リチウムイオン電池搭載の海上自衛隊の最新鋭潜水艦が進水。韓国も同種の潜水艦を開発中

11月6日に進水したそうりゅう型12番艦「とうりゅう」(海上幕僚監部提供)

海上自衛隊の最新鋭潜水艦の命名・進水式が11月6日、川崎重工業神戸造船所で行われた。同造船所での潜水艦の進水式は2017年11月の「しょうりゅう」以来で戦後29隻目。「とうりゅう」と名付けられた。

とうりゅうは日本の主力潜水艦「そうりゅう型」の最終艦の12番艦となる。全長84メートル、幅9.1メートル、基準排水量2950トンで、水中速力は約20ノット。建造費は約690億円。乗員は約65人。

そうりゅう型は世界最大のディーゼル潜水艦で、長時間潜航可能な非大気依存推進(AIP)機関を海上自衛隊としては初めて搭載する。AIPにはいくつかの方式があるが、そうりゅう型10番艦の「しょうりゅう」までは水中の航続時間を延ばすためのスターリングエンジンを搭載している。これはケロシン(灯油)と液体酸素の燃焼で動力を得るもので、ガソリンエンジンのように爆発を伴わないため、静粛性にも優れている。主機関に川崎12V25/25SB型ディーゼル機関2基を採用している。

とうりゅうは今後、内装工事や性能試験を実施し、2021年3月に海上自衛隊に引き渡される。海上幕僚監部は「配備先は未定」と説明する。

●世界に先駆けた日本の最新技術の結晶

筆者が東京特派員を務めるジェーンズ・ディフェンス・ウィークリーでは、とうりゅうが、GSユアサが開発したリチウムイオン蓄電池を使用している点に注目している。リチウムイオン蓄電池搭載の通常動力型潜水艦はそうりゅう型11番艦のおうりゅう(2020年3月に就役予定)に続き、とうりゅうが2番艦となる。そうりゅう型ではあるが、おうりゅうととうりゅうは、前述のスターリングエンジンの代わりにリチウムイオン蓄電池を搭載している。

11月6日に進水したそうりゅう型12番艦「とうりゅう」(海上幕僚監部提供)
11月6日に進水したそうりゅう型12番艦「とうりゅう」(海上幕僚監部提供)

リチウムイオン電池技術を採用し、ディーゼルエンジンを使う通常動力型潜水艦は、実は日本が世界で初めてだ。この点でも、おうりゅうととうりゅうは日本の最新技術の結晶と言える。リチウムイオン電池の蓄電量は鉛酸電池の2倍以上といわれ、水中航行能力が高くなり、潜航時間も大幅に延ばすことができる。リチウムイオン電池は旭化成名誉フェローの吉野彰さん(71)のノーベル化学賞受賞で注目を浴びたが、スマホや自動車、宇宙開発のみならず、潜水艦にまで幅広く使用されているのだ。

とうりゅうはそうりゅう型のトリを飾る最終艦だが、今後は探知能力などが向上した新型潜水艦(3000トン型)がそうりゅう型の後継艦となる。三菱重工業神戸造船所で、その1番艦がすでに建造中だ。日本の潜水艦は三菱重工業神戸造船所と川崎重工業神戸造船所が隔年で交互に建造している。

海上自衛隊は現在、そうりゅう型10隻のほか、おやしお型11隻を保有している。ただし、おやしお型のネームシップ1番鑑の「おやしお」と2番艦の「みちしお」はすでに練習潜水艦として運用されている。新たな3000トン型潜水艦の1番艦は2022年3月に就役する予定で、これをもって防衛省・海上自衛隊は2018年12月の防衛大綱でも定められた潜水艦22隻体制(=そうりゅう型12隻+おやしお型9隻+新型3000トン型1隻)を確立する方針だ。

●韓国もリチウムイオン電池搭載の潜水艦を開発中

今のところ、日本のみがリチウムイオン電池搭載の通常動力型潜水艦を運用しているが、日本に次ぐ国は韓国になるとみられる。韓国ハンファグループの軍事兵器生産企業、ハンファディフェンスは潜水艦用リチウムイオン電池を開発しており、韓国海軍の島山安昌浩級潜水艦の発展型のバッチ2にこれを搭載すると発表している。

さらに、韓国の造船会社、大宇造船海洋(DSME)も10月下旬に釜山で開かれた「国際海洋防衛産業展(MADEX 2019)」で、DSME2000と呼ばれる韓国の次世代潜水艦(2000トン型)にリチウムイオン電池を採用することを発表した。この次世代潜水艦は、日本のそうりゅう型よりも一回り小さく、全長70.3メートル、幅6.3メートル。そうりゅう型と同様、ディーゼル潜水艦でAIP機関を搭載する。水中速力は20ノット、水上速力は10ノットに達する、と大宇造船海洋は発表している。

11月6日に進水したそうりゅう型12番艦「とうりゅう」(川崎重工業提供)
11月6日に進水したそうりゅう型12番艦「とうりゅう」(川崎重工業提供)