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<ガンバ大阪>気迫をみなぎらせた今季初の大阪ダービーは、完封勝利。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

今季初の『大阪ダービー』。試合前からサポーターの熱が最高潮を迎える中、試合に臨んだガンバは立ち上がり16分という早い時間帯にGK東口順昭が味方選手と接触し交代になるアクシデント。それでもJ1リーグデビューとなったGK林瑞輝をはじめ、同じくJ1リーグデビューのMF高江麗央らが躍動。41分にはFWファン・ウィジョがPKのチャンスをしっかり決めて先制する中で、前線からの守備、球際、ハードワークと全員が90分を通して戦い抜き、1−0と勝利した。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●レヴィ・クルピ監督

まず今日の試合に関して、一番にコメントさせてもらいたいことは、選手たちを心から讃えたいということです。今週、選手たちの表情を見ていて、はっきりとわかったのですが、今日のこの試合に勝ちたいという意気込みが、彼らの表情からはつねに感じられました。そしてセレッソさんの方が、今シーズンはガンバよりも安定した戦いをしているかと思いますが、その中で戦うスピリットをすべて出し尽くし、そして、G大阪のユニホームを着て、そのプライドをかけて戦い抜いた選手たちを心から讃えたいと思います。そしてサポーターの皆さん。そして常に支えてくださったサポーターのみなさんに、この勝利をささげると共に喜びを分かち合いと思います。

―高江選手を先発に起用したのは直近のルヴァンカップのパフォーマンスをあってだと思いますが、あらためて起用した理由とPKも彼のパスカットから始まりましたが、今日のパフォーマンスについて評価をお願いします。

ルヴァンカップでのプレーをみたときに、彼のプレーというのは本当に迷いがなく、ミスを恐れず気迫のこもったプレーをするというところ。そしてもしミスがあっても、自分のプレーをやり続けるという存在感ですね。そういう意味で非常にいいプレーをしていたと思ったので、今日は起用しました。さらにPKにつながったシーンですが、それを含めて今日の彼のプレーは非常によかったと思います。

―東口選手の状態をわかっている範囲で教えてください。

彼のケガの状態は非常に心配なんですけれど、ドクターの話によると、おそらく顔、目の下を骨折しているのではないか、ということでした。明日、おそらく検査をして、詳しいことはわかるとは思いますが、骨折ではないことを祈るばかりです。ただ、これもまだなんとも断言できないところなので結果を待ちたいと思います。

―改めてかつて率いたセレッソと戦ったことについての心境を教えてください。

正直言うと、セレッソとの対戦はできればしたくなかったというのがあります。ただ、プロである以上、サッカーをしていればこれはよくあることで、我々だけではなく、選手の例えば倉田秋も以前はセレッソに所属していて、今日は古巣との対戦。それはあることだと思います。ただ正直言って、複雑な心境であることも間違いありません。いわゆるアミーゴと呼べる仲間と、生きるか死ぬかの戦いをするわけですから、非常に複雑な思いもありました。ただ、いま現段階においては、セレッソ大阪の方がガンバ大阪よりも安定した戦いをしており、我々の方がまだ波のある戦いが続いています。もう少し我々のサッカーのなかで安定感が出てくれば、より良い結果が出せるんじゃないかと思います。

●MF高江麗央

せっかくもらったチャンスなので結果を残してやろうと思っていました。相手の中盤には日本代表の選手がいたり、したので楽しみという気持ちの方が強かったので、本当に強い気持ちで試合に臨みました。(2分くらいで削りに行っていたね)最初の入りが一番大事だったので、そこは意識的にいきました。(ただでさえ難しい試合の中で、東口選手の負傷交代のアクシデント)瑞輝くん(林瑞輝)とは去年からやっていて、個人的には信頼できるGKなので何も変わらずやっていました。(結果が出たという意味でも高江選手にとって自信に繋がる試合になるのでは?)そうですね。自信…デビューできたこともそうだし、この2試合で出た課題をしっかり修正して練習からまたしっかりやっていきたいと思います。(倉田選手がレンのおかげで勝てたと試合後言っていました)いやあ、デビュー戦だったので優しくしてくれたんだと思います。(U-23でも経験している大阪ダービーですが、トップでの大阪ダービーはどう感じましたか)また観客の皆さんの数も多いですし、1つ1つのプレーで湧いたり、悲鳴になったり聞こえるので、そういうのも楽しみながらやれたので、本当に今日は楽しくできました。(今野選手の代役探しになっていた状況もあった中で結果をしっかり残せたのは大きいですね)そうですね。今さんが戻ってきてもスタメンでいられるように、本当にこれからだと思っています。(もともと攻撃的なポジションですが、守備的なことをすることの葛藤はありましたか?)守備はできない選手だったんですが嫌いではなかったので、それをU-23スタッフの方に教えてもらって、奪うことができて、プレーの質が変わってきたので。それでボランチでも守備がうまくできているんだと思います。(熊本からお父さんがいらっしゃっていたそうですが)そうですね。やっとデビューできたので。これからも親孝行ができたらいいなと思います。

