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昨季ヤクルト戦力外の“きんに君”中山翔太、熊本で現役続行! 九州アジアL・火の国サラマンダーズが獲得

田尻耕太郎スポーツライター
中山翔太外野手(写真:ヤクルト球団/火の国サラマンダーズより送付)

 プロ野球独立リーグ「ヤマエグループ九州アジアリーグ」の火の国サラマンダーズは13日、昨季限りで東京ヤクルトスワローズを自由契約になっていた中山翔太外野手の入団が内定したと発表した。背番号は「29」。

高校時代に甲子園準優勝、法大で主砲、サイクル安打も

履正社高校時代に甲子園でプレーする中山翔太
履正社高校時代に甲子園でプレーする中山翔太写真:アフロ

 中山は右の大砲で大阪府出身の26歳。履正社高校時代は4番打者で甲子園準優勝を経験。

 法政大学進学後は2年生秋からレギュラーに。4年生春には東京六大学野球リーグ史上8人目のサイクル安打も記録した。大学通算11本塁打をマークし、2018年ドラフト会議でヤクルトから2位指名を受けた。

ドラフト2位でヤクルトへ

 同球団でかつて右のスラッガーとして活躍した廣澤克己氏と同じ「背番号8」を与えられるなど期待が高く、1年目は35試合出場で打率.289、5本塁打、14打点とまずまずの成績を残した。

 2年目の2020年シーズンは29試合の出場にとどまり打率、安打数、本塁打数など前年を下回る成績となったが、代打としては存在感を発揮。特に9月には「月に向かって打て」が代名詞だった大杉勝男氏以来の記録となる球団最多タイの月間3発の代打本塁打を放った。

 しかし、3年目は9試合出場で打率.091、0本塁打と低迷すると、4年目だった昨年は一軍出場なし。ベンチプレス140キロ、スクワット250キロを持ち上げる筋力が自慢で「きんに君」の愛称で親しまれていたが、その能力を発揮できずに昨年10月4日にヤクルトから戦力外通告を受けていた。

 11月には現役続行を目指して12球団合同トライアウトに参加していた。

火の国は待望の強打者補強

火の国サラマンダーズを率いるのは今季も馬原孝浩監督(筆者撮影)
火の国サラマンダーズを率いるのは今季も馬原孝浩監督(筆者撮影)

 火の国サラマンダーズは九州アジアリーグ創設から昨季まで2連覇中。また、昨年は初参戦した「日本独立リーググランドチャンピオンシップ」でも頂点に立ち、初の独立リーグ日本一へと駆け上がった勢いあるチームだ。

 しかし、昨季までリーグで2年連続打点王に輝いた水本大志や、かつて巨人でもプレー経験のある主砲のイスラエル・モタらが昨季限りで退団。攻撃力強化は課題となっており、中山の入団で改善に大きく前進しそうだ。

中山外野手コメント「NPBに返り咲くことができるよう」

「この度入団が決まりました、中山翔太です。チームの連覇の為に一本でも多くホームランを打ち、勝利に導けるように頑張ります。NPBに返り咲くことができるよう精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願い致します。チームメイト、そして火の国サラマンダーズでプレー出来ることを楽しみにしています」

神田康範代表取締役兼GMコメント

「この度、中山翔太選手を2023シーズンに向けて獲得できたことを大変うれしく思います。中山選手は、チームの補強ポイントであった右の大砲です。

 ヤクルトスワローズでの三年間は思うようにいかない事も多かったと思いますが、常にハングリー精神を持って成長し続けて来られたと思います。NPB 復帰を本気で目指すために中山選手が火の国サラマンダーズを選んでくれて心から感謝していますし、チームとしても彼の想いを叶えるために全力でサポートするつもりです。

 先般入団した山口翔選手(前広島東洋カープ)と共にNPBへ送り返したいと思います。彼がもつNPBでの経験は既存の選手たちにも必ずや良い影響を与えると思いますし、泥臭い独立リーグでの経験は中山選手の将来に大いに活きていくと確信しています。本気で夢を再びつかみに熊本に来る中山選手の応援よろしくお願いします。

 中山選手、Welcome to 熊本!」

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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