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「剛腕vs怪力」鷹リチャードがロッテ佐々木朗の161キロ撃ち。いつかは「令和の名勝負」へ

田尻耕太郎スポーツライター
佐々木朗vsリチャード。この161キロを中前打(筆者撮影)

 3月5日、福岡ソフトバンクホークスは本拠地PayPayドームで千葉ロッテマリーンズとオープン戦を行った。

【3月5日 オープン戦 PayPayドーム 17176人】

ロッテ    `000000000 0

ソフトバンク `00000010× 1

<バッテリー>

【M】佐々木朗、益田、●山本(0勝1敗)、廣畑――松川、加藤

【H】東浜、◯藤井(1勝0敗)、甲斐野、S森(1セーブ)――甲斐、海野

<本塁打>

なし

<スタメン>

【M】8高部 9和田 4中村奨 3山口 5池田 D安田 2松川 7菅野 6平沢

【H】8牧原大 4三森 D柳田 7グラシアル 9栗原 3中村晃 5リチャード 6川瀬 2甲斐

<戦評>

 両チームの先発が好投して投手戦となった。ソフトバンクの東浜は5回1安打無失点。直球に力もあり6つの三振を奪った。ロッテの佐々木朗は自己最速に並ぶ163キロをマークするなどの剛速球と140キロ台後半のフォークで相手打者を翻弄した。

 ソフトバンクは七回に均衡を破った。先頭の代打・柳町が四球で出塁。1アウト後に栗原が右前打を放って送球間に進塁して二、三塁に。その後リチャードが四球を選んだ投球が、ロッテ4番手の廣畑の暴投となり三塁走者が生還した。

 ソフトバンクは1-0の九回に森が今年実戦初登板。キャンプで調整が遅れて心配されていたが1回を無失点に抑え、完封リレーを完成させた。(了)

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「剛腕」佐々木朗と「怪力」リチャードの2打席

 普段のオープン戦の雰囲気とまるで違った。ロッテ佐々木朗希が福岡PayPayドームに初見参。比較的スピードガン表示が出やすい球場と言われるが、だとしても佐々木朗の剛速球は見応え十分だった。

 立ち上がりの初回は直球の全7球が160キロ超。二回、中村晃を空振り三振に仕留めた勝負球が自己最速タイの163キロを示した。

 序盤は球がやや抜け気味の傾向があり、右打者相手の時には少し投げにくそうにしていたところも見られたが、試合が進むにつれてフォームのバランスが良くなっていった。四回、投球数が50を超えたところで右打者のグラシアルに対して160キロ台を外角のストライクコースに連発。スタミナ面、技術面ともに明らかな成長を感じさせた。

 佐々木朗の投球成績は5回65球、被安打2、奪三振9、与四球1の無失点だった。

意地と意地がぶつかり合った

 ソフトバンクとしてはほぼ完全に封じ込められたのだが、放った2安打のうち1本を記録したのが、ホークス期待の大砲であるリチャードだった。

 怪力打者と剛腕の、極上の力勝負はこの日2度。いずれも胸躍る対戦だった。

 最初の打席は三回無死。初球は高め159キロをファウル。2球目も高め直球だ。これが161キロを計測し、リチャードは完全に詰まらされたが、規格外のパワーで弾き返した打球はセンター前へと弾むヒットとなった。

 2打席目は五回1死一塁だ。直前に中村晃がヒットで出塁。数少ない走者を追いた場面でリチャードへ期待がかかるところだったが、ここでは佐々木朗の意地を見た。初球の内角159キロ直球でバットを完全に折られて、ボテボテのピッチャーゴロ。力と力の勝負に、リチャードが屈したのだった。

リチャード「スアレスより余裕で速かった」

 リチャードは「今まで(元同僚で昨季まで阪神守護神の)スアレスが一番速い投手と思っていたけど、余裕でそれより速かった。反応で打った感じ。どう打ったか、あんまり憶えていないくらい」と振り返った。

 ともに、現段階では「今後の球界を背負って立つ」と、まだ将来を期待されている立場だ。

 いつかは2人の対決が「令和の名勝負」と呼ばれる日が来てほしい。そうなれば、球界の未来はより明るいものになる。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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