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ドラフトへスカウト目前でアピール!火の国サラマンダーズ・宮澤怜士が無四球完投=九州アジアリーグ

田尻耕太郎スポーツライター
完投勝利を果たした宮澤怜士投手

 プロ野球独立リーグ「ヤマエ久野 九州アジアリーグ」の公式戦が27日、熊本市のリブワーク藤崎台球場で行われ、リーグ首位の火の国サラマンダーズと3ゲーム差の2位で追う福岡北九州フェニックスが対戦した。

 

【8月27日 ヤマエ久野 九州アジアリーグ リブワーク藤崎台球場 449人】

北九州 `002000000 2

火の国 `33001210× 10

<バッテリー>

【北】●中野、小川、力丸、豊山、北方――秋庭、武蔵

【火】〇宮澤――有田

<本塁打>

なし

<スタメン>

【北】6妹尾 8神谷 4大河 3ラモン 5ルーカス D西岡 9吉岡 2秋庭 7鈴木

【火】7松本 6中村 9水本 3モタ Dグスタボ 5高橋 4高山 2有田 8柏木

2安打1打点の高橋
2安打1打点の高橋

<戦評>

 火の国が大勝し、今カードを1勝1敗のタイに戻した。

 初回に中村の適時打、グスタボの犠飛、高橋の左越え二塁打で3点を先制。二回にも相手バッテリーミスや一、三塁からの重盗を決めて3点を追加した。火の国はチーム7盗塁と足でかき回した。

 先発した宮澤は持ち前の制球力を発揮して7安打を浴びながら無四球で2失点完投勝利。今季8勝目をマークした。

 北九州は三回に大河、ラモンの連続適時打で反撃を見せたが、その後は走者を出しても3度のゲッツーに打ち取られるなど宮澤を攻略できなかった。(了)

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火の国・宮澤怜士、光った投球術

 火の国の「右のエース」宮澤怜士投手がドラフト指名へ好アピールとなる無四球完投勝利を収めた。

 雪辱に燃えたマウンドだった。前回登板だった21日の大分B-リングス戦(竹田丸福スタジアム)は中継ぎで3回1/3を4失点と振るわず。16日の北九州戦(リブワーク藤崎台球場)も5回2/3を8失点と打ち込まれていた。

 復調に向けて藤岡好明コーチと話し合いながら修正に取り組んだ。この日はプレートの立ち位置を真ん中から一塁寄りに変更。「ツーシームを有効に使えたし、一塁側からでもカットボールもしっかり投げられました」。変化球を活かす直球も140キロ台中盤を常時マークするなど力強かった。

 昨季はリーグ投手三冠(防御率、勝利数、奪三振)。NPB入りへ期待に胸膨らませてドラフト日当日を迎えたが、指名の声はかからなかった。周囲のだれが見ても分かるほどショックを受けていた。

投手三冠からの進化

 今季は「三冠」からのさらにレベルアップを求め「投球以外にこだわった。オフの間にしっかり準備、練習もしました」と語る。投球フォームの間を微妙に変えながら投げて打者のタイミングを外したり、クイックモーションの精度を高めたり牽制の技術も磨くなど、投手としての細部を見つめなおした。

 アピールは届いている。この日、リブワーク藤崎台で視察したセ・リーグ某球団のスカウトは「投げるだけじゃない、そういう部分がしっかり出来ている投手。それは大きい」と評価していた。

 馬原孝浩監督も「しっかり自分の“軸”を持ちながら、工夫していくのが大切。それが出来ていないから前の試合では打たれた。ただ、今日のマウンドでの姿は良かった。きっかけになると思う。ドラフトに向けてここからが自身の集大成になる」とエールを送った。

 悔し涙を浮かべた昨年秋。今年の「10・20」は笑顔の花を咲かせたい。

※写真はすべて筆者撮影

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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