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<ガンバ大阪>今季4度目の対戦となる横浜Fマリノスから白星!6連勝を飾る。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

ホームに横浜Fマリノスを迎えたJ1リーグ30節。3バックでスタートしたガンバは相手に押し込まれる時間も長くなる中で36分に横浜Fマリノスに先制を許す。それでも、ここ数試合、点が取れている自信もあってだろう。「プラン通り」という宮本恒靖監督の言葉に背中を押される中で後半に入ると形勢が逆転。GK東口順昭のケガによる交代というアクシデントはあったものの、4バックに変更する中で攻勢に試合を進めていく。待望の同点ゴールが生まれたのは71分。後半からピッチに立ったFWファン・ウィジョが先制点を奪うと更に勢いづいたガンバは86分にMF小野瀬康介がゴールを決める。この小野瀬の待望の『J1初ゴール』が決勝点となり、今季4度目の対戦となった横浜Fマリノスから白星を奪ったガンバが、連勝を6に伸ばした。試合後のガンバ監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖監督

残り5試合、ホーム3試合をしっかりと勝ち切ろうという話をして選手と試合に入りました。前半に関しては少し相手の攻撃のスペースをうまく消しながら試合をコントロールしつつ、相手ゴールに迫ろうというプランもあり、そこでコントロールしながら…シュートまでいけるシーンは少なかったですが、ある程度、そこはゲームプラン通りに進んだところでした。0−1というところも、選手には0−1で大丈夫だと言っていましたし、後半勝負の中でウィジョ(ファン・ウィジョ)やアデ(アデミウソン)が入ることで、よりゴールに向かう姿勢をゴールに、得点につなげることを考えて、特に後半は守備に関しても出足も良く、相手からボールを奪う、そして相手のミスを誘うようなプレッシングもあり、ショートカウンターも仕掛けられて、非常にハートの感じられたいい後半のプレーだったと思います。2点目が入るかどうかが、どちらにとっても我慢比べのような試合でしたが、その中で選手がしっかりとリスクマネージメントしながら、相手ゴールに迫る、しっかり走る、戦うということが見られて、かなりタフな試合をものにしたという意味では非常に大きな勝利だったと思います。

ー前半で交代した東口選手の今の時点でわかる状態を聞かせてください。

右膝の内側の靭帯を少し痛めているようですが、さほど大事には至っていないようなので、幸い1週(試合が)あきますし、その次に向けて治療をし、調整していくことになると思います。

ー3バックでスタートしたところと、アデミウソン選手、ファン・ウィジョ選手ともにベンチスタートにした理由と、先ほどある程度、狙い通りだったという話でしたが、前半はある程度守備的に戦って、後半勝負、というゲームプランだったのでしょうか。

その通りです。守備的に、前半は相手の出足がいいとか、そのスペースを突きにくるというのはルヴァンを戦った中で見えていた中で、そこをマネージメントしながら、後半、ウィジョとアデを入れて、いま練習で見ていてもいいコンビネーションを築いている二人を入れることで、相手ゴールに迫りたいというのはありました。ただヒガシ(東口順昭)が怪我をしたことで交代枠が一つ減る中でどう対処するかというところだったり、いかに攻撃につなげるかっていうところで、3枚でスタートしましたが、重たいなと感じたので4枚に変えたというところもありました。それに関してはヴィッセル神戸戦の後半のイメージもあったので、選手がそれをしっかりと意識してやれたのかなと思います。

ー小野瀬選手は初ゴールになりましたが、評価をお願いします。

「いつとるねん!」みたいな話はみんなの中でしていたので(笑)。練習の中ではたくさんいいゴールもしていましたし時間の問題だと思っていましたが、今日のようなああいう局面で決勝点というインパクトは大きいと思います。でももっと、レノファ山口では点を取っていた選手なので、もっと点に絡んで欲しいと思っています。

ーみんなで勝つということを常々おっしゃっていた中で、今日も途中交代の選手がゴールに絡んで勝ちを手に入れました。今日の逆転勝ちをどう繋げていきたいですか。

駿哉(菅沼駿哉)に3バックの一角を担ってもらいスタートしましたが、みんなでこの試合にはどういうものを求められて、どういう形で勝利をもぎ取っていくのか、というところが特に今、残留を争っている中では大事なことだと思っています。そこで、それぞれ長所を出してもらいながら、アデのゴールに向かう迫力だったり、ウィジョの嗅覚だったりを生かしながらやろうと。それぞれがスタートではないというところでは…選手は全員スタートから出たいものだと思うので精神的に難しいところもあると思いますが、今日試合に出なかった選手も含めて、みんながしっかりとガンバが勝利することに対してコミットしているので、いい雰囲気にありますし、練習もいい形でできているんだと思います。残り4試合、もっと勝ってよりよい結果につなげていくということに対して、みんなの頭の中が一致しているので、これを続けていきたいです。

