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<ガンバ大阪>2点差を追いついて、今季リーグ戦では初の勝ち点を掴む。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

ルヴァンカップで今季初勝利を挙げたガンバ大阪はホームでJ1リーグ初勝利を目指して柏レイソル戦に臨む。だが立ち上がり、早い時間帯に2点のビハインドを追いかける苦しい展開に。それでも徐々に左サイドの崩しから攻撃にリズムを見出すと、21分にFWファン・ウィジョがゴールを決めて1点差ににじり寄る。後半も攻勢に試合を運ぶ中で再びFWファンが決め、さらに逆転を目指したものの、それ以上のゴールは生まれず、2-2の引き分けに終わった。試合後のガンバ大阪監督・選手のコメントをお届けする。

●レヴィー・クルピ監督

4ゴールが生まれる、非常に見応えのある、そしてエキサイティングな試合になったと思います。最後まで3点目を取りにいく戦い方を選手たちはしましたし、実際に3点目が決まってもおかしくないチャンスもありました。ただ、この結果は妥当な結果であるとも思います。まだガンバ大阪としてバランスがとれていないという課題もありましたし、その責任はすべて私にあります。まだ少し時間がかかるかもしれませんが、今よりもっといいサッカーをガンバ大阪は必ずお見せできると思います。

ー今野選手が復帰して、監督が気にされていた中盤のバランスはどんな風に受け止めましたか。また今野選手は随所にいいプレーもありましたが、失点に絡んだプレーもありました。評価を聞かせてください。

今野選手は非常に長い間、公式戦から遠ざかっていて、今日が初めての90分のプレーだったと考えれば、本来のプレーが出せなかったとしても当然だと思います。最初の試合で本来の姿をすべて出すというのは難しいと思います。3試合あるいは5試合重ねれば、彼の本来の姿は出てくると思います。ただ彼の復帰によってもう一人のボランチをどうするのかというところは課題になってくると思います。中盤の構成いうのは今後も修正すべき点として考えていきたいと思っています。

ー前半から左サイドで押し込む形が多くて、後半も初瀬選手と井出選手を入れたのもより左で攻撃的にという狙いがあったと思いますが、逆に守備では押し込まれるシーンも増えました。その交代の意図と評価を教えてください。

二人とも後半途中から入りましたが、非常によくやってくれたと思います。本来のポジションではない井出遥也も、左サイドでプレーしましたが、さらに左サイドから攻めるという意味では攻撃において、後半二人は求められる役割を果たしてくれたということは言えると思います。

●MF遠藤保仁

脆さも出ましたし、今年やろうとしていたところも出た試合だったと思います。それが失点と得点につながったという試合だったと思います。(今年やろうとしたところという意味では点を取ったシーンを含めた攻撃面ですか?)そうですね。ペナルティエリア内に入ってゴールっていう形を増やしていきたいと思っていましたし2点ともそういう形だったと思うので。前半は左サイドからの崩しも良かったし、後半は全体的に相手のエリアでより多くのプレーができたので、それを続けていきたいです。

●DF初瀬亮

前を向けましたし、追いつけたのは良かったです。(左サイドで作ること多かったと思いますが)そこまで回って来なかったですが、来た時にはしっかり崩せましたし、負けなかったのが一番ベストだと思うので。でも最初の失点はもったいなかったと思います。(監督から送り出されるときは左サイドで作れという指示があったと聞きました)そうですね。遥也くん(井出遥也)と、というのは言われましたし、本当に追いつけたのはよかったし、あわよくば逆転できたシーンもあったと思うので、攻撃の面では良かったと思いますし。またチャンスがあれば頑張りたいなと思います。(久しぶりのサイドバックでした)はい。練習ではやっているので…でも何回かチャンスありましたし、そこでものにできればよかったですが、30分あったし…でも本当に引き分けたのはベストだし、それを勝ちにできれば良かったなと思います。(守備については?)乳酸地獄でしたね。でも攻撃にいけたのはよかったと思うし、あれで引き分けにできたと思うので、あれを最初からやれればもう少しいけたと思うし、でも積み重ねは大事だなと思いました。(少しガンバから離れますが代表ではどんなプレーを?)以前は熱で辞退してしまったのでアピールもできなかったし、海外組も来ますしメンツ的にも結構本気モードだと思うので。中1日で3試合するのでどこかでチャンスはあると思うし、切り替えて、ガンバのことは忘れて代表のことに集中したいし、またガンバに戻ってこればこっちのことを考えてやればいいと思うので、とりあえず切り替えてやっていきたいです。

●FWファン・ウィジョ

(2点とも素晴らしいゴールでした)ポジションはサイドなんですが、今日は常に真ん中にいくことを心がけていて、そこでゴールに絡むような動きができて、それが結果に繋がって良かったです。(ルヴァンカップでも外から中に入ってくるシーンが多かった。そこで手応えを掴めていたところもありましたか?)極力、真ん中の駿、やっとさん、敬斗とかに絡んで、繋がるようにしていたんですけど、そこはもっとコンビネーションをうまくできればもっとゴールがたくさん生まれると思います。(立ち上がりの失点は残念でしたが、2点のビハインドを追いつけたところはプラスに考えられるところですか?)立ち上がりでいい入り方ができずに難しい試合状況だったんですが、追いつけたのはいいことだし、逆転のチャンスはたくさんあったのでそこを逆転できずに悔しいです。

