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米空軍長官「F16戦闘機はウクライナ戦争のゲームチェンジャーにならない」

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
米空軍のF16戦闘機(写真:ロイター/アフロ)

フランク・ケンドール米空軍長官は22日、ウクライナのパイロットが訓練を受けてF16戦闘機の飛行を開始すれば、同国がロシア軍との戦闘で勢いを増すことにはなるが、戦況に劇的な変化をもたらすゲームチェンジャーにはならないと述べた。米ディフェンス・ニュースなどが報じた。

同長官は防衛担当記者たちとの会合で、「(F16は)ウクライナ人に、彼らが今持っていない能力の向上をもたらす」と指摘、「しかし、私の知る限り、それは彼らの総合的な軍事力にとって劇的な変化にはならない」と述べた。

さらに「F16はウクライナ人を助けるだろうが、戦争における力のバランスを根本的に変えることはないだろう」と述べた。

同長官によると、ロシア、ウクライナ両軍の地上配備型防空システムが効果を上げていることから、空軍力がウクライナ戦争では決定的な役割を果たしておらず、その結果、戦闘機はかなり限られた方法で使用されてきたと述べた。

しかし、高機動砲ロケットシステム(HIMARS)や対戦車ミサイル「ジャベリン」など他のウクライナへの武器パッケージは、ロシア軍の当初の侵攻を阻止したほか、戦争初期の数カ月間にロシアが獲得したウクライナ領土の大部分からロシア軍を追い出すのに「信じられないほど役立った」と同長官は指摘した。

同長官は、西側諸国が将来のウクライナ空軍の基盤作りに焦点を移す前に、戦場で最も効果を発揮するそれらの兵器をウクライナに供与することを優先してきたと述べた。

同長官は、F16などの戦闘機の供与は「一部では我々の側のエスカレーション行為とみなされている」とも述べた。ロシアやロシア寄りの立場をとる中国などを念頭に置いた発言とみられる。 

バイデン大統領は19日、ウクライナの求めに応じ、広島G7サミットでウクライナ軍パイロットに対するF16の訓練支援と欧州各国のウクライナへの再輸出を容認すると述べた。

パイロット訓練がいつどこで行われるか、そして、ウクライナが西側戦闘機をいつ受け入れられるかについては協議が続いているという。同長官は訓練には数カ月かかる可能性があるが、ウクライナ人にとってその操縦技術の習得が問題になるとは予想していないと述べた。

F16は、ウクライナが使用している旧ソ連製戦闘機をぐっとアップグレードさせるものとなる。ゼレンスキー大統領も19日、この知らせを歓迎し、「これにより、我々の空軍が大幅に強化されるだろう」とツイートした。

ゼレンスキー大統領はかねて西側諸国に第4世代戦闘機のF16を含め、戦闘機供与を懇願してきたが、米国はこれまではこうした要請を繰り返し拒否してきた経緯がある。2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、米国はウクライナに370億ドル(5兆1200億円)規模の支援を行っている。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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