Yahoo!ニュース

<ガンバ大阪>ホームでの開幕戦は黒星スタート。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

J1リーグ開幕戦。名古屋グランパスをホームで迎えたガンバ大阪は、13分に遠藤保仁の『開幕ゴール』で先制点を奪う。J1リーグでは11年ぶりとなるチームキャプテンのゴールにスタジアムは湧き上がるが、その後26分に同点弾を許し、1ー1で前半を折り返す。後半は51分にセットプレーのこぼれ球を押し込まれ、名古屋に逆転を許すが、79分には右サイドのDFオ・ジェソクのクロスにFW長沢駿が頭であわせ再び同点。最終的には84分に名古屋のFWジョーに得点を許し逆転負けを喫したものの、レヴィー・クルピ監督のもと『新生ガンバ』としての片鱗をのぞかせて試合を終えた。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●レヴィー・クルピ監督

今日の試合の内容についてお話しすると、難しい試合になるのではないかと、いうことは予想していた部分もありました。それはまだバランスのところ、とくに中盤のバランスをいかにとっていくかというところを模索している段階でもあるので、厳しい試合になるのではないかという風には思っていました。そういった中でも選手たちは我々が目指す勝利という結果のために全力を尽くして戦い抜いてくれたと思います。ただし、まだまだチームとして成長していかなければいけないということを感じた試合でした。

ーこのあいだの練習試合から比較するとかなり改善したと思いますが、監督が今日の試合を見て良かった部分、課題だと感じた部分を教えてください。

まず良くなったところは、2つのゴールにつなげるということができたこと。それ以外にもチャンスを何度も作っていたこと。これは良くなった部分だと思います。しかしながら改善点としては攻守のバランスということになります。攻撃陣、そして最終ライン、そしてその間をつなぐ中盤のバランスを修正していかなければいけないと思っています。

ー福田選手を先発起用しましたがこの決断は監督にとって難しいものだったのでしょうか。

彼を先発に起用するということは監督の仕事として決断するということですが、それはあまり難しい決断ではありませんでした。ただ昨年のメンバーと比較すると今日は今野選手や井手口選手が試合に出れていない。そういう中で市丸、あるいは福田湧矢、さらに途中から入った矢島慎也と3人とも非常に若い選手です。Jリーグが初めての選手もいれば経験の少ない若い選手であることを考えれば、彼らに対する評価をすぐに下すのはまだまだ早いと思います。彼らへの評価も含めてチーム作りというのは我慢強く、していかなければいけないと思っています。

●MF遠藤保仁

(先制ゴールも含めゴール前にいる時間が長くて、必然的にゴールに絡む回数も多かった。攻撃に関する手応えは?)守備に関しての役割事があまりないので、時には攻め残ったりしますし、サイドから崩せるような場面で思い切ってゴール前に飛び込んでいけているので、これは引き続きやっていきたい。あとはど真ん中を、ワンツーだったりスルーパスだったりっていうものを少しずつ増やしていければよりシュート数も増えるでしょうし、ゴールも増えて行くと思うのであのポジションに入ればゴールを目指してアグレッシブにやっていきたい。(ボランチも市丸選手あたりは遠藤選手の動きをみて、積極的に攻撃に絡む姿勢もみせていました)ボランチ二人には常に自分自身のポジションを確認しておいて、っていうことは伝えていたし、できる限り自分がいい位置をとればいいなと考えていました。マルもパスに特徴がある選手なので、できる限り彼を引き出すために僕がいいポジショニングをもっととれるようになっていけば、よりいい攻撃ができるかなというのはあります。(一方で守備のところではボランチの二人に若さが出たところもありましたが?)彼らは…マルにしてもリーグ戦2試合目だし、湧矢にいたってはプロになって初めての公式戦ですからね。その中で思いっきり、堂々とやっていたと思うし、経験という部分ではまだまだですけど、それはあとからついてくるものなので。今日は二人ともいい仕事をしていたと思うし、今後少しずついろんな面であげていければ、十分プロとしてやっていける選手だと思うので。今日に関しては全く問題なかったし、自信を持ってもいい試合になったはず。今後も全員がカバーしあって失点を減らしていきながら毎試合、複数得点を奪えるようにしたい。(次に向けての修正点については?)3失点しているのでそれは減らしていきたいし、やっぱり勝たないと気持ちよくないので、勝ちたいと思います。ただ、いい部分はたくさん出たと思うので、それを最低限毎試合出せるようにしていければ、もっと変化していくんじゃないかと思います。レヴィーになってまだ1ヶ月。いろんな動きの質に関してはあげていけると思うので、それをより改善していければもっともっとチャンスを作れると思うし、常に可能性がある攻撃の雰囲気を漂わせるためにも毎試合ゴールを奪うのも大事だし、より精度をあげてやっていきたいです。

