秋華賞 無敗の牝馬三冠を達成したデアリングタクトの底力と父エピファネイアの血

デアリングタクトの父エピファネイア(筆者撮影)

無敗の牝馬三冠はJRA史上初

 第25回秋華賞(GI)は無敗で挑んだデアリングタクトが見事、春の桜花賞(GI)、オークス(GI)に続く牝馬三冠を達成した。牝馬三冠はJRA史上6頭目だが、無敗による達成は初めてである。

 ※秋華賞は1996年に新設されたGI。それ以前の1976年から1995年まではエリザベス女王杯が現3歳世代の牝馬三冠の最終関門の役目を果たしていた。

 秋華賞でのデアリングタクトの馬体重はプラス14キロ。パドックでは発汗しておりテンションの高さが見受けられたが、レースでは道中は折り合ってジッと脚をため、勝負どころからキッチリ脚を伸ばし"完勝"と言えるレース運びだった。

■2020年秋華賞(GI) 優勝馬デアリングタクト

 主戦の松山弘平騎手も相当なプレッシャーがあっただろうが、その手綱捌きからは浮ついたところは感じさせず、むしろ冷静さが垣間見えた。

「少しゲートでうるさいところはみせていたんですが、ゲート自体は上手に出てくれましたし、ポジションも思っていたようなポジションで折り合いもつきましたし。うまく流れに乗れていい競馬ができたと思います。

 (直線に向いたときに外に出したのは)力のある馬なので、最後はいいところを走らせようと思いました。

 強い馬もたくさんいたと思うんですけど、自分の馬がいちばん強いと信じて挑みました。今日は本当に凄い力を発揮してくれたと思います。

 (三冠を達成し)ホッとした気持ちと、ここまで任せてくださった関係者の皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。」(松山弘平騎手/JRA共同インタビューより)

■2020年秋華賞優勝 松山弘平騎手インタビュー(フジテレビ みんなのKEIBA)

 4番人気のマルターズディオサが逃げ、5番人気のウインマリリン、6番人気ミヤマザクラ、2番人気のリアアメリアらが続く展開。だいぶ乾いたとはいえ、稍重の馬場を前半1000メートルを59秒4で通過して引っ張る中、デアリングタクトはじっくりと中団後方で脚をためることができた。

 そして、この日の芝コースは内から3頭分くらいの状態が悪かったが、デアリングタクトはその場所を避けて、外側の馬場状態のいいところをグイグイと伸びてきた。まだ粗削りな印象はあったが、実に堂々とした王者らしいレースであった。

★2020年桜花賞のみどころ

父エピファネイアを彷彿させたタフな瞬発力

 また、デアリングタクトはエピファネイアの初年度産駒である。エピファネイアが種牡馬になり、最初からこのような偉大な結果を出せたのは実に嬉しく思う。

 エピファネイアは2013年の菊花賞を不良馬場を克服し、翌2014年のジャパンカップでは後続に4馬身差をつけて圧勝している。ただ、相当なポテンシャルの高さはあれど、メンタル面の繊細さから勝ちきれなかったレースもあった。

 娘のデアリングタクトの秋華賞のパドックは、若干父のエピファネイアを感じさせるイレ込みがみられた。しかし、レースでは引き続き安定感のある走りをみせてくれたし、父からの贈りものであろうタフな爆発力もしっかり披露した。今後、さらにどのように父の血が開いてくるのか、注目していきたい。

■2014年ジャパンカップ 優勝馬エピファネイア

 デアリングタクトは今後は古馬たちと対決していくことになる。近年、強い牝馬が3歳秋から強豪相手に優勝するシーンが度々見られている。アーモンドアイは3歳で牝馬三冠を達成したあと、ジャパンカップへ駒を進めて見事優勝した。海外では先日引退を表明したエネイブルが3歳時に最初の凱旋門賞制覇を果たしている。デアリングタクトが今後、古馬や牡馬を相手にどれだけ無敗を続けられるのか!?期待は高まるばかりである。

■2018年ジャパンカップ 優勝馬アーモンドアイ

★女子高生が年上男たちをなぎ倒す!三冠牝馬アーモンドアイが驚異的レコードでジャパンカップを制覇