●MF遠藤保仁

(前半は後ろが重くなりロングボール1本という感じでしたが、そこは割り切って戦っていたのでしょうか)できれば、0−0でっていうことはありましたが、0−1でもストレスはなくというか、後半のような戦い方がずっと連勝中はできていたので、後半しっかり勝負できたと思います。(事前に勝負どころは4バックでいくという話だったのですか?)4バックにするかどうかは監督の判断ですけど、後半、4枚になって前からいけたことで逆転できたのは良かったですが、できればスコアレスで後半を迎えられたらより良かったと思います。(今のマリノスを相手に逆転して勝つことは簡単ではない。地力がついてきたという手応えはありますか?)流れがいい部分もあると思いますし、全員が前から激しく奪いにいくという部分もできているし、攻撃の部分もいろんな形で攻撃できているのでこれを続けていければ勝点3をとれるっていう自信は付いてきていると思うので、残り4試合も全部勝つというつもりで臨みたいと思います。

●GK林瑞輝

いつも思っているのですがファーストプレーは意識していて、今日も卒なく、途中からまずはアンパイなプレーで入ろうというイメージをしていました。僕が入ってから決定的なシュートは打たれなかったし、前半は結構押し込まれる展開でしたが、後半は、ハーフタイムで前からいくということで共通理解もあったので、そこがぴったりハマった試合だったと思います。(枠内のシュートは2本くらいありましたが動じずに対応できましたか)味方がコースを切ってくれていたので、そこは余裕を持ってセービングできました。(前回のルヴァンカップ準々決勝第1戦は0−4と悔しい結果に終わっていました。そのことも踏まえて意識したことは?)前のルヴァンは4失点してしまい、そのあと椋大くん(鈴木椋大)に代えられたという経緯があって、自分としてはリベンジのチャンスでしかないと思っていたので。ミスを恐れずに、メラメラした気持ちでやれたのでそこはよかったというか…結果的にあの0−4の試合があったから、今日はそういう気持ちになれたというか。自分のなかでその気持ちを繋げられていたなっていう風には思います。(戦い方というところで、マリノスに対して自分が意識したところは?)チームの戦い方にあわせることはかなり意識していて。前半は見ているだけでしたけど、監督からも引いた守備をしようと言われていたなかでの0−1だったので、後半はそれを踏まえて出て行こうと戦術も少し変わったので。みんながディフェンスラインをあげる分、自分も前を狙いながらやっていました。結果的にそのチャンスはあまりなかったですけど、味方がうまく戦ってくれていたと思います。チームが連勝している中で、ここで自分が出て勢いを止めたらいけないという思いの方が今日は強かった。そういう意味では結果を出せたのは一番大事なところだと思う。チームが苦しいところからギリギリ抜け出せている状況で、また下を突き放せたという意味ではチームとしても大きな試合だったと思います。

●FWファン・ウィジョ

(ゴールシーンについて)いいカウンター気味の攻撃から、倉田選手がうまくボールをとられないように持ってくれたし、アデ(アデミウソン)からいいパスがきて決めることができましたが、一人で決めたゴールではなくて、全体が繋げて決めたゴールという意味で嬉しいです。(密集したゾーンで右足にうまく持ち替えましたね)空いた瞬間というのを逃さずにスペースを見つけて決められたのはよかったのですが、同点ゴールに満足せずにそのまま逆転までいけた、という勢いをつけられたゴールになったことを嬉しく思っています。(代表戦でもウルグアイから点を取って、自信もより大きくなっていたのでしょうか)代表でゴールを決められたことで自信もつきましたし、ガンバでもずっとゴールを決められているのでそこへの自信はありました。ましてやずっと勝っているので。自分のチームで決めて活躍することによって代表にも選んでもらっていると思うので、そういう意味では両方のチームで活躍できて嬉しいです。(前半押し込まれてリードも許しましたが後半、ピッチに立つ中でどういう変化を与えたいと思っていましたか?)練習から監督がずっと後半から勝負をかけようといっていたので、それを選手たちがしっかり汲み取ってやれたのはよかったし、自分が後半から出るとなれば活発に動いてゴールを狙っていくということを意識していました。そういう意味で、後半に逆転ができて、いい試合の流れ、展開になったんじゃないかと思います。まだ安全圏にいるとはいえない状況の中で、選手全員がいまの状態に満足せずに、常に1つ1つ勝っていくという意識を持てていることが6連勝につながったんじゃないかと思います。

