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ホークス一筋15年の江川「やりきった」。現役引退を示唆

田尻耕太郎スポーツライター
ホークス一筋15年。「本物の長距離砲」でした

市川、岡本健、美間にも通告

 日本シリーズ真っ最中の非情通告。これもプロ野球の現実だ。

 ソフトバンクは21日、江川智晃外野手、市川友也捕手、岡本健投手、美間優槻内野手の4名に来季契約を行わない旨を通達した。

 ソフトバンク1期生のドラフト1位だった江川は「やりきったという思いはある」と現役引退を示唆した。

 江川は04年ドラフトで宇治山田商高校(三重)から入団。入団発表にはまだ福岡ダイエーの背番号8のユニフォーム姿で臨んだ。長距離砲として期待をされ、入団1年目当時の秋山幸二2軍監督はウエスタン・リーグで4番打者として起用し続けた。顔面に死球を受けたことがあったが、秋山2軍監督自身が現役時代に着用した特注ヘルメットを被らせて試合に使ったこともあった。

ギータが驚いた飛距離

 なかなか一軍に定着することが出来なかったが、13年に77試合出場で12本塁打を放って自慢の長打力を発揮した。その当時若手だった柳田悠岐は「江川さんの飛距離が誰よりもすごい。ああいう人が本物の長距離砲なんです」といつも驚いていた。

 しかし、近年は出場機会が減少。今年は春季キャンプ後に腰の手術を行うなど、近年は故障にも泣かされた。今季の一軍出場は5試合のみ。それでも5打数3安打、打率.600をマークしてみせたところに江川の意地を見た。

 この日球団事務所を訪れた江川は「球団委は腰の手術も射せてもらった。感謝をしています。でも、全盛期に比べれば足や肩も落ちたなという思いはあります」と話した。現役への未練は口にしなかったが、家族らに相談するために2、3日の期間をおいて決断する意向であることも明かした。

球団、ファンへの感謝

「僕みたいな選手を15年もいさせてくれてホークスには感謝しかない。大した成績も残せず、優勝にも貢献できなかった。野球自体の思い出よりもいい人にたくさん出会えたのは僕の財産。応援してくれた人たちにもっといい姿を見せられたらよかったけど、僕が出来るのはここまでかな」

 ソフトバンク球団は選手のセカンドキャリア支援を行っており、江川にも何かしらの話があった模様。「普通はそのことで悩むけど、その悩みは解消してもらえました」と話した。

 また、美間も「やりきった感もある」と現役引退の意向を口にした。市川、岡本健は現役続行を希望することを表明した。

 

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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