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中国、新型の極超音速ジェットエンジンの飛行試験に成功と発表

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
中国が自主開発し、飛行実証試験に成功したと発表した新型エンジン(CCTV)

中国は、将来の極超音速飛行機への応用が可能となる新たなジェットエンジンの飛行試験に成功したと発表した。

中国国営テレビのCCTVは24日、この飛行試験に関するコンピューターで作った映像を放映した。それによると、この新型エンジンは極超音速飛行を実現するスクラムジェットエンジンとみられる。スクラムジェットエンジンとは、超音速の空気流中での燃焼を利用したエンジンのことだ。

CCTVの映像では、この新型エンジンは2段式ロケットブースターを必要とする。1段目ブースターが切り離された後、2段目ブースターに点火された。そして、あらかじめ設定された高度に到達すると、空気吸入式のスクラムジェットエンジンは点火され、推進力を得てさらに加速した。スクラムジェットの排気は、後部に設置された後ろ向きのベント4つを通じて出された。

CCTVは、点火システムも燃焼室も予定通りに作動し、エンジンは起動後に一定推力を生み出すことができたと強調、飛行試験は成功したと報じた。

中国共産党系環球時報の英文版グローバルタイムズは24日、このエンジンが北京市にある清華大学宇宙航空学院の噴霧燃焼と推進実験室によって開発されたと報じた

中国の航空専門家はグローバルタイムズの取材に対し、24日の実験はエンジンの極超音速飛行に関するものであると明言した。

グローバルタイムズは、「スクラムジェットエンジンは極超音速飛行を達成するための1つの重要な技術になる」との中国人専門家たちの見方を報じている。

なお、日本の防衛省も、極超音速誘導弾の開発のため、マッハ5以上の極超音速を実現するスクラムジェットエンジンの研究開発を進めており、2022年度中には試作が完成する予定になっている。

極超音速で巡航が可能なスクラムジェットエンジンの構成要素技術について、日本の防衛省も早期装備化に向けて研究を推進中だ(我が国の防衛と予算「令和3年度予算の概要」より)
極超音速で巡航が可能なスクラムジェットエンジンの構成要素技術について、日本の防衛省も早期装備化に向けて研究を推進中だ(我が国の防衛と予算「令和3年度予算の概要」より)

米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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