●MF福田湧矢

ミスは少なくやれたと思いますが、決定的なパスを出す場面が少なかったのが反省です。(緊張は?)昨日の夜はすごく緊張したんですけどみんなに声をかけてもらって試合では緊張しませんでした。(監督にはどんなことを言われていましたか?)バランスのことは言われましたけど、それ以外はあまり言われていません。(はっきり先発を告げられたのは?)昨日の夜のミーティングです。正直、ミスが多くなるかなというのはあったけど、意外といけました。組み立てのところではサイドチェンジもできましたし、やっとさんのシュートでチャンスにつながったところもあった。(遠藤選手から声をかけられたことは?)思い切ってプレーしろ、ミスは気にしなくていいからと言われていました。(1失点目に絡んでしまったことについて)ファウルをしようかどうかというところで思い切り潰しても良かったかもしれない。(意外と落ち着いてたね?)落ち着いたプレーが持ち味なので。これからもっと少しずつボランチのプレーをものにしていきたい。

●DF三浦弦太

結果が伴わなかったのは残念ですけど、下を向くような内容ではなかったし、去年とかこのあいだの徳島に比べたら良くなってきていると思うのでそこはポジティブに捉えてやっていけたらいいかなと思う。(前半は特に裏へのボールも積極的に狙っていた)そうですね。全部が全部ではないですけど、自分の持ち味だし、相手のDFラインもそこは警戒していなかったので、そういう意識ではありました。(相手のジョー選手と1:1でやりあうところもありました。どんなことを感じましたか?)やっぱり強い選手だし、実際に点も取られているし、そういうところでの悔しさもありますが、ああいうマッチアップは自分にとってすごく楽しいので、次にまたアウェイでやるときは、やらせることなく、しっかり潰したい、対応できたらいいなと思う。(ゲームキャプテンとして迎えた試合。コイントスから始まっていつもの自分ではない流れから試合を迎えた中での、いつもとは違う高揚感はあったのかな?)そうですね。どんな感じでやっとさんはいつもしていたかな…みたいな感じですけど(笑)、より一層、責任感は芽生えましたしもっともっとチームのためにプレーできたらいいかなと思います。(3失点したということの守備の課題は?)1失点目は少し崩された形になりましたが、相手にボールを持たれてもしっかりブロックを作っていればそこまで危ないシーンは作られなかったし、2失点目3失点目も失い方が悪かったり、ちょっとセットプレーのところで事故的なところもあったのでそんなに気にしすぎることなく…もちろん、3失点はDFからすると不甲斐ないですが、初戦ですし、そこまで気にしすぎることなく次を迎えられたらいいかなっていうのは思います。

●MF市丸瑞希

楽しんでプレーできましたけど、負けて結果が出なかったことは残念です。(福田選手のことも意識しながら自分の良さを出そうという意識が見えた)でも湧矢自身もしっかりバランスをとっていたし、自分もバランスをとりながらできていたのでよかったのかなとは思います。(自分の良さである縦へのボールも効果的に通すことができた。そのへんは手応えを感じられた部分かな?)そうですね。ああいうボールはずっとウィジョと練習中から話していたので、得点にはならなかったけど、いいチャンスになったのは良かったです。(徳島戦から比べるとボールタッチ数が少なくなってシンプルにプレーしているように見えた)そうですね。徳島の時は少しボール離れが遅くて、周りがみえてなかったしそういうところを修正していく1週間だったので、今日はテンポというところは意識しながらやっていました。(前半は背後を狙うボールが多かったのは意図的にやっていたのでしょうか?)ウィジョはスピードもあるし、ああいう抜け出しもうまいので、自分のタイミングさえ良ければうまく通るからどんどん出していきたいと思っていました。ただ、もっと決定的なパスを出せれば理想ですね。(後半途中から実際に警戒され出してきた。そのへんはどう打開していこうと思っていましたか?)裏を消された時にもう少しバイタルに縦パスをいれられたらよかったんですけどそういうアイデアが少なかったし、選択肢もなかった。もうちょっと…もらうときの準備などを良くしていきたい。(監督は攻守のバランスのところは課題と言っていました。攻撃から守備への切り替えはそう悪くはなかったのかなと思いますが)そうですね。攻から守の切り替えのところは良かったんですけど、3失点目は入れ替わってしまい失点につながったし、あのへんは修正していかないと…ファウルでもいいから止めにいくとか、特に名古屋はFWにジョーという決定的な仕事ができる選手がいるからそのへんはもっと突き詰めていきたいです。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

高村美砂の最近の記事