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旧統一教会問題で苦しむ多くの方に相談をしてほしい 泣きながら相談電話をかける方も多くいました

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
法テラスへの全国統一教会被害対策弁護団の弁護団長による契約の申し込み・筆者撮影

自らの被害を相談電話を通じて伝えることが、次の被害者を生み出さないことにもつながってくる ーーー被害回復への希望の一歩が踏み出された。そのことを強く感じさせられます。

旧統一教会による被害者救済のための特定不法行為等被害者特例法の完全施行を受けて、日本司法支援センター(以下法テラス)は3月19日に司法記者クラブで会見を行いました。法テラスでは、国民が刑事・民事を問わず、法的なトラブルの解決に必要な情報やサービスの提供を受けられるようになっています。

旧統一教会の被害者への法律援助業務が開始される

同センター特定施策推進室の村山勇輔室長より、法テラスの新たな業務の開始についての説明がありました。

「本日(3/19)より特定不法行為等に係る被害者の法律援助業務を開始いたします。特定不法行為等の内容については、一定の要件を満たす解散命令請求等の原因となった不法行為等であって、その対象宗教法人または関係者によるものと定義されています。いわゆる旧統一教会が対象宗教法人になっております」

援助内容のポイントとして3点をあげます。

「1つ目は、被害者の資力、資産の状況を問わずに、弁護士等による無料法律相談や、民事事件手続における弁護士費用等の立替え、それから民事保全手続における担保の提供をします。2つ目は、法テラスが立替えた費用の償還(お金を返すこと)を、援助が終わるまで猶予します。3つ目は、立替え費用の償還について免除の申請があれば、具体的な場合を除いて免除ができることになります」

これまで泣きながら相談電話をされる方も多くいた

同センターの丸島俊介理事長は「昨年11月から霊感商法等対応ダイヤルを設けまして、被害者救済の窓口の対応にあたってまいりました。たくさんの電話をいただくなかで、一番感じることは被害をこうむった多くの方が、声を上げることに対して非常に大きなハードルがあるということです。被害者の方を弁護団につなぐというプロセスのなか、電話の向こうで、本当に泣きながら話される方もたくさんいらっしゃいました」と話します。

教団による被害に対する社会の無関心と、被害を口にすれば、教団から何をされるかわからない怖さがあるゆえに、被害を口にできなかった方は多かったと思います。しかしそうした方々が法テラスの相談電話を通じて、これまで苦しかった胸の内をようやく吐露することができたことがわかります。

「被害をこうむっていても(司法)手続きに進むことで様々なリスクも考えられるわけですし、そういう意味で、一つ一つの電話をうけるなかで、大変なことがたくさんございました。今回の新しい立法によって、少なくとも費用の壁を取り払って、弁護団につなげられる道を設けることができたのは大きな前進だと思っております。ぜひとも多くの方々に電話をいただき、お話を伺った上で弁護団につなぎ、救済の道をひらいていきたいと考えております」(丸島理事長)

法テラスHPより
法テラスHPより

昨年11月から今年2月現在の相談状況について

これまで法テラスには数多くの相談が寄せられており「霊感商法等対応ダイヤル」の相談状況(令和4年11月14日~令和6年2月29日)について、村山室長は次のように話します。

「相談の累計件数は7925件になります。このうち、相手方が旧統一教会であるというご相談は1539件で、全体の19%をしめています。このダイヤルを通じて、全国統一教会被害対策弁護団をご案内させていただいたのが、旧統一教会の相談に限りますと、761件になります」

旧統一教会における相談の内訳をみてみます。

相談者の性別は男性が667人で、女性は865人になっており、やや女性からの相談が多くなっています。

年齢別には、50代・312人、60代・258人、70代・251人、80代・99人、90代・8人とやはり中高年の被害が目立ちますが、20代・48人、30代・94人、40代・166人となっており、比較的若い世代からの被害相談も多くあり、あらゆる年代の方々が、長年にわたって被害を受け続けてきたことがうかがえます。

いまだ金銭的被害の深刻な状況が続く

そのうち、金銭的トラブルの相談が911件で、全体の48%に上っており、金銭支出額の内訳も1000万円超が245件となっており、全体の27%をしめています。

旧統一教会は2009年にコンプライアンス(法令遵守)宣言を行い、教会改革を行ったとしていますが、10年以内の「直近の金銭支出時期」は199件となっています。さらに、1年以内も40件もあり、いまだ金銭的被害の深刻な状況が続いていることがわかります。

旧統一教会では、この世のお金(もの)はすべてサタン側のものと教えられており、それらすべてを神(旧統一教会)の側に返さなければなりません。何より、私たちの先祖が罪を犯して、霊界で苦しんでいるので、救わなければならないとも教えられていますので、自分たちの生活がどんなに苦しくなろうとも、信者らは手にしているお金を教団に捧げようとします。
現在は、430代の先祖解怨(先祖の救い)が求められており、多額の献金をしなければ達成できない状況になっています。すでにお金のない人たちは借金をしてでも、工面しようとするでしょうから、今後も金銭的トラブルが懸念されています。

直近の支出の原資において、自分の財産が481件となっていますが、家族の財産も282件と全体の27%をしめており、家族への被害も看過できない状況です。

海外に住んでいる方や未成年、宗教2世・3世の方の相談も受け付けている

霊感商法等対応ダイヤルでは、金銭的なトラブルや心の悩みだけでなく、児童虐待、修学、就労、生活困窮など「旧統一教会」問題や同種の問題で悩んでいる未成年、宗教2世・3世からの相談も受け付けています。そして海外に住んでいる方も利用できるようになっています。
過去に、旧統一教会の文鮮明教祖の指示で、多くの日本人女性信者が海外宣教へと向かっていきました。そして正体隠しの伝道により信者になった者たちは合同結婚式を通じて、韓国を始めとする外国籍の人たちとカップルとなり、それぞれの国に定住している人も多く、今後は海外にいる信者らの被害回復をどのようにしていくのかも、重要な点になってきます。

弁護団としても全力で被害者救済に当たるとの決意

全国統一教会被害対策弁護団の村越進弁護団長は「本日以降のご相談、ご依頼につきましては、原則として特例法を利用し、法テラスの援助をお願いしてまいります。被害者の方には相談料や弁護士依頼に伴う着手金等のご負担が当面生じません。費用負担の心配なくどなたでもご相談し依頼をしていただくことが可能となりました。弁護団としても全力で被害者救済にあたってまいります」と決意を口にします。

先立って行われた会見でも「法テラスにおける、通常の法律扶助は償還が原則になりまして、償還の免除というのは、生活保護の受給者の方などとかなり限定されていますが、今回の特例法では償還免除の範囲がかなり広くなっていると思います。厳密にどのくらいの人が免除になるかは、ケースバイケースですけれども、最終的に負担を伴わないで救済を求められる方が相当の割合になると思っております」と画期的な援助制度がスタートすると弁護団長は話します。

被害の声を伝えることが、次の被害者を生み出さないことにもなる

これまで多くの悪質商法の被害を見てきて、被害をうけた人たちの泣き寝入りが、悪質業者による被害を広がらせることにつながっていることを強く感じています。それだけに、今回、法律援助業務がスタートすることで、旧統一教会による被害者らの被害回復に向けての一歩が踏み出しやすくなったことは間違いありませんので、まずは多くの方に相談電話をかけていただければと思います。自らの被害の声を伝えることは、次の被害者を生み出さないことにもつながります。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

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