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ホークス新人・廣瀬隆太は“タカの浅村・牧”になれるのか。小久保監督は「非凡」と認める

田尻耕太郎スポーツライター
実戦デビューしたセガサミー戦

 福岡ソフトバンクホークスのドラフト3位ルーキー、廣瀬隆太内野手(慶應義塾大学)が存在感を示している。

プロ初実戦で本塁打デビュー

 17日、チームの今キャンプ初対外試合となったB組の社会人・セガサミー戦(生目第二)との練習試合に「3番三塁」で先発出場。すると4-9で迎えた8回裏2アウト一、三塁での第5打席、フルカウントからの内角高め直球を見事打ち返し、技ありの左越え3ランを放った。日刊スポーツによれば“12球団ルーキーの対外試合1号”とのこと。新人の入団会見で「3年目までにホームラン王」と口にした大器が最高の滑り出しを見せた。

 この試合は4打数2安打3打点。アウトになった打席の内容もよかった。第1打席と第3打席は初球から積極的にバットを出し、引っ張った強烈なファウルを打った。

「しっかり振るのは持ち味ですし、実戦は昨年秋の明治神宮大会以来と遠のいていたので、まずは振ってタイミングを合わせるのが大切だと思ったのでどんどん振っていこうと思っていました」

 こともなげに廣瀬は振り返ったが、プロ1年目でここまでしっかりバットを振れる選手はなかなかいない。松山秀明2軍監督も「最初からなかなかホームランは打てない。なんか練習で見ているよりも、試合の方が頼りになると感じました」と実戦向きであることを評価した。

 この活躍が認められ、18日にはA組の紅白戦に参加。途中出場して巡ってきた唯一の打席では昨季開幕投手を務めた大関友久と対戦し、カウント1-2からの変化球に空振り三振を喫した。それでも小久保裕紀監督は「あんまり甘い球がなかったね」と結果は気にしない様子。むしろ、キャンプを過ごす中で廣瀬を「非凡」と評するほど、徐々に評価を高めている。

小久保監督が「非凡」と評するワケ

小久保監督がスタンドから見つめる中で行われた紅白戦にも出場
小久保監督がスタンドから見つめる中で行われた紅白戦にも出場

 まず小久保監督の目に留まったのは15日、B組のシート打撃でスチュワートJr.投手が調整登板を行った際の廣瀬の対応力だった。アマレベルではおそらく見た事もないキレの良い球を最初は空振りした。

「だけど、2球目はレフトへファウルにしたんですよ。これが活躍しそうな雰囲気を感じさせる。他の打者は4球同じファウルを打ってた。一度差し込まれたら次は前で打つとかね。ずっと一緒じゃダメ。でも廣瀬は2球目で変えていた。やっぱその辺が非凡だなと思った。打ち方は別にしても、パワーはあるし打球が速い」

 そして18日の紅白戦後はこんな話も。

「プロ1年目のキャンプって最初は結構振れてるけど、疲れもあるから途中で落ちていくのは当たり前なんです。でも、そこからもう1回上げてきたという話が(B組首脳陣から)来ていた。大体はそのまま落ちていく」

廣瀬「セカンドができるのは長所」

 貴重な右のスラッガーの廣瀬は強打の二塁手として活躍するのを将来像に描いている。

「僕みたいなタイプでファースト、サードはいる。セカンドができるというのは僕の長所でもあると思うので。プロの世界でどこまで通用するかわからないけれど、希少なポジションを奪いたいという気持ちが強いです」(廣瀬)

 松山2軍監督は「二塁守備は発展途上」とし三塁や一塁の併用も考えているようだが、「胸を張って1軍に送り出せるようにしたい」と守備面の成長も促す構えだ。

昨年末の入団発表で「ホームラン王」を誓った
昨年末の入団発表で「ホームラン王」を誓った

 ホームラン王を獲得するために「50本くらい打ちたい」とも夢を描く。ダイヤモンドを一周する感覚は「あれほど気持ちいいものはない」。慶應義塾大学では東京六大学野球リーグで阪神・岡田監督(早稲田大学)に並ぶ歴代4位の通算20発をマークした。夢見て飛び込んだプロの世界でも豪快アーチを量産していく。

(※写真はすべて筆者撮影)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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