●MF藤本淳吾

(みんなの気持ちがつながった勝利でした)そうですね。とりあえず勝ってよかったし、FWがああやって仕事してくれるとチームも乗るので。2点目も取って欲しかったですけど、でも、今日は熱い試合ができたと思います。(藤本選手にも2点目をとるチャンスがありました)そうでしたね(笑)。やっぱり入らないかって思って…あれが決まっていたら今日のミスの多さもチャラになるなと思ったけどそんなに甘くなかったです。でもあそこに入っていけたのはポジティブに考えているところで、今日は今日なりの課題と、やり方と、自分の中でのテーマは一応あって、そこにトライした結果のミスだったので。凹むこともないし、っていう感じです。とりあず今日は内容より勝ち点3が取れて、そのミッションが達成できてよかったです。(東口選手のアクシデントがあり、チームが引き締まった感じもありました)それまで本当に弦太(三浦弦太)が全然集中していなくて。ミスするわ、ピンチ作るわ、味方とぶつかるわで…ふざけんなって思っていて(笑)。でも逆に入ってきた瑞輝(林瑞輝)が落ち着いてプレーしていて、弦太もそこから切り替えて集中してやれていたし、そういう意味では、あれで引き締まったというか、確認する時間もできたし。ヒガシ(東口順昭)はちょっとかわいそうだったけど。(わかりやすく前からプレスにいくとか、球際とか、90分最後までやりきったところが結果につながった)そうですね。だから今日の試合をベースにやっていかないと、いけないと思うし、俺とジェソク以外の選手は今日に備えて1週間、休んでいたのがよかったと思う。また、今言った球際とか、戦うとか、ベースの部分でいつも少し遅かったり、連動していなかったり、いってはいるけどあっさりかわされてしまっていたりしたので。そこが今日は、カバーもしっかりし合いながらチームとして連動できていたと思うので、完璧ではないですけど、よかったと思います。

●GK林瑞輝

ピッチに出るときはまずファーストプレーに集中しようという思いで入って、練習も、去年と違って一緒にできていたし、水曜日のルヴァンでもデビュー戦は終わっていたので、そういう意味ではすんなり入れました。(ルヴァンを1試合戦ったことは気持ち、プレーでもアドバンテージになったようにみえました)かなり大きかったですね。ルヴァンに出ずに今日こういうチャンスがきていたら、今日よりももっと確実に緊張していたと思うし、ルヴァンでは負けてしまったけど、個人のプレーはある程度できたと思っているのでそういうプレーもつながって、今日ゼロに抑えられたんじゃないかなって思います。(東口選手が故障した時にすぐに監督が林選手に何かアドバイスを送っていましたが)普段からそういう準備もしてきているし、しっかり自信をもっていけよ、という言葉を伝えてもらって。その言葉のおかげもあって入りやすかったです。(先制できたことでかなり気持ち的にも楽になったのかな)先に味方が点を取ってくれたら、自分がゼロで抑えたら絶対に勝てるので、そういう意味ではあの先制点はかなり大きかったと思います。(U-23でも大阪ダービーは経験していますがまた違う雰囲気を感じましたか?)声も通らない中で、でもそういう中でも飛び出しとか、フィードとか持ち味を出そうと心がけていましたけど、終わってみたらまだまだできたなって思っていて、こういう経験を次に活かせるように、普段からまたイメージしてやっていきたい。(楽しめました?)かなり楽しめました。(ガンバクラップ、初めてだったと思いますが)そうですね。自分が出場してやるのは初めてだったので、照明が消えなかったのが残念でしたけど(笑)、その分、サポーターの喜んでいる顔がしっかり見えてよかったです。

●FWファン・ウィジョ

(PKのシーン)PKになった時に真ん中に蹴ってやろうと思っていました。キム・ジンヒョン選手は背も高いし、PKのストップ率も高いので、サイドに蹴ったら止められるかなと思って真ん中に蹴りました。決まってよかったです。

