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私は“甲斐“になりたい……ホークス海野、自主トレに弟子入り「憧れではなく、目指すべき」

田尻耕太郎スポーツライター
どんな成長を遂げて、2年目のキャンプインを迎えるか(代表者撮影)

初めての契約更改

 プロ1年目のシーズンを戦い終えた福岡ソフトバンクホークスの海野隆司捕手が8日、PayPayドームを訪れて来季の契約更改を行い、現状維持の1200万円(推定)でサインした。

 東海大学からドラフト2位で入団した海野は9月3日に1軍初登録され、同18日の楽天戦(楽天生命パーク)で途中出場からマスクを被りデビュー。11月1日の西武戦(メットライフ)ではプロ初スタメン出場も果たした。今季は5試合に出場。打撃では4打数0安打で、プロ初安打は持ち越しとなった。また、ウエスタン・リーグでは43試合に出場、なかでもチーム捕手で最も多い42試合でマスクを被った。打撃成績は121打数29安打で打率.240、0本塁打、15打点、出塁率.303だった。

海野が感じた、甲斐の凄み

 さらなる飛躍のために、このオフの自主トレはチームの先輩である甲斐拓也捕手、さらに球界ではトップクラスの経験者である嶋基宏捕手(ヤクルト)に入門して行うことを明かした。

「自分から甲斐さんに『一緒にお願いします』とお話ししました。もともと憧れてプロに入ってきたけど、今は目指さなきゃいけない。どんな練習をしているかもそうだし、色々なことを間近で見たいと思います」

 海野も身長173cmと、決してプロの捕手の中で体格の大きな方ではない。自分の将来像を思い浮かべる時、甲斐に目が行くのは必然だった。

「ホークスに入る前はもちろんプレーしているところしか見えなかったけど、一緒にプレーをして思ったのが、視野の広さの凄さでした。目配りや気配り。まだ自分にはそれが全然足りないと感じました。ベンチ裏やロッカールームといった野球以外の面で、これがキャッチャーなんだと感じました」

 投手陣とのコミュニケーションは勿論、他のチームメイトやスコアラーといったスタッフまであらゆる周りの人たちとの会話や意見交換を大事する姿が心に響いたという。

柳田が認めた「声出し」MVP

 その中でも、海野は「愛されキャラ」という資質をプロ1年目に開花させた。柳田悠岐が「声出しMVP」と評したように、ムードメーカーとして特に今季終盤戦では存在感を高めた。ファンからの認知度も急上昇中だ。

 先日行われたファンフェスティバルでも開会宣言を突如ムチャぶりされながら、精一杯ピコ太郎の「PPAP」を独自アレンジした「ホークスレンジャー」を披露した。日本シリーズでも試合前円陣の声出しで同様のネタをしていたが、海野いわく「日本シリーズ前のときにも『何かやれよ』って言われて、その場でパッと思い浮かんだのが『レンジャー』って言葉だったんです。秒で思いつきました(笑)」とのこと。

「(声出しは)あそこに立って、やらない方が空気的にも良くないと思ったんで、勢いでとりあえずやったって感じですね。新人だったし、そういう役目だったのかな。元々そういうタイプじゃないですけどね、そうなっていますね。なんか、わかんないです、自分でも」

 明るく、楽しく、真剣に。それがホークスの野球であり、強さの象徴だ。ムードメーカーとチームの頭脳という最高の二刀流へ。プロになって初めてのオフを充実のものにする。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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