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有名人をかたる偽投資サイト詐欺は、ここから始まった。手口の変遷からみる被害の実情 #専門家のまとめ

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

有名人をかたる広告から偽投資サイトに誘導される詐欺被害が後を絶ちません。自らの写真が悪用された当事者の前澤友作さんが、被害者のためにSNSの責任に対して動いて下さることは力強い限りです。

長く取材をしてきて、背後には海外の詐欺組織の存在がうかがわれます。国境を越えた事案ゆえ、被害届を受理してもらえない人たちを沢山みてきました。
偽投資サイト詐欺の始まりは、2020年の新型コロナによる緊急事態宣言前からだと考えています。それから4年、ようやく被害状況が警察庁から発表されました。今に至るまで手口の変遷をまとめます。

ココがポイント

▼SNSから偽の投資サイトに誘導される投資詐欺と、SNSやマッチングアプリで出会い騙されるロマンス詐欺の被害は約455億円と深刻です。

・令和五年のSNS型投資・ロマンス詐欺の被害発生状況等について(警察庁)

▼当初は恋愛感情を抱かせて偽ギャンブルサイトに誘導する手口が主流。緊急事態宣言前後から非対面の詐欺被害が増加しました。

・出会ったアジア人に誘われて。1500万の仮想通貨の詐欺被害も!(2)新手のロマンス詐欺がやってきた!(Yahoo!ニュース エキスパート 多田文明)

▼この頃になると、FX取引などを装う、巧妙に作られた偽の投資サイトに誘導されて被害に遭うケースが出てきました。

・きっかけはマッチングアプリ…「40代女性から1700万円だまし取る」投資詐欺の許せない手口~IPアドレスを辿ると、そこはラオス(PRESIDENT Online)

▼近年は恋愛感情を抱かせる形だけでなく、有名人をかたる広告から投資グループへ、さらに偽サイトに誘導する手口も出てきました。

・森永さん・前澤さん・ホリエモンをかたっての投資詐欺にダマされない!600万円の被害に遭った男性の後悔(Yahoo!ニュース エキスパート 多田文明)

エキスパートの補足・見解

偽投資サイト詐欺の変遷を見てもわかるように、人と出会えない状況につけこんだ非対面の手口として出始めて、当時対策の甘かったマッチングアプリや暗号資産交換所などを狙って、罠を仕掛けていたことがわかります。今はアカウント凍結の動きが素早くなされてきたため、偽広告を使っての詐欺誘導にシフトしてきたと考えています。

今、被害防止のためにしなければならないことは、SNS上にいかに詐欺の広告を出さないかの取り組みです。前澤友作さんがSNSのプラットフォーム側への「罰則・ペナルティを」との声をあげて動いて下さるなか、国、警察の強い対応も求められます。利用者の側も大手SNSに出てくる広告=信用ではないことも心得ておく必要があります。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

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