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千葉ロッテ入団テスト目前の李杜軒に単独インタビュー「井口監督に恩返しをしたい」

田尻耕太郎スポーツライター
ソフトバンク時代の李杜軒内野手(2014年・筆者撮影)

2年前までソフトバンクで10年間プレー

10年間プレーした日本プロ野球への復帰を果たせるのか。

元ソフトバンクの李杜軒内野手が、2月1日より千葉ロッテマリーンズの春季キャンプで入団テストに臨む。

李内野手は台湾出身の29歳。中学卒業を機に日本に留学し、岡山共生高校に入学。甲子園出場を果たすことは出来なかったが、がっしりとした体格から右方向へも鋭い打球を飛ばし高校通算53本塁打を放った長打力を買われて、06年高校生ドラフト4位でソフトバンクに指名されてプロ入りした。

ぶ厚い選手層の中でなかなか勝ちきることが出来なかったが、13年には主に二塁手として43試合に出場して打率.295、3本塁打、10打点の成績を残した。また、この年に行われた第3回WBCには台湾代表として出場もしている。

昨年は母国台湾で練習

しかし、以降は出番を減らした。特に15年には左脇腹痛に加えて、2軍戦の守備中に右肩を脱臼して長期離脱。これが響いて、育成選手となって過ごした16年シーズンも振るわずに、そのオフ限りで10年間在籍したソフトバンクのユニフォームを脱ぐことになった。

以降の李内野手の動向は、メディアでほぼ伝えられることはなかった。

戦力外となった直後のオフ、母国台湾で行われたウインターリーグに参加している。「怪我明けだったけど、ずいぶん回復していました。動きを確かめたかった」。そして昨年、李内野手はそのまま台湾に身を置いていた。

台湾でプレーではなく、日本復帰を望むワケ

「台湾のプロチームで練習を続けていました。シーズンの序盤には2軍の試合にも出場しました」

――母国でプロ野球選手を続けるという選択肢はなかったのか?

「僕の中ではソフトバンクで怪我をしてしまい、悔いも残っていた。日本に戻りたいという思いが強かった」

地道な日々を過ごす中、千葉ロッテマリーンズから「テストを受けてみないか」という電話が入ったという。現在のロッテは、李選手にとって縁深い球団だ。

「井口監督が現役時代は、1月の沖縄自主トレにいつも参加させてもらっていました。また、ソフトバンクで熱心に指導してもらった鳥越コーチもいるし、清水コーチも今年からロッテに移りました。今回、たまたまロッテからお話を頂くことが出来ました。自分のベストを尽くして合格して、恩返しをしたいです」

「体は一番いい。打撃でアピール」

 今年1月も、井口監督の抜けた「チーム井口」の自主トレに参加。ロッテ清田育宏やソフトバンク明石健志と共にトレーニングを積んだ。

「井口監督のいた頃は沖縄本島でしたが、今年は石垣島で練習しました。今回の施設はとても充実していて、バッティング練習もかなり行うことが出来ました。また、清田さん、明石さんと練習が出来たことで自分の今の状態を確認することも出来ました。すごく有意義な自主トレになりました」

 30日、同じくロッテの入団テストを受ける前ソフトバンクの大隣憲司と共に石垣島に向かう。

「ここ数年で、体は一番いいです。初日からいきなり実戦形式の練習があると聞いているので、自分の打撃をまずはしっかりアピールしたいです」

 昨シーズンのロッテはチーム打率もチーム本塁打もシーズン最下位だっただけに、強打者タイプの選手はニーズと合致する可能性もある。「また連絡します」と言って電話を切った李内野手から、吉報は届くだろうか。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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