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ギータ驚いた「速っ!」ドラフト1位甲斐野央が衝撃のマウンドデビュー

田尻耕太郎スポーツライター
打撃投手でプロのバッターと初対戦(筆者撮影)

憧れの対決が実現

 怪人ギータが思わず発した言葉が、すべてを物語っていた。

「速っ!」

 7日、ソフトバンクのキャンプで夢対決が実現した。フリー打撃にドラフト1位新人の甲斐野央投手が初登板。大学時代に159キロを記録した剛腕が、ついに球場マウンドでお披露目だ。上林誠知と対した後に打席に立ったのは、柳田悠岐だった。

 プロ入りが決まった際に「同じチームですが、紅白戦で対戦して三振を獲りたい」と憧れの相手と、フリー打撃という形ではあったが相対することになったのだ。

「投げる前は緊張したけど、マウンドに立ったら(捕手の)甲斐さんのミットめがけて投げるだけだった」

「ズドン」とミットが鳴った

 1球目。「ズドン」。甲斐のミットから衝撃音が鳴った。柳田は驚いた顔で冒頭の言葉を発したのだった。

 20球を投げたが、11球目までで前にまともに打球が飛んだのは1球だけ(左飛)。安打性の当たりは2本のみ。衝撃は13球目。柳田のバットを真っ二つにへし折った。

「詰まらせて折ったわけではなく、泳いで折れた。満足感はありません。柳田さんのスイングスピードが速かったからだと思います」

 クールに振り返ったルーキー。「速っ」の言葉についても、「聞こえましたけど、そんなに速くないですよ。すぐに打たれます(笑)」と笑って振り返った。関西気質でお調子者の一面もあるが、なかなかクレバーな投手である。

「140キロ後半じゃないですか」

 しかし、倉野信次投手コーチによれば、150キロをマークしていたとのこと。

千賀や和田も驚いた

 投球中には和田毅や千賀滉大、森唯斗らが練習の合間にグラウンドを覗き込み、「あれは速い」と声を上げていた。

「これから実戦形式がどんどん入ってくる。牽制や投内連係などしっかりやりたい」

 ドラフト会議では外れ1位で入団した右腕だが、とんでもない怪物投手がホークスにやって来た。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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