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<ヴィッセル神戸>外国籍選手は総勢6名! 磐田戦でのイニエスタとポドルスキの共演の可能性は?!

高村美砂フリーランス・スポーツライター

 8月8日、ヴィッセル神戸はプレス向けの公開練習を行った。といっても取材が許されたのは冒頭の約25分間で、アップまでしか見ることはできなかったが、ケガのため別調整が続いていたFWルーカス・ポドルスキ選手が全体練習に合流したこともあり、ピッチではMFアンドレス・イニエスタ選手との『初共演』も見られた。

 加えて、この日はカタール・スターズリーグのアル・ドゥハイルSCよりDFアフメド ヤセル選手の期限付き移籍加入も発表され、チームに合流したことから、外国籍選手は、既存のFWウェリントン、GKキム・スンギュ、DFティーラトン選手を含めて6名に。しかも、そのうちDFティーラトンとDFアフメド ヤセル選手は『Jリーグ提携国』の選手でいわゆる『Jリーグ外国籍選手(*注1)』にはカウントされないため、彼ら全員が一度にJ1リーグの試合に出場することも可能となる。これについて吉田孝行監督は冗談ながら「通訳だけで1チームできるんじゃないか、っていうくらい多いですね(笑)」とした上で、改めてチーム内での競争をチーム力向上につなげたいと語気を強めた。

「日々の競争はこれまでもあったこと。それは日本人と外国籍選手ということではなく、日本人同士、外国籍選手同士にもあったものだし、その時々でいい状態にある選手をセレクトして起用してきた流れもある。そこはこれからも変わらないし、より熾烈な競争が生まれることをチーム力につなげていきたいと思う」

 気になるのはピッチ上でのコミュニケーションの部分。それについて、吉田監督は、母国語以外に英語を話せる選手も多いことを踏まえ、さほど心配していないと言う。

「サッカーは、ボールがあればコミュニケーションをとれるし、優秀な通訳もたくさんいるので問題ない。もちろん、試合の中で選手同士でコミュニケーションを図らなければいけない場面もあるはずですが、選手もそれぞれ英語はそれなりに理解できるはずだし、サッカー用語は通用すると思うので。必要な時は通訳をつけて、また身振り手振りのジェスチャーで片言の英語なのか、日本語、ポルトガル語なのか…コミュニケーションをとっていけば問題ないと思っています」

 そうした吉田監督と同様に、現状をポジティブに受け止めたのは、副キャプテンを務めるDF渡部博文だ。新加入のDFアフメド ヤセル選手を含めたポジション争いや、ますます『多国籍チーム』になった現状についての考えを聞かせてくれた。

「ヤセルは左利きでサイドバックもセンターバックもできると聞いていますが、新しい選手が加わるということは新たな刺激が生まれるということ。今日はまだほんの少しの時間、一緒にやっただけなのでこれから特徴などを把握していこうと思っていますが、面白い選手だなとは思いました。そのヤセルを含めてコミュニケーションについては…とにかく目を合わせて、笑顔、それで大丈夫かなと(笑)。本当に深い話のところは通訳がいるから大丈夫だし、でも多国籍チームになるからこそ、自分たちで会話をしようとすることも大事になるはずなので。単語でもいいから、お互いが言葉を交わす努力をして、それを積み重ねることで信頼とか、お互いの距離を縮めることに繋げていければいいなと思っています。その多国籍なところは…ある意味、僕はこのチームの『色』だと受け止めているし、それによって生まれる競争もチームにとって決してマイナスではないと思っています。実際、すでにそれぞれが自分のポジションがなくなるかもしれないということに危機感を持っていますしね。でも、そういう危機感も、結局は自分のプレーに集中して、自分を磨くことでしか乗り越えられないことですから。他の人のことを気にするよりは、それぞれが自分がやるべきことに集中して、意識を高く自分のプレーを磨くことを、チーム内でのいい競争につなげてやっていきたいし、それは結果的にこのチームにいいものをもたらしてくれるはず。僕自身も、この競争を自分の『伸び代』につなげていこうと思っています(DF渡部博文)」

 さて、それら外国籍選手が多数、ピッチで元気な姿を示していたとなれば、気になるのが週末のホーム・ノエビアスタジアムでのJ1リーグ・第21節で行われるジュビロ磐田戦に、彼らが出場するのか、だ。6選手のうち、DFアフメド ヤセル選手は、吉田監督が「コンディション的に少し時間が必要かも」と話していたことを考えれば、出場は厳しいかもしれないが、それ以外の外国籍選手については、現時点で大きな問題は抱えていない。となれば、ヴィッセルファンが待ち望むMFイニエスタ選手とFWポドルスキ選手の共演も可能かもしれない。これについて、吉田監督は両選手のコンディションに言及した上で、現時点での可能性を明かしてくれた。

「ルーカスについては、スタートからプレーできるかは分からないですが、足の状態だけをみると、ある程度はプレーできる状態にはなってきています。ただ、試合からだいぶ離れているので、コンディションや試合感の部分で鈍いところもあるのかな、と。我々にとって必要な中心選手であることは間違いないので、そこは試合までもう少しコミュニケーションをとりながらやっていきたいと思っています。またアンドレスについても向こう(スペイン)で個別のトレーニングもしていましたし、初先発した柏レイソル戦の週くらいの状態にはあるのかなと。その二人の共存については…今日は2パターンほど試しましたが、その二人だけではなく全体のバランスなども考えなければいけないと思っているので、もう少し練習を積み重ねながら、またコンディションを見ながら誰をスタートで起用するのかを考えたいと思います」

 その可能性も予測してか、ホームで行われる21節のジュビロ磐田戦、続く22節のサンフレッチェ広島戦のホーム2連戦はいずれもチケットは完売。続く、24節の横浜FM戦、26節のガンバ大阪戦も好調にチケットの販売数を伸ばしていると聞く。しかもカードを見てもお分かりいただけるように、うち2チームはヴィッセル神戸の上位を走るチームとの対戦で、目標であるACL出場権やタイトル獲得には是が非でも負けられない試合が続く。この正念場をチームとしていかに乗り切るのか。暑い夏をものともしない、熱い戦いが期待される。

(*注1)試合にエントリーすることができる外国籍選手は1チーム3名以内。ただし、アジアサッカー連盟(AFC)加盟国の国籍を有する選手は1名に限り追加でエントリー可能。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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