●FWアデミウソン

(ウィジョの1得点目は素晴らしいアシストでした)途中出場で入るときには常に、パスやドリブル、できれば得点ということで貢献したいと思っていますが、ああいった形で貢献できて、なおかつ勝利できたということを嬉しく思っています。(2点目も藤春選手への素晴らしいボールが出ました)あのプレーは普段から自分が得意としているプレーでもありますが、自分がああいう形でマークを引きつけて、ワンタッチでハル(藤春廣輝)のスピードを生かす、あるいはウィジョ(ファン・ウィジョ)を生かすというようにプレーすると、自分が最終的にゴール前に間に合わないということも状況によってはありますが、あのパスが最終的にはハルのスピードを生かした、いい突破に繋がったこと、そしてハルが最高のプレーをしてくれて決勝ゴールに繋がったのは本当に良かったなと思っています。(チームとしては後半勝負というイメージをもっていたということですが、そういう意味では後半しっかり逆転できたというのはチームとして共通理解を持って戦えた試合だったと言えますか)ゲームプランとして監督の狙い通りの形で最終的に勝利という結果を得られたことを嬉しく思っています。もちろん、理想としては例えば前半1−0で我々がリードできていれば良かったかもしれないですが、逆にああいう形で0−1で前半を終えても我々にはプランがあるということは監督もはっきり伝えてくれていました。その中で今日は選択肢として僕とウィジョを投入してくれましたが、僕ら以外にもゲームの流れによっては淳吾(藤本淳吾)だったり、ヤン(高宇洋)だったり、ヨネ(米倉恒貴)であったり、それ以外の選手を含めてベンチにはゲームの流れに応じた選択肢と、プランが用意されているので。そういう意味では監督の狙い通りに試合を運ぶことができた試合だったと言えると思います。

●MF小野瀬康介

(ゴールについて)めちゃめちゃ嬉しいです。めちゃめちゃいいボールがきたので逆に緊張しました(笑)。入って良かったです。(ここのところずっと先発で使ってもらっていた中でなかなか取れずに…周りからもいつとるんだ、ってツッコまれていたという話ですが)周りがイジってくれて…今日もめちゃ言われていて…早くとりたいという気持ちはもちろんありましたし、しかも決勝ゴールという価値あるゴールで…とれて、周りの人も喜んでくれたのですごく嬉しいし、思い出になるゴールになりました。(シュートはスネに当たった?)いやしっかり当てました…と思います…感覚的にはしっかり当たっていたと思います。(ロッカーではどんな様子でしたか?)おめでとう!と…一番嬉しかったのは、試合中にヤットさん(遠藤保仁)がボソッと言われたのが一番嬉しくて…「初ゴールおめでとう」って(笑)。(仲間の様子からもそれだけチームにしっかり入れて戦えている上でのゴールだったと?)そうですね。やっとというか…チームの勝利に結果で貢献できたのですごくいい一日になりました。(それ以外の守備のところでも貢献が見られました)そこは最低限やらなきゃいけない仕事なのですが、僕は攻撃的な選手なのでそういう数字だったり結果を残せるようにこれからもやっていきたいです。(数字を残すまでガンバの一員になれたとはいえないといっていましたが。ようやく取れたことでやっと一員になれた、という実感もありますか?)そうですね。その気持ちは大きいです。(ここのところ先制できる試合が続いていましたが、実際に0−1とビハインドを負っても焦りとか、乱れはなくやれましたか?)全くないというか後半に、途中から入った選手がパワーを持って入ってくれて…そういう狙いもあったし、誰が出てもおかしくない状況の中で今日は出たメンバーでしっかり勝てて良かったです。それはいま攻撃にしっかり自信が持てているからだと思います。(J2であれだけとっていたのに、J1では10試合ほど取れなかった。何が足りないというふうに感じていましたか?)まずシュートチャンスが確実に少ないのと、1枚剥がしても2枚目のカバーがしっかりきているところとか、1つ1つのクオリティが高いのは感じていたので。それに徐々に慣れてきた部分が大きいのかなと思います。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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