●MF井出遥也

負けている状況でしたし、自分と亮(初瀬亮)のところで、左で崩してくれっていう監督からの話もあったので、チャンスもらって、自分としては結果につながれば、という強い思いで入った。最後の精度は課題ですけど、そういうところは少しみせられたのかなとは思います。(左から中に切れ込んでシュートを打ったり、周りを使ったり、うまく生かすところと活かされるところを判断しながらプレーしていました)そうですね。最後の質のところは…あの中に切れ込んだシュートだったり、そのまえに駿くん(長沢駿)が外しちゃったシーン…のウィジョへのパスだったり、質の部分を個人としてクルピ監督から求められているので、その質をもっと上げられるように努力したいと思います。(その個人の質を落とし込んで攻撃を作るのがクルピのサッカーですが、お互いの個性を知った上でのコンビネーションは少しずつ充実して来たなという手応えはありますか?)そうですね。今日の試合は今までで一番距離感も良かったと思います。バランスの部分も今さん(今野泰幸)が戻って立ち位置だったり、バランスが…入って見て、いい距離感でやれているっていうのは前半もそうだったし、後半入ってもそれを感じました。あとは、あそこまで押し込んだ中で最後をどう仕留めるかっていうところだけだと思いますが、チャンスもありましたし、個人としてはその数をチームのために増やせるように、かつ、ラストパスや仕掛けるところでチームに影響を与えられたらなと思います。(相手もかなり引いて真ん中も密集していた。そこを崩すのは大変だと思いますがどういうアイデアがもっと増えればいいなと?)そうですね。結構サイドを崩してクロスっていうのは言われていましたし、あそこまで引かれると、個人としては剥がしてシュートを打つっていうのが絶対に必要だと思うので、そういうところは僕だったり仁くん(泉澤仁)だったり、アデ(アデミウソン)だったり秋くん(倉田秋)だったり違いを出せる選手はたくさんいるので、そこで違いを作ることがああいうシーンでは有効かなと思います。後ろは今さんや、やっとさん(遠藤保仁)だったり、預けてリズムを作ってくれる選手がいるので、最後前の選手がどう仕留められるかが課題と思うので、そこはもう少し練習の中からコンビネーションを高めていきたいし、今日も崩すシーンはたくさんありましたが、その数をより増やしていければと思います。

●DF三浦弦太

(2失点はDFラインの問題ではなく前からの守備がはまっていない中で縦パスを入れられてしまった)そうですね…コンパクトにっていう意識はありましたけど、もっとコンパクトにしなければいけなかったし、中盤が結構吸収されちゃって3ラインのバランスというのはもう少しやった上で相手の楔だったりに、しっかり強くいってワンツーについていくとか、そういうところをもっとやらなくちゃいけなかったのかなとは思います。(お互いの距離感もよくなってきたように見受けられました)そうですね。攻撃も守備もそこは良くなってきたし、後半はだいぶガンバのいい時のサッカーだったり、しっかりセカンドを拾ってっていうのもできていたので、あれを1試合通してっていうことをしっかりできたらいいなって思います。

●MF今野泰幸

最初は堅かったし、すぐに失点してしまってどうなることかと思ったけど…っていう感じでした。個人的にはまだまだパフォーマンスをあげなければいけないと思っているし、もっと上がると思いますが、ただ90分できたのは良かったです。(2失点の失い方が悪かったですが、そこから盛り返せたという意味では手応えとして感じられるものもありましたか?)追いつけたのは良かったと思いますが、やっぱりホームで先に2失点を失ってしまうとかなり苦しい試合になってしまうので、そこは反省しなくちゃいけないし、僕も失点に絡んでしまっているので、まだまだだと思っています。(ピッチに入った中でのチームの物足りなさはどんなところに感じましたか?)相手がイキのいい前半の時間帯はパス回しもうまかったし、3人目の動きもうまくて…ただ、どうにかして対応しなくちゃいけないし、もっとどんどんボールにプレッシャーをかけなくちゃいけないし、相手に自由にやらせすぎたなっていうのはあるので、立ち上がりから90分を通してしっかり組織を作ってボールにチャレンジできればよかったなっていうのは思いました。(ボールにチャレンジしきれなかったのは外から見ていても感じていたところもありましたか?)そうですね。攻撃の面でもうまくいっていないなっていう風にみえていたし、守備の面でもなかなかとりどころがないというか、ボールがいい形で奪えないなっていうのは感じていました。でも今日も前半は特にそういう状態になってしまったので…そこは少し残念でしたが、後半は攻撃面でも少し押し込めたし、それでしっかり押し上げてセカンドボールも拾えながら畳み掛けられたので、それが結果的に追いつけた要因だったと思います。

●MF泉澤仁

自分がいい位置に入って、やっとさん(遠藤保仁)とハルくん(藤春廣輝)とでうまく三角形を作っていけば崩せるというシーンが多かったので。ただもっともっと技術をしっかりしていかないとダメだなって思いました。(そこはうまく機能している手応えもある?)得点のシーンとかはハルくんがやっとさんを使って僕を3人目に生かそうとしてくれていたので、そういう面は良かったのかなと思います。(攻撃を作っていく中でのお互いの距離感も近くなってきたように見えました)そうですね。でも、センターバックからのビルドアップの時ははまってしまう時が多いので、そこは課題です。その時の距離感が今はまだ良くないのでそこを修正できればもっと攻撃的にできるのかなとは思います。(これまでのような攻撃の手詰まり感は少し解消されてきた。お互いの自由度をコンビネーションの中でいかすということはできて来たなという手応えはある?)前線の選手の特徴はしっかりと理解して、今さん(今野泰幸)とかやっとさんがうまく動かしてくれているので、前の選手は使ってもらってもっと生き生きプレーできれば得点チャンスも増えていくのかなって思います。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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