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甲斐拓也より小柄な163cmの「打てる捕手」。坂口塾&鴻江合宿で激変し、ドラフト候補浮上か

田尻耕太郎スポーツライター

 プロ野球独立リーグ「ヤマエグループ 九州アジアリーグ」が6月4日、熊本市のリブワーク藤崎台球場で行われ、火の国サラマンダーズと宮崎サンシャインズが対戦した。

【6月4日 ヤマエグループ九州アジアリーグ リブワーク藤崎台 423人】

宮崎  `000000000 0

火の国 `00210110× 5

<バッテリー>

【宮】●冨樫、中村――藤原、宮下

【火】○下川、中村、江藤――深草

<本塁打>

なし

<スタメン>

【宮】9糟谷 6目黒 4今津 3宮下 2藤原 7田中 5筒井 D神野 8梶山

【火】4晴樹 5大崎 9アルバレス D中山 6仲村 7小林 2深草 3山本 8柏木

<得点経過>

3回裏【火】中山の2点左前適時打で先制(火2-0宮)

バンザイする中山(右)。昨年までは東京ヤクルトスワローズでプレー
バンザイする中山(右)。昨年までは東京ヤクルトスワローズでプレー

4回裏【火】晴樹の打球をさばいた二塁手が悪送球(火3-0宮)

6回裏【火】暴投で追加点(火4-0宮)

7回裏【火】深草が適時打(火5-0宮)

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NPBで需要高い「打てる捕手」

 火の国サラマンダーズの深草駿哉(ふかくさ・ゆうや)は身長163cmの捕手だ。ソフトバンク・甲斐拓也が170cmだから、さらに小柄ということになる。

 宮崎出身の21歳。日章学園高校の1年生の頃、一度は投手転向したが、監督に志願して捕手に戻してもらった。マスクへのこだわりは強い。

「僕が中高生の時期に甲斐さんがレギュラーに定着され大活躍されました。身長が高くなくてもやれるんだ。僕の励みでしたし、構えやスローイングなども真似して勉強しました。今もテレビでよく見ています」

 深草も二塁送球は1.8秒台の前半を記録するという。NPBでも十分通用するレベルの送球技術をもっている。

 課題は打撃だった。昨季までの2年間は打率2割前半。

 それが今季は激変している。ここまで24試合出場し、打率.361(61打数22安打、1本塁打、8打点)をマーク。加えて、三振は3つしかなく、出塁率はリーグトップの.506を記録している。

 打てる捕手の地位を確立すれば、NPBドラフトでも需要は大きく高まる。

元ヤクルト坂口臨時コーチからのアドバイス

 今季、火の国サラマンダーズにはNPB通算1526安打を記録した坂口智隆氏が臨時コーチに就任。深草は「新しい考え方を教わった」という。他の右打者も話していたが、「外角球になればなるほど、ポイントを投手寄りに。逆に内角は呼び込んで打つ」打撃に変えた成果が大きいと話した。

「目つけも変わる。外角もポイントを少し前(投手寄り)の方に意識を置くから、曲がっていく変化球を見極めることもできる。それで三振が減ったり、四球が増えたりしていると思います」

名トレーナー鴻江氏から理論を聞く

 また、深草は今年1月、アスリートコンサルタントの鴻江寿治氏が主宰する自主トレ合宿にチームメイトの有田光輝とともに参加した。

 鴻江氏が提唱する人間の体を「猫背型(うで体)と反り腰型(あし体)」の2つのタイプに分け、それに沿ってフォームづくりなどを行う。メジャーリーガーの千賀滉大が若手時代から毎オフ参加し、ソフトボール金メダリストの上野由岐子も師事することで知られる。今年は上野をはじめロッテ・種市篤暉や西武・今井達也らが合宿に参加。深草と有田はNPB投手たちのサポート役としての参加だったが、期間中に鴻江氏から話を聞く機会があり、それも大きなヒントになったという。深草は猫背型。合宿後も鴻江氏の本を読み、それに沿った体の使い方を参考にした。

 2年前、火の国サラマンダーズからは石森大誠が中日ドラゴンズにドラフト3位指名された。その時、深草はシーズン中にずっと石森の分の食事を作るなど「グラウンド外でも女房役」として注目を集めた。この秋は深草に熱視線が集まるか。悲願のドラフト指名に向けてアピールあるのみだ。

(※写真はすべて筆者撮影)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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