたし、そのためには結果が必要だと思っていたので、それはよかったと思っています。(ボランチから前、遠藤保仁選手がトップ下、倉田選手がボランチに入りましたが、攻撃の部分は後ろからどう見ていましたか?)後ろから見ていても、ヤットさん(遠藤保仁)のところにボールが入れば流れは変わるなと思ったし、ヤットさんがトップ下の位置になって、自由にボールをもらえるポジションを常にとっていたので、ボールを後ろからつけたときもパッと前を向いてくれましたし、ハーフタイムにも「そこはどんどんつけてくれ」ということも言われていて、実際にあそこにつけて、そこにアデミウソンとかウィジョ(ファン・ウィジョ)が攻撃に加わっていったら怖い攻撃ができるなというのは感じました。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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