Yahoo!ニュース

2023年 天皇賞(秋)が11頭立ての見込みに その経緯と背景 #専門家のまとめ

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
2022年天皇賞(秋)、優勝馬イクイノックスの表彰式の様子(撮影:青山一俊)

 29日に東京競馬場で第168回天皇賞(秋)が行われる。このレースに登録していた馬は13頭だったが、24日に有力馬の1頭だったスターズオンアースが回避を表明した。アサマノイタズラも回避予定のため、25日午前現在の情報では11頭が出走予定だ。

 明らかに抜けて強い馬が出走するレースは出走馬の数が集まらないことはよくある。今年の天皇賞(秋)は昨年の覇者であるイクイノックスが出走する影響が大きい。世界の主要レースでの成績を対象としたレーティング「ロンジンワールドベストレースホースランキング」で1位をキープしているし、ここまでの調整過程も順調だ。2006年、ディープインパクトが4歳秋にジャパンカップに出走したときの出走頭数は11頭だった。逆にディープが海外遠征で不在だった天皇賞(秋)は16頭が出走しており、やはり少しでも勝ち目がありそうなレース選びをするのは当然だろう。

 そして、2023年天皇賞(秋)の1着賞金は前年より2000万円増額された2億2000万円だが、ジャパンカップと有馬記念が1億円増額され5億円になったのに比べると控え目な印象は否めない影響もあるだろう。第2着から第5着に本賞金、6着から10着には出走奨励金が交付される。10着以内に入れば賞金や奨励金は交付されるが、この金額は1着賞金に比例して決まるため、当然1着賞金が多いほうが得るものが多い。

2023年の天皇賞(秋)、ジャパンカップと有馬記念の本賞金および出走奨励金の比較(筆者作成)
2023年の天皇賞(秋)、ジャパンカップと有馬記念の本賞金および出走奨励金の比較(筆者作成)

▼2023年天皇賞(秋)は2頭回避で11頭出走の見込み

▼24日、昨年の牝馬二冠のスターズオンアースが天皇賞(秋)回避を表明

▼2022年の天皇賞(秋)の様子。3歳馬のイクイノックスは古馬を一蹴

2022年 天皇賞(秋)(GⅠ) | イクイノックス | JRA公式 (Youtube)

 また、昨年の上位馬では、5着だったシャフリヤールがアメリカのブリーダーズカップへの遠征を選んでいる。12月の香港国際競走を大目標に掲げる陣営もいるし、有力馬にとって選択肢が増えているため、どこに重きをおくかで手薄になるGIが出てくる可能性は否めない。とはいえ、伝統あるGIレースに参加馬が少なくなるのは寂しい気持ちになる。

 なお、上記に示したとおり、10着より少しでも上位に入れば着賞金が入る。11頭立てならドン尻以外は賞金、または出走奨励金が貰える。広い東京コースに11頭ならかなり広々とした競馬ができるし、なんとか1頭でも負かそうと頑張る姿が見れるだろう。あえて1着争いを意識せず、少しでも上位の着を拾いにくる馬はどれか。といった観点での考察は紐選びのいい材料になるはずだ。

■関連記事

2023年 天皇賞(秋) 有力馬調教情報 武豊騎手「筋肉がすごい」#専門家のまとめ

2023年天皇賞(秋)は令和初の天覧競馬 #専門家のまとめ

※最後までお読みいただきありがとうございます。筆者のプロフィールからフォローしていただくと最新記事をお知らせできます。ぜひ、フォローをお願いします! 

ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

花岡貴子の最近の記事