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ホークス期待のリチャード、オープン戦不振の原因は?出直し二軍戦で4打点も反省すべき点

田尻耕太郎スポーツライター
三回に犠飛を放つリチャード。ベンチ左端では柳田も「行け―」と声(筆者撮影)

 3月13日、ウエスタン・リーグの春季教育リーグで、福岡ソフトバンクホークスと中日ドラゴンズがタマホームスタジアム筑後で対戦した。

【3月13日 春季教育リーグ タマスタ筑後 574人】

中日     010100002 4

ソフトバンク 10112100× 6

<バッテリー>

【D】梅津、松田、近藤――郡司

【H】大竹、松本、吉住――高谷、渡邉陸

<本塁打>

【D】郡司 【H】渡邉陸

<スタメン>

【D】7遠藤 8渡辺 D福留 2郡司 3福田 5石川昂 6石垣 4堂上 9伊藤

【H】7柳町 D柳田 4増田 5リチャード 9釜元 2高谷 3野村 8水谷 6小林

<戦評>

 リチャードが4打点で、4番の仕事を果たした。初回1アウト一、三塁で先制の右前タイムリー。三回の第2打席では左犠飛を放ち、五回の第3打席では左前へ2点適時打を弾き返した。3打数2安打4打点の活躍だったが、「3打席目は迷いなく振りきれた。ホームランにならなくて悔しかった」と振り返った。

 また、打線では1番スタメンの柳町が2安打2四球で4度出塁し、いずれも本塁に生還して4得点をマークした。3番の増田は2安打。途中出場の渡邉陸は左中間へ大きな本塁打を放った。

 投手陣は先発の大竹が5回2失点。その後は松本が3回無失点でつないで、最終回は吉住が2点を失いながらも逃げ切った。(了)

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キャンプでアピールも徐々に下降線

 出直しの4打点だ。オープン戦途中で開幕一軍争いから脱落したリチャード内野手がこの日、ウエスタン教育リーグに「4番サード」で出場し、3打数2安打4打点と気を吐いた。初回の先制打から左犠飛、左前2点適時打と3打席目まですべて打点つきの活躍で勝利に貢献した。

 2月の宮崎春季キャンプで注目度トップクラスだった。紅白戦第1戦では豪快本塁打を放って、「打ちたいという気持ちを我慢して、キャンプで取り組んでいる『思いっきり振らない』を実践しました。王会長からも『追い込まれたら考え方を変えなさい』とアドバイスをされています。『スパッ』と仕留めるイメージです」と手応えを口にしていた。

 しかし、対外試合が始まるとバットから快音が聞かれなくなった。2月27日のオリックスとの練習試合では3三振。3月に入りオープン戦では7試合出場で8打席に立ち、8打数1安打の打率1割2分5厘とアピールできず、首都圏遠征する1軍本隊から外れて11日からファーム合流となった。

結果を欲しがり、気持ちの整理できず

 不振だったオープン戦。「迷いがありました」と思い返した。

「打撃の調子が悪いわけではありませんでした。ただ、1打席しかないチャンスの中で、気持ちの切り替えや割り切りが出来なかった。たとえば自分の中でヤマを張ってそれが外れたら『うわー』となって、次の甘い球を見逃してしまう。一軍だと甘い球なんて1打席に一度来るか来ないか。それを仕留めないといけなかったのに。去年とは気持ちの面も違っていました。去年はガムシャラ。今年は結果を出さなきゃと思い過ぎた自分がいました」

ミス後の打席で「引きずって」三振

 反省点は自覚している。しかし、それでもこの日の教育リーグの中でも集中力を欠くプレーがあり、4打席目は「それを引きずって」三振した。「そこなんです」。嫌というほど自分で分かっている。しかし、理解しても結果で示さなければプロの世界で生き抜くことはできない。

 間違いなく才能はピカイチ。しかし、プロ野球の世界において期待される時期などじつはそれほど長くない。溢れんばかりの才能を開花させることなく去っていく選手を山ほど見てきた。リチャードは変わった―ーそう周りを認めさせる何かを、一日も早く見せてほしい。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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