●DF藤春廣輝

久しぶりの公式戦で…5試合ぶりとかだったので、体はきつかったですし、試合の2日前くらいに復帰したので体力的にいけるかなって思っていましたけど。(久しぶりとは思えないパフォーマンスでした)体もなんとか動きましたし、ウィジョの先制でだいぶチームもよくなったし、かなり先制点は大きかったと思います。みんなの動きも変わって、90分集中して最後まで走れたと思うので。これを続けていかないといけないなって思います。(東口選手の怪我でまとまった感じもありました)そうですね。ヒガシくんが自分はやるって言ってましたけど、おそらくドクターがこれ以上やると危ないっていう判断で交代になりましたけど、あの状況でより気合が入ったのはありましたし、ヒガシくんのためにも戦うっていうのが結果に出たと思います。(試合を上から見ていて、今日のプレーに生かしたことは?)相手より多く走るのは大事だと思いましたし、それが試合を見ててなかなかできていなかったので、それが今日はできたのかなと。最後まで集中してみんながやれていたので。(倉田選手もかなり効いていた)本当に全員が、攻撃して全員が守備するっていうのがやれていたし、秋(倉田秋)は本当に走り回って攻撃にも守備にも顔を出していましたし、本当に今日は走りきれたことが全てだったと思います。

●MF遠藤保仁

みんなのハードワークのおかげだと思いますし、先に点を取れたのが一番大きいと思います。ピンチもありましたけど、そこは相手も一緒なので、その中で勝ちきれたということで、チームもまた一歩前に進めたと思いますし、今日のような気持ちの入った試合をこれからもしていきたいなと思います。(逆にこれまで足りなかったことが今日の試合では出せたということですか)紙一重のゲームもこれまで何試合かありましたし、それをものにしていたらもっと上にいけていたと思いますけど、現状として勝ちきれていない試合が多かった中で、全員が勝ちたいという気持ちを出してやっていましたし、もう少し落ち着いてゲームをコントロールできたらよかったけど、それでも今は勝つことがチームにとって一番大事なことなので、内容がどうであれ勝ち点3をとれたのは非常によかったと思います。(東口選手のアクシデントがありましたが、あそこで守った1点を勝ちにつなげようという思いも強かったのでしょうか)まあ、瑞輝も途中から入って落ち着いてやれていましたし、ヒガシ(東口順昭)も一番楽しみにしてた大阪ダービーだったので、交代してしまうというアクシデントで悔しい思いもしていたはずだし、他のけが人の選手もいるし、そういう選手の分も、今日出ていた選手たちが全力を尽くして勝つということができたと思うのでよかったしこれから先も、累積なりけが人が出てくる可能性があるので誰が出てもできる限り高いパフォーマンスを保ちながら、前に進んでいけたらいいなと思います。(ああいうアクシデントがあって、ピッチ上で落ち着かせたり、そういう言葉はありましたか?)一応言葉はかけていますけどこの雰囲気で、どうしても気持ちが先に行きすぎてっていう部分もありましたが、全体的にはうまくやれたと思いますし、コントロールしろと言っても今日のような試合では難しい部分もあると思うので、ゲームを進めながらコントロールできればと思っていました。(試合中、熱くなったシーンも多かったですがそこを落ち着かせようというのは思っていましたか?)ダービ〜なので、仕方がないと思いますし、監督もラフプレーはよくないですが、正当にいってファウルとられるならしょうがないっていうことは言っていたので、今日の試合に関しては声も通らないし、勝ちたいという気持ちがああいう熱い気持ちにさせていたと思うので、それを無理に止めようとは思っていなかったですけど、全体的にもう少し攻撃の部分で工夫があればもっと崩せていたと思うので、そのへんの落ち着きというか、熱い中でも周りの状況をしっかり見るということは必要かなと感じました。

●DF米倉恒貴

すごくいい試合ができたんじゃないかと思います。僕は途中から入ったので、行ったり来たりの展開で正直、途中から入って乳酸地獄でしたけど(笑)、本当に今日はみんな戦えていたし、そういった部分が結果に…危ない場面もありましたけど、そういうところをやられないというのもみんなの気持ちだと思うし、負けているのはそういうところが相手に勝れなかったと思うので、そういう意味では今日はみんなでそこを乗り越えて結果を出せてよかったと思います。(この間もそうだけど米倉選手の運動量がいきている)今日は僕は途中からだったので、みんな頑張っているのはみていたし、途中から出た僕がやらなくちゃいけないっていうのは思っていたしもっと動かなきゃいけなかったですけど、この勝ちで終われたので、ノルマは達成できたかなって思います。(ダービーでの勝ち点3はまた違う意味を持つのでは?)ダービーはなんやかんやでホームで負けた記憶がなかったので、なんとなくいけるかなっていう気持ちはあったんですけど本当に今日はみんなが一生懸命、外から見ていても本当に戦っていたので、こういう気持ちの入った試合が大事だと思います。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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