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ソフトバンクは「突破率8%台」の壁をぶち破れるか?CSファーストは今夜決着の第3戦へ

田尻耕太郎スポーツライター
今夜のCSファースト第3戦に先発するソフトバンク・和田毅(筆者撮影)

 ZOZOマリンスタジアムで連日行われているクライマックスシリーズ・パのファーストステージは14日の初戦でシーズン2位・ロッテが先勝。崖っぷちに追い込まれた同3位・ソフトバンクだったが、15日の第2戦は柳田悠岐、近藤健介、中村晃の中軸3人で打点を挙げて、エース格の有原航平の6回1失点から藤井皓哉、松本裕樹、ロベルト・オスナの必勝リレーがばっちり決まって3-1で勝利した。

 これで1勝1敗のタイに。ファーストステージは最大3試合制となっており、ソフトバンクが“下克上”を決めて突破する条件は勝利のみ。ロッテ勝利はもちろん、引き分けでもソフトバンクは2023年シーズンが終了となる。

第2戦に勝った勢いも、しかし……

 第2戦で苦境を跳ね返してみせたソフトバンク。第3戦に勢いを持って臨めるともいえるが、過去のプレーオフ、CS(パ・リーグは2004年~2006年にプレーオフの名称で現行に近い形のポストシーズンを開催)のデータを振り返ると決して楽観視はできない。

 そもそもファーストステージの超短期決戦において、第1戦を敗れてから逆転突破を果たしたケースは昨季までの33例中5例しかない。今季もセ・リーグは15日で2位・広島が3位・DeNAに2連勝して突破を決めており、それも加えれば34例と分母が増えて、突破率は「14.7%」とさらに低くなる。

 その逆転突破を果たした過去のチームが以下のとおり。

2006年・ソフトバンク●○○西武

2009年・中日●○○ヤクルト

2017年・楽天●○○西武

2017年・DeNA●○○阪神

2019年・ソフトバンク●○○楽天

 さらに、ここから条件を付け足す。5例のうちシーズン3位からの下克上となると2006年のソフトバンク、2017年の楽天、2017年のDeNAと3例に絞られる。

 2004年以降(今季セ・リーグも含む34例)のプレーオフ、CSのファーストステージにおいて8.8%しか起きていないレアなケースにソフトバンクは挑むことになるのだ。

過去3例のみも、ソフトバンクが名を連ねる

 ただ、前述のとおりわずか3例の中にソフトバンクは名を連ねている。2006年のプレーオフ第1ステージ。初戦はソフトバンク・斉藤和巳、西武が松坂大輔という至高のエース同士が意地をぶつけ合い、両投手とも完投した中で松坂がシャットアウトを決めて1-0で西武が制した。しかし、第2戦はソフトバンクが猛打をふるい11-3で圧勝。第3戦もソフトバンクがフリオ・ズレータの2試合連発など打線活発で6-1と勝利を収めて逆転突破を果たしたのだった。

 また、2019年はシーズン2位で本拠地でのCSファーストステージ開催だったが、やはり初戦黒星からの逆転を果たしている。

 ソフトバンクは、再び球史に名を刻む戦いをすることができるだろうか。

第3戦はソフトB・和田、ロッテ・小島が先発

戦いの舞台となるZOZOマリンスタジアム(昨年10月、筆者撮影)
戦いの舞台となるZOZOマリンスタジアム(昨年10月、筆者撮影)

 なお、CSファーストの第3戦、ソフトバンクの先発は和田毅が務める。42歳左腕は今季8勝6敗、防御率3.24の成績。ロッテに対して3試合に投げて1勝0敗、防御率2.40。ZOZOマリンスタジアムの独特な雰囲気での登板となるが、シーズンでは2試合で1勝0敗、防御率2.70と安定した投球を見せている。

 一方のロッテの先発は小島和哉。ソフトバンク戦は今季5試合に投げて1勝2敗、防御率4.45。ただ、本拠地ZOZOマリンでは今季6勝1敗と相性がいい。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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