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「プロ野球→アメフト」2例目の転向者、元DeNA投手が福岡サンズ入団へ

田尻耕太郎スポーツライター
DeNA入団発表時。後列一番右が田村。同期には今永投手(前列左から3人目)

お笑いのコージ・トクダも所属

 アメリカンフットボール・X1エリア西地区のイコールワン福岡SUNS(サンズ)は3日、プロ野球の横浜DeNAベイスターズで2019年までプレーした田村丈(たむら・じょう/28歳)が入団することを発表した。

 2017年に創部した福岡サンズは九州初のXリーグ参入チーム。お笑いタレントのコージ・トクダ(元ブリリアンメンバー)が2020年より加入し、現在も所属している。

 また、プロ野球選手からアメフトへの転向は、今年5月に発表された元DeNA内野手の石川雄洋のノジマ相模原ライズ入団に続いて、2例目となる。

DeNAでは育成から一軍へ

 田村は、野球選手時代は投手だった。関大北陽高校から関西学院大学を経て、2015年育成ドラフト3位でDeNA入り。二軍戦での活躍が認められ、3年目の2018年7月26日に支配下登録され、同年8月1日の巨人16回戦(横浜スタジアム)で一軍デビューを果たした。だが、小林誠司に適時二塁打を浴びるなど1回3安打2失点とほろ苦い初登板となった。

 結局、一軍登板はその1試合のみで、翌年オフに契約更新しない旨を通達されて4年間のプロ野球人生にピリオドを打った。その後は球団職員としてベースボールクラブのコーチを行っていた。

野手顔負けの「チームトップ」の俊足だった

野球硬式球を楕円形のボールに持ちかえてチャレンジ
野球硬式球を楕円形のボールに持ちかえてチャレンジ

 田村は身長185cm、体重90kgの恵まれた体格で、150キロ級のストレートを武器とする右腕だったが、その一方で「入団テストでは、50m5秒台をマークするなど、野手を含めてもチームでトップクラスの俊足の持ち主」とDeNAの公式サイトでも紹介されていた。

 今回、入団する福岡サンズはこれまでも、他競技から転向するアスリートの受け入れを積極的に行ってきた。2019シーズンはラクロスから皇甫悠貴(2019年引退)、大相撲から古閑宗市(元・琴古閑/佐渡ヶ嶽部屋)の2選手、2021シーズンはサッカーから上原翔太がアメリカンフットボールに挑戦してきた。その中でプロ野球界からの転向希望者を長く探しており、クラブのメインスポンサーである「株式会社イコールワン ホールディングス」に所属する元プロ野球選手の社員からの縁で田村を紹介されて、入団交渉を行っていた。

 田村はアメフトではワイドレシーバー(WR)のポジションを担う予定。攻撃のポジションで、チームで最も足の速さが求められるポジションの1つであり、主にパスプレーにおけるパスキャッチのスペシャリストとしての役割を果たすことになる。

 今後、5日に正式契約を交わして入団発表に臨み、10日の練習よりチームに合流する。

田村丈選手コメント「石川さんのニュースを見て」

「元横浜DeNAベイスターズの田村丈です。今回、イコールワン福岡SUNS様よりアメリカンフットボ ールへの挑戦のお話しを頂きとても感謝しております。2年前にプロ野球を引退し、現在まで横浜DeNAベイスターズの職員としてスクールのコーチをしておりました。

 子どもたちの身体を動かす姿、 成長する姿などを見てきて、毎日がとても刺激的で、充実した日々を送っておりました。しかし、子ども達と一緒に身体を動かす日々の中でも、心の中でずっと何かに挑戦したいと思う気持ちがありまし た。プロ野球は引退しましたが、今でもトレーニングを続けており身体は動く。そして、フィジカル、 スピードなら横浜DeNAベイスターズに所属していた時から、誰にも負ける気はしませんでした。

 アスリートとしてこのままで良いのかと日々考えていた中で、今年の5月に横浜DeNAベイスターズの先輩にあたる石川雄洋さんのアメリカンフットボール転向のニュースを間近で見させていただきました。俺にも出来るんじゃないか。そう思っていた矢先に今回の話を頂きました。

 突然の話で、しかも福岡のチームということでとても驚きましたが、現役復帰のラストチャンスだ!と前向きに検討をさせて頂きました。実は大学時にも通っていた関西学院大学アメリカンフットボール部から転向のオファーがあったこともあり、アメリカンフットボールというスポーツにはとても興味がありました。

 代表の吉野さんとも何度かお話しをさせて頂き、誰でもいつからでも挑戦が出来るアメリカンフットボールというスポーツのすばらしさを知りました。

 また福岡でトライアウトという形でボールに触れる経 験もさせて頂きました。その時に、「本当に出来るのか?」と漠然ともっていた不安が吹き飛び、できる、やってやる、という気持ちが心の底から湧き出てきました。

 元プロ野球選手からアメリカンフットボール選手になるというのは簡単なことではないこともわかっていますが、やるからには日本代表、そして海外でプレーできるレベルを目指します。そして、日本のアメリカンフットボール界を盛り上げ、アメリカンフットボールファンや野球ファンのみなさんに応援してもらえる選手を目指して日々努力を続けます。応援よろしくお願い致します」

※写真は全て「イコールワン福岡SUNS」より提供

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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